【無料】「人の冠番組で活躍してもアシストしてるだけ」を論破する
「先輩の冠番組で活躍すればするほど、その先輩や番組の寿命を延ばしてしまっているだけ」
ようするに、「さんま御殿」に出演して活躍すればするほど明石家さんまさんのポイントになると。
「ガキの使い」に出演して、活躍すればするほどダウンタウンさんのポイントになると。
それゆえ、「人の冠番組で頑張れば頑張るほど偉大なる先輩の長期政権の手助けをしてしまう」との論調を目にした。
えっ!!
別に放っておけばいいのだが、これは放っておけない。
なぜなら
その考え方は間違っているだけでなく、お笑い芸人の道を志す上で非常に良くないからだ。
万が一後進たちが影響を受けてしまってはマズイ。
なので、論破すること自体には何の意味もないですが、手短に論破しておきます。
ちなみに、これは批判ではなく、ただの一個人としての意見ですので、、、あしからず。
まず、大前提として…
芸人はプロとして板の上に立てば
笑いを取って誰よりも面白くあり続けることを目指す。
基本、それ以外のことを考える暇はない。
「ここで笑いを取ったところで、このMCのポイントになってしまうのか…」
板の上での戦いにおいて、1番余計なことは板の外に存在するノイズだ。
お笑いのプロは与えられた場所で、視聴者やお客さんに笑ってもらえることを目指す。
ラーメン屋さんが美味しいラーメンを作るように。
タクシーの運転手さんが安全運転でお客さんを目的地へと運ぶように。
そこには論理も理屈もない。「笑いのプロだから」としか言いようがない。
「誰のポイントになる」とか、「誰の芸能生活を助ける」とか、「誰の冠番組の寿命を延ばす」とか、
そんなことを考えるより、どうやって目の前のお客さんや視聴者を笑わせるかに頭を振り絞るのがプロとしての矜持。
そして、ここを1番分かっていない。
視聴者やお客さんは「誰の番組か?」ではなく「おもしろい番組か?」に興味があるのだ。
さんまさんの番組で笑いを取りまくったからといって、ポイントはさんまさんに入っていない。
ダウンタウンさんの番組で活躍したからといって、ポイントはダウンタウンさんに入っていない。
仮に、百戦錬磨の先輩方に上手くイジってもらって笑いを生み出せたとしても
それらは面白いパフォーマンスをした人のポイントであり、評価をされるのもその人自身だ。
「昨日のロンハーのナダルおもろかったわあ」って言いかたしませんか?例えばですけど。
実は視聴者からMCにポイントは入っていないんです。その時、笑いを取って空間を支配した人のポイントです。
もっと言えば、スタッフの目だってある。
誰かの冠番組を担当している制作スタッフや放送作家が、ゲストで出演してくれた芸人やタレントの本番でのパフォーマンスをシビアに見定めている。
「この人、相当優秀だな…」
「この人、毎回爪痕残すな…」
「この人、いずれ見つかってしまうかもな…」
「この人使ってレギュラー番組やりたいな…」
そうやって、力のある人間を逐一チェックしながら、おもしろい人を常に探している。
裏方とはそういう仕事も兼ねているのだ。
ちょっとずつMCクラスになり始めた芸人さんを思い浮かべてください。
最初から冠番組をやっていましたか?
ひな壇やロケなど、誰かの冠番組で結果を残してきた人たちではないでしょうか?
中には若手の頃から冠番組に抜擢される人もおりますが、それは様々な事情が重なった上での極めて稀な話。
基本は積み重ね。人も場所も選ばず、おもしろいことを言い続けた積み重ねが次のステージを呼び込むのです。
テレビでもラジオでもライブでもYouTubeでも関係ない。
板の上に立てば、おもろいこと言って誰かを笑わせて、世の中の誰かに面白い人だと評価してもらえれば正解。
お笑い芸人は外側のことを考えず、ステージ上のパフォーマンスのみに没頭するべき。
だから、誰かの冠番組に呼ばれたら、スタジオやロケで暴れ回って笑わせまくって、偉大なる先輩たちの長期政権の手助けをすればいいのです。
仮に先輩の手助けになったとしても、結果的に自分の未来も助けることなる。
もちろん、全員が全員テレビの真ん中を目指す必要はありません。
メディアも生き方も多様化し、本当に今はテレビだけでなく活躍の幅は広がった。
だが、こちらの記事にも書いたように、テレビで通用するスキル自体は絶対的だということ。
テレビの世界を主体にするかは別として、テレビでも通用する=トッププロの世界で通用することと同義語。
誰の番組?誰がメイン?誰がMC?関係なし。
その場で瞬間最大風速を吹かせて、主役を食ってやることを目的とすればいいだけの話。
役割こそ違えど、MCもゲストも同じ板の上。
その場で笑いをとった人が正義なのだ。
最後に…
「先輩の冠番組で活躍しても先輩の長期政権をアシストするだけ」
という論調の根源的な間違いを記して終わります。
そこで指してる"冠番組を持つ先輩たち"は、過去にそんなことを言ってきたのだろうか…
さんまさんが若手の時そんなこと言ってましたか?
ダウンタウンさんが若手の時そんなこと言ってましたか?
誰がMCを務めている番組に出ても、面白いことを表現するために切磋琢磨して戦っていたのでは?
理屈や戦略を語るより、目の前の人を笑わせてきた積み重ねで今のポジションを築いたのです。
答えは至ってシンプル。
先人の歩んできた道を全て踏襲する必要はありませんが、ここだけは時代を超えて変わらない。
プロの世界で笑いを取り続けて勝ち続けた
とてつもない勝率を誇る人の中から天下人は生まれる。
ずっと笑いを取り続けて勝ち続けるって…常軌を逸するほどの才能と努力の積み重ねなので、本気で想像を絶するほどのエゲツなさです。
なので、身も蓋もないリアルな話として、天下人の域にまで達することは不可能に近い。
もう、いろいろ見てきて身にしみて分かりました。
テレビの世界のテッペンで長年君臨し続け、自らの力で笑いを生み出し続けてきた人たちは、本当の意味で規格外です。
そのスゴさは、みなさんが想像している100倍以上…いや、200倍くらいだと思ってもらっても決して大袈裟ではありません。
だけど、お笑い芸人たちは、そんな怪物レジェンドに憧れて飛び込んできている。
つまり
その長期政権は権力ではなく能力なのだ。
誰かの冠番組に呼ばれるということは、そんな能力の高い人と一緒に戦える機会に恵まれていることを意味する。
それは、先輩の番組へのアシストでもベテランの寿命を延ばすでもなく
ただ、ひたすらに光栄な話だと。
素直にそう思える人の中に、本当に面白い人が混ざっているのではないかと…。
こちらからは以上です!