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【無料】若者ターゲットはクオリティが高いのか?

広告収益でビジネスが成り立っているのならば、広告主の意向に沿うことは絶対だ。

現在、テレビの世界はコアターゲットと呼ばれる若者狙いを提唱されている。
基本的に、そのターゲットは50歳以下。

その層が購買層だと広告側から判断されているがゆえ、そこを狙いにいくのは当然。
ターゲットはこれまでネット媒体に奪われてきた層に当たる。
コロナが時代を後押しし、制作費の問題など背に腹はかえられぬ事情も重なり、そのスピードは加速した。

NetflixなどのサブスクやYouTubeなどの動画媒体と真っ向から戦うのが得策なのかどうか…?
そのへんのことに関しても意見はありますが、今はあえて語りません。
もし、語るのなら一部踏み込むことになるので有料にさせていただきますが、今回論じておきたいのは

若者ターゲットはクオリティが高いのか?

一般的に言われがちなのは、若者にウケているものがクオリティ的に高い。
なぜなら、若い子は感度が高く、流行にも敏感で、常に新たな刺激を求めている。

興味さえ出れば、前のめりになって観てくれる。

いつの時代も若者はそんなものだ。
自分も10代20代前半の頃はそうだった。

様々なことを踏まえた上で、ここからは完全なる持論を展開していきます。

まず、結論を先に言いますが

若者だけにウケているものはクオリティとして決して高くない。

ここで大切なのは、若者「だけ」の「だけ」の部分。

若者にウケているもののクオリティが高くない、ではなく、"若者だけ"にウケているもののクオリティが高くないのだ。

持論だとエクスキューズしているので、もう1つ言わせていただくのなら

若者にもウケることは必要。

若者が興味を示さないコンテンツの量産で、テレビは若者視聴者を中心に逃した。

これまでは世帯視聴率を積極的に取りにいった結果、年配層をターゲットとした番組がゴールデンタイムを中心に乱立した。

お墓参りのマナーやコレステロールを下げる健康食材などに若者は興味を示さない。
当たり前の話だ。
これはターゲットを絞った上で、世帯の数字を取りに行く1つの手法である。

よくよく番組を観れば、題材に対する興味のあるなしは置いといて、番組としてのクオリティは低くない。
プロのテレビマンたちが作っているので、非常に観やすく丁寧な作りになっている。

しかし、「笑えるおもしろさ」に関しては、どうしても物足りない。
伝えるべきものはマナーや健康などの情報であり、笑いや刺激の要素は必要とされていない。
基本的に出演者たちも年配の方たちが並びがちだ。

諸々踏まえて、若者は観なくて当たり前。
そもそも、観せようともしていなかったのだ。

そして、昨今の広告主が狙うターゲットの変化により、テレビは若返りを求められた。
時を同じくして、第7世代の台頭とコロナショックの影響もあり、若手にチャンスは広がった。

若者の支持は逃しちゃいけない。
若い子に退屈だと思わせてはいけない。

この考え方が、私の中では根強くある。

だからこそ、良い時代が到来したと思いきや…

若者だけに支持されてしまうものは、どうしてもクオリティが高くない。

若い子だけが笑っている。若い子だけが喜んでいる。
それは、「若い子向け」としては正解だが、質に関しては疑問が残る。

笑いの現場において、大人の客が無表情でいることは致命的。

大人が笑っているものに、若い子が食らいついて笑っている。

私は、これがクオリティの最上級だと思っている。

決して「老若男女に刺さるもの」と平たいことを言いたいわけじゃなく、きちんと大人が笑えることは前提で、背伸びした若者も笑えるバランス。

ようするに、作り手も演者も観ている側を引き上げる意識こそが大切。

この究極に細分化された時代に、老若男女を均等に狙うことなど不可能に近い。
仮に狙ったとすれば、誰の魂もこもっていない、ヌルッと丸みを帯びた作品になってしまうだろう。

若者や!ターゲットは若者や!と言いながら合わせにいくのは1番間違っている。
だとしたら、作り手がおじさんすぎる。
若者だけの票をたくさん取りに行けるのは若者に決まっている。
その分野だけで言えば、ユーチューバーやインスタグラマーやティックトッカーに勝てるはずがない。
若者文化の世界では若者有利に決まっている。

そこにクオリティは一切関係なく、これはただただ世代の話。
今の若者世代ならではの感覚があり、今の若者世代ならではの時流がある。

どうしたって、おじさんには入れない領域。
自分が若者だった時のことを振り返れば誰だって分かります。

おじさんが表現している若者っぽいことに対して、「うわ…それはちゃうねんなあ…」って思った経験、若い頃なら誰でもあると思います。

あの時期ならではの言葉で説明できない感性があり、その溝は絶対に埋まらない。
逆に大人が若者と同じ感覚で共鳴できたら恥ずかしいし痛々しい。
それは成長してないってことですから。

実際、年齢やキャリアを重ねれば、重ねただけの武器や引き出しが生まれる。

大人がムリヤリ若者に合わせにいけば負ける。
だが、真っ向勝負して戦えば勝つ。
大人の持つキャリアや経験値や重みに、若者は必死に食らいつこうともなかなか追いつけない。

私は30代の半ば過ぎだが、確実に20代の頃より流行りには疎い。
しかし、20代の頃より数段スキルはレベルアップしている。
「NiziUのメンバーを何人知っているか対決」なら若い子に負けるが、「おもろいネタを書く対決」なら絶対に負けない。

誰もが等しく年齢は重ねていく。
今、20歳の子も10年経てば30歳となり、さらに10年経てば40歳。

どちみち、誰もが大人相手の戦いを強いられる。
それに例外はなく、いつか相手するのは人生経験を積んできた大人たちだ。

旬の勢いや若さゆえの輝きは一瞬のもの。
それはそれで一瞬だからこそキラキラして尊い。

ただ、若者層だけに狙いを定めたソフトのクオリティや笑いのレベルは残念ながら高くならない。

流行っているものや年代によって感覚は違っても、その道は我々が通ってきた道なのだ。
それで喜んだり笑ってきた時代を、今の若者同様、今の大人たちも、かつて経験してきている。

その真逆に当たる、年配層だけに合わせて若者を無視しているものだって、笑いにおいてクオリティは高くなれない。
なぜなら、新しさや刺激を求める層にもリーチできる力は普遍的かつ絶対的なのだ。

大人が笑っているものを若い子が観て、「あれ?もしかしておもろい?あれ?また観たいかも?」

この現象を巻き起こしてこそ、最高峰の上質なエンターテイメントだと私は思っている。

ただ、簡単にそう言ったところで

それが1番難しい。

そう、これが本当の結論。

1番難しいことをやり遂げてしまうことが
最高級のクオリティを解き放つ!


全て持論でした。


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ゆじりこ【放送作家・ライター】
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