「社会不適合者だから芸人やってる」って…ちゃんと分かって言ってる?
「こんなどうしようもない奴やから俺は芸人やっとんねん!」
「頭おかしいから、こんな世界で仕事してんねん」
開き直ったような発言だが、たまに耳にする。
問題を起こしがちな芸人や、問題を起こした芸人に対する擁護意見として使われる。
まあ、この世界に10年以上身を置いてきた私だからこそ、言っている意味は分かる。
たしかに、この世界に聖人君子はほとんどいないだろうし、どこかおかしな人は確かに多い。
昔とは時代が変わって、今はコンプライアンスがどうのこうの…
芸人に品行方正が求められ始めている側面は確かにある。
ゆえに、窮屈なのは間違いないだろう。
だが、時代やコンプライアンスとは関係なく、自らを社会不適合者だと公的に表現することの意味合い…
それは非常に稚拙かつ自分の首を絞めているという現実に果たして気づいているのだろうか?
ただの開き直りでは終わらない。
これは芸人として由々しき問題にもなりえる話。
そこまで意味を考えていないのかもしれないが、きっちり意味を噛み砕いて考えてみると…
「俺は何をしても許される人間」
こう言っているとも捉えられるのではないだろうか。
いやいや、そんなつもりで言ってないよ!と反論はするだろうが
言ってるのだ。むしろ、大声で主張している。
例えば、『芸人』というフィルターを取り除いてみよう。
普通に会社員の人が酒を飲んで暴力沙汰を起こしたとする。
そして、「俺は元々こんな人間やねん」って言ってたら、どう思いますか?
そんな言い訳通じるか!ってなりますよね。
「そっか、元々そんな人なら仕方ないね」って許してる人がいたら、優しさを通り越してアホでしょ。
じゃあ、なぜ芸人なら許されるの?
芸人という職業は特権階級なのか?
その視点で考えれば、いかに傲慢な言い分なのかが分かってもらえるだろう。
芸人=他の人とは違う感覚を持っている。
これは正解。
しかし、芸人=何をしても許される。
そんなわけがない。人に迷惑をかけて許されるほど偉い職業なの?なんで?
お笑いの世界も行儀の良い人が増えてきてつまらなくなったとは、本当によく言われる。
それはそうなのだろう。面白いことを言うだけでなく、人間自体の面白さを問われるのも芸人だと。
これは、たしかに一理ある。
でも、『人間としての面白さ』を目指すのはけっこうだが、それと傍若無人は別。
ハッキリ言って、性格の悪さを別の言い方で逃げているだけ。
性格悪いことを棚に上げて「俺はそんな人間だから芸人になった」
それは、芸人という大義名分を振りかざしているだけで都合が良すぎる。
勘違いしてはいけない。
よくよく考えてみてほしい。
そんなに特別か?本当に特別な才能を持っているか?
実際、世間の誰もが認めるほどの人になれば、何をしてもOKとされる場面はあるだろう。
常人では追いつかないレベルの天下人は少数ながら存在している。
しかし、チンピラレベルの奴がアウトローぶって「芸人たるもの」を前に押し出すことは不快感しか与えない。
もし、その人に何かしらの魅力があったとしても綺麗さっぱり消えてしまうほどに不愉快だ。
もし「俺は何をしても許される」を前に押し出すのなら、圧倒的な力とカリスマ性を持ち、雲の上を突き抜けるほどの人であり続けなければいけない。
この人ほどの天下人なら仕方ないのかな…?
そう、世間に思わせるくらいの人にならなければいけない。
だって、俺様なんだから。何をしても許される特権階級人間だと自己申告してるわけだから。
実は、とてつもなくハードルを上げてしまっていることに気がついていない。
バカだから分かっていないのだ。
芸人なんてこんなもんでしょ?
という、表層的なイメージを自分に都合よく使い分け、良いとこどりをしようとしてるだけ。
謙虚さの欠片もなく、芸人としても中途半端。
誰がそんな人を応援できる?
芸事で雲の上まで突き抜けて、誰もが認める頂上人になって社会不適合者になるか…
謙虚な気持ちを持って、コツコツ芸事を磨き上げていくか…
どっちかにするべきだ。
突き抜けてもいない奴が、傍若無人で許されるわけがない。100年早い。
だから、お笑いを熱く語ってもどこか薄っぺらい。努力をしたのは理解できるが、透けて見える邪悪な人間性が邪魔をしている。
もう、分かったから突き抜けきるまで一旦待ちなさい。
「社会不適合者だけど、あの人なら仕方ない」
って、世間に言われるほどの大物を目指したほうがいい。
人に納得してもらえるまで、自分から開き直るべきじゃない。
「俺はこんな奴やから」
芸人という立場を利用して、ごまかしてはいるが
「俺は何をしても許される人間」
そう心の中で思っていることは見抜かれている。
中途半端な奴が1番タチ悪い。これは定説。
だが、その一方で…
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