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Web3睡眠アプリ「Sleepagotchi」に投資した5つの理由

2023年1月18日、私たちEmoote(エムート)から、エンターテイメント・ゲームを使って睡眠・ヘルスケアの課題を解決するWeb3ライフスタイルプロジェクト「Sleepagotchi(スリーパゴッチ)」への投資を発表しました。

昨年に国内でも大きな話題となった「STEPN(ステップン)」の初期投資家でもあり、グローバルWeb3 VCとして名の知れた6th Man Capital、Sfermionなども本ラウンドで参画しています。

本noteでは、「なぜ投資したか?」を5つの理由でまとめて、今後Web3エンターテイメントに必要なことを紐解きます。

  1. Web3エンタメに必須の「感情価値」

  2. 創業チームの強さ

  3. SNSに見るプロダクトレベルの高さ

  4. シンプルな行動が生むスケーラビリティ

  5. 日本文化と日本市場の可能性

VCがどのような視点でWeb3プロジェクトを見ているのかを示すことで、起業家のみなさんにとって少しでも役立てばと思います。


Emoote(エムート)は、シンガポール拠点でコンシューマビジネス(エンターテイメント、メディア、ライフスタイル)に投資するWeb3 VCファンド。投資先に、STEPN、BreederDAO、EthSign、YGG Japanなどがある。


Sleepagotchi(スリーパゴッチ)とは?

Sleepagotchiは「Sleep2Collect(スリープ・トゥー・コレクト)」を提唱し、エンターテイメント・ゲームを使って睡眠・ヘルスケアの課題を解決するライフスタイルアプリです。

2023年1月30日現在、App StoreでiOS向けアプリのみ公開されています。

App Store「Sleepagotchi」より

上記の写真を見ていただければわかるように、とても可愛いビジュアルが特徴です。主なゲームサイクルは下記のとおり。

  1. 睡眠をとる

  2. 睡眠の成果に応じて、NFTやゲーム内ポイントをもらえる

  3. NFTの家具を使って、自分の部屋を装飾する

  4. NFTまたはゲーム内ポイントを使って、NFTをレベルアップさせる

"睡眠"を"ランニング"に置き換えると、STEPNに非常によく似たゲームサイクルであることがわかります。細かなゲームシステムやトークノミクスは本記事の目的から外れますので、気になる方はWebサイトホワイトペーパーをご覧ください。そしてなによりもアプリをプレイしてみてください。

では、ここから私たちEmoote(エムート)がなぜ「Sleepagotchi」に投資したのか、5つのポイントから解説します。

1. Web3エンタメに必須の「感情価値」

GameFiを筆頭に、現在のWeb3エンターテイメントに不足するものは「感情価値(Emotional Value)」です。

簡単にいうと「キャラクターが好きだからこのトレーディングカードを持ち続ける」「タレントのライブ配信を見てて思わず投げ銭してしまう」といった行動は、この「感情価値」に起因します。

「Play2Earn(プレイして稼ぐ)」でよく言われる"稼ぐ"という〈外的動機〉はきっかけとして重要ですが、それ以外の〈内的動機〉が醸成されていかないと、トークンに基づくエコシステムが崩壊する確率が高くなります。

Sleepagotchiは、先ほどの写真のように愛着のあるキャラクター、可愛いデジタルグッズ(NFT)があり、さらにはユーザー自身の部屋をカスタマイズする(装飾する)ことができます。

「自分の好きなテイストのデジタルグッズをゲットした」「特徴的なグッズで部屋を面白くカスタマイズできた」「ペットがこんな風に成長した」などゲームをプレイする時間の経過とともに、グッズ・部屋・ペットに愛着が湧いてきます。(ペットは未実装)

すると「このアイテムを売るとxxポイントもらえるけど、好きだから売りたくないな」「あのアイテムをゲットするためにxxポイント支払おう」といった、いわば非合理な経済活動が生まれます。

これこそが「感情価値」であり、Web3エンターテイメントの持続可能なトークノミクスを実現するために必須のキーワードの1つだと考えています。

なお「感情価値」について気になる方は、以前のnoteに詳しくまとめていますので、こちらをご覧ください。

2. 創業チームの強さ

共同創業者のひとり、Antonとは投資前に何度も議論しました。ゲームデザイン、トークノミクス、チーム作り、マーケティング、資本政策などトピックは多岐に渡ります。

その過程で感じたことは、創業チームの強さです。特に、議論相手のアドバイスを素直に受け止め、たとえ自分たちの意見が対立する場合であってもフラットに考えを組み立て直せるチカラに、とても感銘を受けました。

際立っていたのは、トークノミクスへの理解の深さです。彼らは必ずしもクリプトやWeb3プロジェクトの開発・運用経験が豊富なチームというわけではありません。ですが、私たちEmooteを含む今回の投資家はもちろん、他プロジェクト、アドバイザーなど多くの方から意見をもらい、議論を交わし、かなり高い頻度でホワイトペーパーを更新してきました。

以前、私がSTEPNチームと出会い、そのあとに彼らの初期の数ヶ月を見て感じたことと、まったく同じことをSleepagotchiのチームにも感じました。

トークノミクスだけではありません。ゲームデザイン・開発・コミュニティづくりなどプロジェクトを進める上で欠かせない要所でも、投資家を巻き込みながら素早い改善が行われており、全体的にチームの強さを感じたことが投資を決めた大きな要因の一つです。

Web2だろうがWeb3だろうが、C向けだろうがB向けだろうが、最終的には「人」でありチームです。Emooteは強い経営チームに投資します。

3. SNSに見るプロダクトレベルの高さ

投資検討の段階では、SleepagotchiはTestflightでアプリを限定公開していました。クローズド版とはいえ、その初期からユーザー体験がとても優れていました。具体的には、デジタルグッズや部屋のグラフィック、アプリのUI/UX、アウトゲームの設計、リテンション施策などです。

それを証明するように、初期からユーザーが自分の部屋のスクリーンショットやゲットしたアイテムをシェアするツイートが目立ちました。"稼ぐ"ことよりも、こういった「自己表現」など利得に関係ないツイートが多かったことがとても印象に残りました。

先ほどの「感情価値」の話にも通じますが、こうしたSNSで見られるツイートは〈内的動機〉が醸成できている証拠です。同時にプロダクトのレベルの高さを示すものだと感じました。

4. シンプルな行動が生むスケーラビリティ

(一部の特別な状況を除き)すべての人は毎日歩きます。STEPNが革新的だったのは、誰もが行う、毎日の歩く/走るという行動をゲームに変えたことです。

Sleepagotchiも同じです。すべての人は毎日寝ます。つまり、ターゲットとなる人口は80億人の全人類であり、誰でも簡単に始められます。シンプルな行動習慣をゲーム化することで、中長期のスケーラブルな未来を描くことができます。ここがハードコアなゲームと大きく異なるポイントです。

ジョギングやランニングが健康に良いことは常識であり、多くの人がその継続にチャレンジします。ただし、走ることがつらかったり、仕事や家庭が忙しくて時間が確保できなかったり──あらゆる理由によって、継続ができない人が多いのも事実です。

STEPNは、そこにトークンによるインセンティブ・エコノミーを導入することで、ユーザーのジョギング・ランニングに対するモチベーションを引き出しました。

Google Play「STEPN」より

睡眠の場合、生活習慣・体調不良、またはあらゆる誘惑によって、就寝時間や睡眠時間が不規則になり、睡眠の質が不安定になってしまいます。Sleepagotchiはそこに(広義の)インセンティブ・エコノミーを導入することによって、睡眠という誰もが毎日行う行動を変えていきます。

5. 日本文化との”近さ”と日本市場のポテンシャル

初めてSleepagotchiを見た時に「日本の箱庭系ゲームに似てる」と思いました。共同創業者のAntonと話していても、彼らがいかに「日本文化を愛しているか」がよくわかりました。

箱庭系ゲームの特徴は、リテンション率の高さにあります。自分でオリジナルの空間を創り、友達とのコミュニケーションを楽しむ。

画家のゴッホは浮世絵の“雨”の描写に驚いたといいますが、日本人は"心の機微"や"四季の移ろい"に敏感です。Sleepagotchiには、毎日の少しづつの変化を楽しむような日本文化に近いものを感じました。派手さこそないけれども、長く続く"遊び"がここにはあります。

また、Sleepagotchiは、リリースした初期から日本人のユーザー比率が高く、これもSTEPNが歩んできた道のりに重なりました。言うまでもなく、モバイルゲームや漫画・アニメなどデジタルエンタテインメントに対する高い消費意欲は、グローバルに見ても際立っています。Web3エンターテイメントの大きな市場として、日本には大きな魅力があるのです。

Sleepagotchiのように日本の文化・価値観を活かすことができるゲームやサービスを世界に広める。日本市場にも展開する。Emooteは、日本から生まれたWeb3 VCファンドとして、そうしたプロジェクトを積極的に応援します。

まとめ

以上、Sleepagotchiに「なぜ投資したか?」を5つの理由で述べました。少しでも気になった方は、ぜひアプリをプレイしていただけると嬉しいです。また、Twitterでも最新情報を発信しているので、フォローして今後のアップデートをチェックください。

Emooteは、Sleepagotchiのようなエンターテイメントやライフスタイル領域を、デジタル所有権やインセンティブ・エコノミー、DAOのようなWeb3の概念やテクノロジーでアップデートするプロジェクトや会社に投資しています。

今後も、今回のnoteのような最新Web3プロジェクトへの投資事例や、投資先のアップデート、トークノミクス考察、海外Web3イベント情報、シンガポール事情などをツイートしていきますので、よろしければTwitterもフォローください! m(_ _)m

Emoote(エムート)Website
https://emoote.com/


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