海外に常駐する日本人弁護士に依頼する必要がある業務はどのような業務か?
日本にいる日本の弁護士の中にも国際法務を扱っている方はたくさんいます。
他方、実際に海外に住んでいる日本人弁護士はまだ少数です。弊事務所が拠点を置いているマレーシアやメキシコはほぼ弊事務所のみであり、それ以外のミャンマー、タイ、フィリピンも各国日系の法律事務所は一桁です。
そのような状況下で、具体的にどのような業務を海外に住んでいる日本人弁護士に依頼すべきかについて分かりづらいと思いますのでご説明いたします。
国際法務を大きく分けると、以下の2つの種類が存在します。
1.取引相手が外国企業などのため、英語で契約書を作成するものの、準拠法も日本法であり、かつ、その後の契約対象業務も主に日本で履行される場合(例:日本企業が海外から商品などを購入する場合、日本企業の株式を海外の企業に譲渡や発行する場合など)
2.取引の主体が海外の現地法人や支店の場合、準拠法が外国法の場合、契約対象業務が主に海外で履行される場合(例:海外の現地法人又は支店が契約当事者、準拠法を日本法としているものの海外における人の雇用や海外における業務委託や合弁契約など)
上記のうち、1については国際法務の経験のある日本人弁護士であれば、日本在住者も海外在住者もいずれも対応可能です。
しかし、2については、対象国に住んでいる日本人弁護士でなければ対応が難しく、日本にいる日本人弁護士に依頼しても結局は海外の法律事務所に下請けに出すなどの形で対応され、結局は余計にコストがかかります。
なぜなら、2について、例えばミャンマーの現地法人の合弁契約書作成の際に準拠法を日本法としても、ミャンマーの会社法が強制適用され、ミャンマー法を無視することはできず、ミャンマー法を正確に理解するためにはミャンマーに住んで実務を行っていなければ条文を読んだだけでは難しいためです。当職の場合には2012年からミャンマーに住んでおり、かつ、当職の事務所にミャンマー弁護士も5名所属しているため、現地の政府機関へも問い合わせを行うなどして実務も踏まえた上で助言を行います。
以上より、取引の主体が海外の現地法人や支店の場合、準拠法が外国法の場合、契約対象業務が主に海外で履行される場合には当該国に拠点を有し、常駐している弁護士にお問合せ下さい。
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