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美味しいピーマンの肉詰めは、ロケハンで決まる
▲写真は、僕がロケハンしている最中の写真である。
本日のトピック
ロケハン
「ロケハン」と聞いて何を思い浮かべただろうか?
決して、ロケハンバーグ弁当 の略ではないので、間違えないように。
ロケハンというのは、ロケーションハンティングのことだ。
いわば略で、いわば下見のことである。ハントするのである。
映像業界の人でないと聞きなれない言葉かもしれないが、最近では映像業界の低単価が進みこのロケハンをしない会社も多々あると聞いている。
ロケハンはしません!
と言う言葉に、一般の諸君らは、なんの違和感も抱かないだろう。
だから、正直に言おう。
頼むから、抱いけ!違和感を!
ありえないことなんだ!死ぬつもりかー!
そう、ロケハンをしないなんて、ありえないのだ。
何度でも言おう。ありえないのである。
いや、ここでロケハンをしない人たちから色々な意見が飛んでくるのはわかっている。あちらこちらで、聞こえてくる。
その人たちの意見は総じてこれだ。
「予算がない。だから、できない。」
予算がなければ、車両代もない。つまり、現地の下見には行かない。ロケハンしないとなる。
同時に、経費を削っていかなければビジネスは回らないんだと言いたいのだと思う。
うんうん、それはよーくわかる。
だが、同時によーく考えてみてほしい。本当にそれで良いのか?と。本末転倒ではないのか?と。
そして、映像業界じゃない人も、映像を作ることがあったらよーくこのロケハンの有無は大事なので、今日はそれを覚えていってほしい。
なぜ、大事なのか?
それは、
ロケハンあって、撮影あり だからだ。
まだ、いまいちピンときてないだろう。
ははは、それもそのはずだ。
ロケハン
一体これは何をしていることなのか?
なぜ重要なのか?
今日は、それを紐解こうと思う。
しかし、紐解くにも、そもそも映像というのは、どうやって出来上がっているか?を、多少は理解していないとわからないかもしれないので、今回は、ピーマンの肉詰めを代用して簡素化して説明しようと思う。
覚悟は良いか?
それでは始める。
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映像は、大きく4つのフェーズに分かれている。
(厳密にはもっと細かいのだが、今は割愛させてもらおう。)
1つ目:企画
2つ目:制作
3つ目:撮影
4つ目:編集
ロケハンはこの2つ目の制作フェーズに入っている。
えー、ピーマンの肉詰めでいえば、
1つ目:夕飯どうする?
2つ目:買い物
3つ目:調理
4つ目:皿に盛る
である。
1つ目の企画では、
どんな映像を作るのか?の企画というものが決まる。
→ つまり、今晩の夕飯は何か?を考えるところから家族会議が始まるわけだ。
例えば、新しく女性の小学生向け(女の子)向けのホビーグッズを作った会社が、その訴求として映像を作りたいとする。そして、そのグッズは親子で楽しめる!グッズだとした時に、ディレクターといわれる映像監督は、親子で楽しんでほしい!という思いを形に起こすべく、様々な演出=伝え方 を考えそれを企画書として提案するのだ。
→お母さん:今日夕飯どうしよっか?
お父さんと子供たち:えー、なんでもいい。でも、とにかく今日は魚は嫌だ。とにかく肉がいいけど、ステーキほど重たい肉は食べたくないなー。
焼肉もなんか微妙。すき焼きもうーん。どっちかというとミンチとか?
そんな案をまとめて、お母さんは、ついに今日の料理を思いつく。
そう、ピーマンの肉詰め である。
そして、各所(お父さん、子供達の)承諾が降りると、実際に制作というフェーズに入る。
→ つまりは、料理準備の開始になるわけだ。うんうん。
ロケ地はどこがいいか?
女の子が遊ぶ場所で親子なら、自宅かな?
衣装はどれがいいかな?
最初は、日常着からはじめよう!!!
撮影の演出イメージはどうなるのか?
部屋にいた女の子が、おもちゃを持つと家族と遊園地に!いったかのようにしよう!などなど。
演出の企画書に沿って、いろいろな方法論を考えていく。
お母さんで言えば、さながら夕飯の買い物をしているタイミングがこれである。スーパのカゴに食材を入れていく そう、その時の思考が制作なのである。
今日は、ソースが特売なのね!!!とかね。
準備もある程度終わりこれで大丈夫。あとは撮影を残すのみ!
→食材を買い終わり、あとは作るのみ。
家に帰ったお母さんは、ピーマンの肉詰めを早速作ろうとした。
しかし、お母さんの手は先ほどスーパーで買い物をしていた時とは違い、すっかり止まってしまっていた。
作業手順があってるか途端に不安になったのだ。
いや、、、ならねーよ!って思った人
0点です。
そう、普段であれば、絶対に迷わず済むこのフェーズ。
映像には、ここにすごく大きな落とし穴があるのである。
盲点があるのだ。
映像は、いつも同じ場所、同じキャスト、同じ服、同じカメラマン、同じ照明、同じ天気、同じ、、、、。
同じ!???何それ美味しいの?
気づいてくれ、同じなんてほぼねーんだよーーー!!!
そう、毎回違う。映像は、悔しくも楽しくも毎回違うのだ。
つまりは、ピーマンの肉詰めを作ってるつもりでも、
レシピが全然違う!なぜなら、監督もクライアントも違うから。
すなわち、味の好みも変わってくる。
私の家では、リンゴを隠し味に使うんだよねー!とかポテサラでいうやつがいたことを思い出してほしい。そして何人かは、こう思っただろう。
うちは入れないんだよ!と。
そう、これが起きる。
それくらいならまだ可愛いし許容範囲なのだが、映像はそうはいかない。
レシピが違う複雑な味のした料理を、何も見ずにいつものノリで作れるだろうか?
友達Bくんのお母さんの作るピーマンの肉詰めがAくんのお母さんと同じ味にだろうか?
答えたは、否!
否である。
だから、レシピを見直すことになる。
B君のお母さんは、A君のお母さんの味に近づけるために、A君家系流のレシピを見る必要があるのだ。
そのレシピを見直すという行為こそ、
これこそが ロケハン なのである!
そして、そのロケハンでは、レシピの見直しと同時に、実際に分量をしっかり測ってみるということをする。
つまり、実際の撮影を想定して、事前に起きるリスクを潰していくのである。
少しはわかっていただけただろうか?
B君のお母さんがA君の家の味を再現するのと同様、映像はそんなに容易く作れる産物ではないのだ。
そして同時に、あなたの求めている味に近づけるためには、ロケハンは必要不可欠であり、またリスクヘッジになる重要項目だということに。
そう、どういうリスクがあるか?を、わかっているから美味しい料理ができあがる。リスクがわかっていなければ、当日焦がしたものも作ってしまう可能性が高くなるのだ。または、味が違ってしまう。
つまりは、予定していた時間や、予算では出来上がらず、想定より時間も予算も膨れることがあるのである。
ロケハンをしないというのは、そういうリスクを孕み、そしてその皺寄せは、食べるあなたたちにくるのである。
焦げて炭になったピーマンの肉詰めを食べたいならどうぞ!
というところだが、誰もそんなものは食べたくはないだろう。
私だって作りたくない。
だからこそ、ロケハンは重要なのだ。
映像は特に、そういった準備段階を軽視すると味が悪い物になってしまう。
これはロケハンだけではない。スケジュールのなさでも起きることもある。
予算がなければスケジュールを、スケジュールがなければ予算を。
両方なければ、クオリティーを。になるのである。
どんなに上手な三つ星レストランのシェフでも同様にスーパーで買った魚の味はスーパーなのだ。築地で選び抜いた魚には到底及ばないわけである。
だから、覚えておいてほしい。
安かろう、悪かろう なのだ。
安い、低価格 = ロケハンなし
そんな見積もりが届いたのだとしたら、それは黒炭になったピーマンの肉詰めを自ら食べにいくようなものであり、その会社は信用していいのか?を一旦考えてみることをおすすめする。そして新規に依頼するのであれば、ロケハンはするのか?というのはあらかじめ聞いた方がいいのである。
と同時に、僕はお伝えしておきたい。
もしそうなりそうな事態があったのであれば、果たして自分たちが食べたい料理はどこにあるのか?を再確認した方がいいということを。焦げたピーマンの肉詰めを食べることになる原因は、自分たち側にもあったりするのだから。焦げても良いものを食べたいのであれば、それは進んで作って食べれば良いと思う!それを僕は否定はしない。
ただ僕は、提言しよう。
僕は、どんな時でもロケハンはする。
ロケハンができないスケジュールや予算であるなら、落とし所を最大限探し、見つからないようであれば、申し訳ないがお断りをさせていただいている。
なぜなら、それがプロとしての責任であり、そして良いものを、
美味しいものを食べてもらいたいという心からの願いがあるからだ。
別にうちの料理はド派手なものを出そうとは思っていない。
そういう料理も嫌いではないけれど、僕は、丹精込めた温かい精進料理で、想いをしっかり味わってもらえるようなものをお届けしたい。
そして、両者が持続的に食べて感じてもらい、体の巡りが良くなり、循環する料理を提供して歩み寄っていきたい。そう思っている。
さて、今日の夕飯は、
フライパンがジュージュー鳴っている。
あ、、、。
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Sowers Pro.
弊社では、心温まる人にフォーカスを当てた映像を制作しています。
主には、企業様のブランディングにまつわる映像を。
自分たちの想いをどう届けるのか?を、一緒になって考え、拾い上げ、映像という形で世の中に届ける。そんなお仕事をしています。
ブランディング企画、ドキュメンタリー制作、インタビュー、
PV、VP、MVなど
あなたのその温かい心に、温かい種を。Sowers Pro.