アルコホリック

『俺はアル中とちゃう。アルコールに依存してるだけや。』

とは、いきつけの飲み屋でたまにグラスを交わす、アル中にいさんの言葉だ。
彼曰く「中毒やなくて依存」とのこと。

ちょっと何を言っているのか、分からない。

一応調べたが、定義的にも、慢性的なアル中のことを正しくはアルコール依存症というらしい。

なんだ同じじゃないか。無駄なあがきを。

そう、彼は紛うことなきアル中だ。わたしは医者ではないが、間違いない。

彼は酒が無いと、冗談みたいに手が震えるのだ。

昼、というか酒を入れる前、上半身のほとんどは電車の中の背広たちと同じく常人然としているが、その末端はもう大変だ。
完全に酒(ハードドリンク)と踊(ダンス)っちまっている。

彼は会社員として営業を担当しているはずだが、どうしているんだろう。手は、大丈夫なのだろうか。
お願いだから、彼だけには少しだけ飲んでから出勤することを許してあげてほしい。。

まあこの”少しだけ”というのが出来れば、そもそも震え始めていないのだが。

とはいえ、彼はとても楽しい人間なのでわたしは好きだし、酒が入っている時も基本的にやさしくていい奴だ。

これからも 彼には身体と社会性をぶっ壊してしまわないよう気を付けてほしい。


わたしがふと飲み屋を覗くとき、彼もまたこちらを覗いていてほしい。

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