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外科医のおしり 第六回 月刊中山祐次郎

※写真と本文はほとんど関係ありません。でもキレイですね。さとしさんありがとうございます。


外科医にとって、手術室のなかにあってもっとも親しみがないものがある。それは、椅子だ。外科医は毎日手術をする。手術はふつう、患者がベッドに横たわり、取り囲むようにして外科医は立ったままで行う。その手術が2時間だろうが10時間だろうが、ほとんどの場合は立ちっぱなしなのだ。だから手術室の椅子には馴染みがない。


これまで39年の人生で五回、ぎっくり腰になった。痛みが強くて動けなくなり、自分で靴下が履けなくなる。ひどい時には麻酔科の先生に硬膜外麻酔注射をしてもらったこともある。しかし毎日手術はあり、代わりはいないので腰にバンドを巻いて手術をする。立ちっぱなしで長時間の手術をするから、そういうことになる。さらに悪いことには、手術中は少しお辞儀をするくらいの前傾姿勢でいるので、かなり腰に負担がかかるのだ。

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