翔んで埼玉
この週末、埼玉は所沢に彗星のごとく現れたスーパー銭湯「キング&クイーン」訪問を計画中だ。
しかし横浜からは遠い。遠すぎる。なんたって東京都越えですから。いまやだいたいのサウナ・スパ・(ネオ)銭湯へのスペック的ニーズが都心で叶う中、あえて週末の半日or一日つぶして東京スルーしてまで行きますかと。
実際、スパ銭のためだけに所沢まで出るには腰が重い。横浜から所沢まで、無気力な自分をドライブする起爆剤が要る。うーん、何か材料ないか。
と思って、何となく、魔夜峰央先生の表題作を8年ぶりに読み返すのであった。やはり面白い。
1980年代前半の埼玉をユーモアたっぷりにdisるこの未完の傑作中編を描いたとき、先生は所沢に住んでいた。わずか1時間の再読で、がぜん埼玉に行きたい気分にさせるのはさすがである。
2019年には実写映画化もされている、映画の聖地巡礼マップを見つけた。
おお~、広大!やはり埼玉は広い。実写だとロケ地が埼玉全域に分散されているんだな。しかし所沢から遠いところへ聖地が配置されているのは拡大解釈に思う。
埼玉周辺部のB級グルメ欲はそそるのだが、原作とは関係ないしメディアミックスによる村おこしでしかない。原作至上主義の私は、踊らされず所沢に絞りたい。
といって2020年代のいま、地方都市のターミナル駅周辺なんて結局のところどこ行ったってほぼ同じ風景に過ぎない。代り映えのないチェーン飲食店とアパレルとシネコンでごまかしただけの量産型ショッピング施設。1980sの、本当に何もなかった所沢自体がすでに神話なのである。
そんな神話世界やイリュージョンを現実世界と対比したとき、いまや唯一期待しうる差分が温浴施設なのではないだろうか。都心に比べて立地の広大さで出しうる温浴のダイナミックな質的・量的差異にいやおうなく心が躍る。
SNSを見る限りキンクイへの満足度は相当に高い。週末、たとえ家族連れでごった返していたとしても遠征して訪問する価値があるように思う。
週末の埼玉訪問に向けて気分がアゲアゲになってきたぜ。