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東京銭湯お遍路を振り返る~失われた時を求めて①1-88

真夏の東京銭湯遠征は過酷なのでいったん休止している。この間に振り返って記録を残しておこう。

この2年、東京だけで200、神奈川合わせると300近い銭湯を回った。

克明に覚えている銭湯、なんとなく雰囲気を覚えている銭湯、当時のメモやGoogle Mapを見て何かしら記憶がよみがえる銭湯、まったく思い出せない銭湯、この4つぐらいに分類される。

また克明に覚えている銭湯についても、いい意味で覚えている銭湯、悪い意味で覚えている銭湯とある。スタンプを見るたびにハッピーになったり、悪い感情がよみがえる。

プルーストがマドレーヌの味で幼少期を思い出すように、銭湯愛好家はスタンプを見て失われた過去を見出すのである。

1-12湯。(ちなみに以後、銭湯に番号つけるときはお遍路帳の番号ではなく、その区におけるナンバリングです)

1-12

大田71ゆ~シティー蒲田。すべてはここから始まった。川崎大田銭湯ラリーの一発目であり、お遍路一発目である。ハンコの黒湯温泉のセンスにご注目。そして大田区の銭湯特区の一体感

3つ目の9天神湯の日に安部さんが撃たれたんだよな、蒲田の中華屋パンダでタンタンメンとビールでニュース見てた。48稲荷湯は閉業。

15宝湯ってなんだっけ?大鳥居駅周辺マップ見て思い出す。銭湯は覚えてないが近くの中華料理屋に入ったらめちゃめちゃ愛想悪かった。頑固接客系ビブグルマンだという。

大田区に混じっている墨田36黄金湯はクラフトビール出す銭湯の先駆け。荒川32斎藤湯はサウナもない銭湯だが、昔行ってよかったことからスタンプ収集しにふと再訪した。

13-26湯。

13-26

畳みかけるように大田区。やはりハンコが入り乱れずそろっている方がきれいである。几帳面なお遍路スタンパーってもしかして区ごとに昇順で周るのだろうか。2週目でそうする人はいるかもしれない。アプリの方は並べる機能とかあるのだろうか。

大田63大森湯こと(サウナが熱すぎて)ヤバ森はじつは正直あまり覚えてない。。当時のメモ見ると「バイブラがいい」としか書いてない。むしろ11新呑川湯の方に「サウナ125度」とかメモがあるんだよな。いずれ二つまとめて再訪せねばなるまい、失われた時を求めて。それにしてもヤバ森の大田63という数字がヤバい。かつてはこれだけ銭湯があったと。

大田43はすぬま温泉は大正ロマン感がよかった。鬼滅の刃もまだ盛り上がり終わってないぐらいの時期の訪問。

27-42湯。

27-42

一冊目中盤戦。大田区制覇が近づきつつ、他の区が多くなってくる。

特筆はやはり目黒1の文化浴泉。ジャズ聞きながらのサウナ。といっても、聞きこんでしまうとサウナの回転率も下がるからか、かかってるのはもっぱらライトなBGM系ジャズ。

目黒2光明泉もそうだが、目黒の銭湯・サウナはコンパクトながらデザインがスタイリッシュ。民度も高いからか、狭い中サウナに居座り続ける人も少なく回転が早い気がする。

品川9の富士見湯。外界をシャットアウトしたいときに重宝する沈潜型サウナ。

43-58湯。

43-58

大田区で最後になった27新田浴場。店主がご病気でずっとお休みでほとんどのスタンパーにとってラストの一湯となった。TLで空いてることを知ったときの高揚感、他のスタンパーとの連帯感、一体感がMAXになった瞬間である。サウナ自体も大田区銭湯サウナでTOP5には入るものだったから、その後の再度の長期休業状態がせつない。幻のサウナ体験となった。

閉業といえば、世田谷35そしがや温泉21。ウェルビーの走りみたいな冷凍サウナ(?)があったり屋外プールがあったり規格外。銭湯ドラマ「昼のセント酒」に映像が残ってるのが幸いである。

品川区は全体的に湯の質が高いがスタンプの美しさも群を抜いている。右下17天神湯、16吹上湯から最下段4つに続くディテールの細かさ。(ちなみにこの手の超解像度アートも、目黒12のようなほのぼの系作品もどちらもトシゾーさんのハンコという理解であっているのだろうか)

一個ごちゃっとなってるのは足立52堀田湯。受付で朱印が見つからず、お姉さんが突然スタンプを手書きしだしたのである。あれは驚いた。ドンキに行って朱印を買って横にもう一回押してもらった(それもかなり下手であり二度驚いた)。

その後、銭湯巡りで朱印は欠かさず持ち歩くようにしている。

59-74湯。

59-74

ここで品川15宮城湯と出会う。入口のでっかいたぬきが可愛いようなふてぶてしいような、フテカワ系。あの辺りは飛行機が超低空飛行していて、住民には迷惑かもだが、3Fの露天外気浴の日には広い空を飛行機がかなり間近で見れる。頭が空になる気持ちよさ。定期巡回する銭湯の一つとなった

数の少ない目黒区フィニッシュ。9番千代の湯、一つだけちっちゃいスタンプ。学芸大学駅近で、中島盛夫の赤富士、青い洞窟みたいな炭酸泉。目黒6大塚湯はプロレスラー御用達のステーキハウス・リベラとセットで訪問。

75-88湯。

75-88

品川区フィニッシュと同時に、以後長い付き合いとなる江戸川区のお湯の富士がここから登場。37亀の湯はおやっさんのXのクセが強い。江戸っこって感じする。いま見るとおやっさんをなだめようとするかのようなお湯の富士ハンコ。

葛飾23アクアドルフィンランドあたりも昭和ムードてんこ盛りでテンション爆上がりだった。その後酒飲みの聖地立石でまさかの酒難民となった。

結願浴場は北区15十条湯。狭いサウナ室で地元ヤクザや一般人子連れと一緒に行儀よく並び、充満する濃厚ヴィヒタを堪能。隣接する喫茶深海で生ビール飲んで祝杯

一冊目で実感したのは、銭湯いくと本当にヤクザが多いなあということ。ヤクザも一般人も区別なく平等なお風呂体験、と言いたいけど大半は間違いなく犯罪やらかしているわけで、トータルで銭湯に支払われるお金の無視できないぐらいには少なからぬ部分が不法に得た金と考えると、不法な金・人間の出入りを許容する公衆浴場「法」というのは、法の矛盾をはらむ例として興味深い。

それは別として、入浴料にアウトロー生態系の鑑賞料金も含まれてると考えると面白い。ヤクザと裸で隣同士になったり、風呂上がりの老親分の身体を拭く舎弟ヤクザを見たり、銭湯サウナでしか味わえない非日常体験なのである。

つづく。



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