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Web3コンテンツスタジオ「StoryCo」に投資した3つの理由

2023年はじめ、私たちWeb3ファンド「Emoote(エムート)」は、DAO・NFTなど「Web3」の思想・テクノロジーを活用したIP創出プラットフォーム「StoryCo(ストーリーコー)」への投資を発表しました。

今回ラウンドには、Collab+Currency、Patron、Flamingo DAOなどが参画しており、Emooteはアジア拠点のVCとして投資しました。

本noteでは、「なぜ投資したか?」を3つの理由にまとめて、これからWeb3エンターテイメントやメディアに必要になることを紐解きます。

  1.  創業チームのエンタメ力

  2.  Web3コンテンツスタジオへの期待

  3.  日本を含むアジア市場の可能性

VCが、どのような視点でWeb3プロジェクトを見ているのかを示すことで、起業家のみなさんにとって少しでも役立てばと思います。


Web3ファンド「Emoote(エムート)」とは?
Web3 VCファンド。シンガポール拠点で、主にコンシューマ向けビジネス(エンターテイメント、メディア、ライフスタイル)に投資する。投資先に、STEPN、BreederDAO、EthSign、YGG Japanなどがある。

https://emoote.com/

「StoryCo」とは?──Web3 IP創出プラットフォーム

「StoryCo(ストーリーコー)」は、DAO・NFTなど「Web3」の思想・テクノロジーを活用して、映画やドラマなどの映像コンテンツを制作するためのプラットフォームです。

https://story.co/

従来のように、制作スタジオやクリエイターの創作物を、ユーザー(消費者)が楽しむ一方向のコミュニケーションではなく、ユーザーがコンテンツスタジオDAOに所属し、制作サイド(企画・制作・配信・コミュニティ構築など)に参画できることが大きな特徴です。

制作スタジオやクリエイター側からすれば、大きなスポンサーを見つけなくても、ファンから直接資金調達ができます。またファンにも企画段階からプロセスに関わってもらうことでコアファンを生みやすく、彼らがSNS等を通じてプロモーションすることで、さらなるユーザーを呼び込めるメリットが考えられます。

2023年5月現在では、第一弾の映像作品「The Disco Ball(ディスコ・ボール)」の企画がスタートしています。

企画がスタートしたばかりです。ストーリー創作の進行はもちろん、今後はメンバーシップNFTの配布等も行われる予定ですので、気になる方はぜひDiscordをのぞいてみてください。

では、ここから私たちWeb3ファンド「Emoote(エムート)」が「なぜStoryCoに投資したか?」、3つのポイントから解説します。

1. 創業チームのエンタメ力

共同創業者のJustin(ジャスティン)とJ.P.(ジェイ・ピー)と初めてコールした時に、彼らの企画力やクリエイティブ力のレベルの高さにすぐ気づきました。ピッチ資料を見ただけで、それが感じ取れるほどです。

「自分たちはクリエイタープロジェクトだ!」と名乗りながらピッチ資料他にそのこだわりが感じられないのはよくある話でですが、StoryCoには最初からピッチ資料、デモ動画などからそのこだわりが垣間見えました。

出会った直後に開催された「NFT.NYC 2022」でも、ほとんどのプロジェクトがよくあるネットワーキングパーティを行う中で、彼らはニューヨークを広範囲に使った謎解きゲームを実施し、既存コミュニティメンバーはもちろん、新規メンバーをも魅了していました。(詳細は割愛しますが、こういった謎解きゲームは今後のプロジェクト進行にも影響する設計になっています。)

全体プロデュース・企画・クリエイティブのレベルがあらゆる局面においてとても高い。そしてクリエイターはもちろん、ファン・エンドユーザーも彼らの作品、そしてコミュニティに惹かれていくイメージが湧いたのは、投資判断のひとつの決め手です。

加えて、共同創業者のJ.P.は、ハリウッドの映像スタジオ出身です。それ以外のメンバーを含めたチームの経験やネットワークのおかげで、StoryCoにはハリウッドを中心に世界最高レベルのクリエイターが集まっています。2022年7月には、同エコシステムを初期から支えるクリエイターたちのための「プロデューサートークン」が限定発行され、実力のあるメンバーが参画しています。

Web3において最重要な要素のひとつがコミュニティです。創業者たちのビジョン、エンタメ力、経験、ネットワークによって、初期から強いコミュニティができているのはとても魅力的でした。

前述の第一弾「The Disco Ball」においても、下記のとおり著名クリエイターが中心となって制作がスタートしています。

2. Web3コンテンツスタジオへの期待

「IP創出」は、Emooteがエンターテイメントとメディアを考える上での重要キーワードのひとつです。設立当初から、Web3時代に「IP創出にどんな可能性があるのか?」をチームメンバーで議論してきました。

StoryCoへの投資は、「IP創出」「新たなコンテンツ創作の手法」の僕らのひとつの答えであり、新たな挑戦です。共同創業者のふたりとは、投資決定前に何度も議論し、コンテンツ制作における「①不変なもの」「②Web3が変革できるもの」の考えが一致したことを覚えています。

①不変なもの──ヒットコンテンツは"ひとりの天才"から生まれる

一番大事な「不変なもの」は"ひとりの天才がヒットコンテンツを創作する"ということです。ひとりの狂気とも思えるアイデアや発想が、人々の心を動かすコンテンツを生む。ジョーズやジュラシックパークのSteven Spielberge、スターウォーズのGeorge Lucas、ジブリの宮崎駿、マリオシリーズの宮本茂、ドラゴンボールZの鳥山明──「0→1」を成し遂げてきた偉大なクリエイターたちです。

もちろん、ブラッシュアップ過程で、編集者や制作スタッフがサポートすることは多々あると思いますが、そこに、"ひとりの天才"がいることに間違いはないと思います。僕は「凡人が1万人集まっても、宮崎駿よりも面白いアニメはできない」とまわりによく言っていますが、DAOも同じことです。"クリエイターDAO"のように、全員でアイデアを出し合って「0→1」を創り出すのは難しいと思います。

②Web3の変革──「資金調達」と「二次創作」のアップデート

一方で「Web3が変革できるもの」は何でしょうか? まずは"資金調達"手法のアップデートです。従来は映像コンテンツを制作するためには、大口スポンサーを見つけたり、製作委員会でお金を集める必要がありました。それ自体は良い側面があるので否定すべきものではありませんが、ファンやユーザーから直接調達することができるはずです。

誰でも「あの映像作品の次シリーズが見たい!」「あのクリエイターの新たな作品が見たい!」といった希望を抱いたことが一度はあるのではないでしょうか。ファン・ユーザーからの直接的な資金調達はそういった願いを叶えるかもしれません。

また資金調達後のファン・ユーザーのプロジェクトへの関わり方にも大きな変化が期待できます。従来であれば制作サイドが作った作品を、一消費者として消費して終わりです。StoryCoのようなプラットフォームでは、資金調達時から関わることで、一ファンに留まらず、ひとりのプロジェクトオーナーになることができます。企画細部のアイデア出しに参加したり、完成した作品をプロジェクト側としてSNS等で発信したりすることで、新たなファンを呼び込むかもしれません。

さらに、僕が特に期待しているのが「二次創作」の連鎖がファンの熱狂を生み出すことです。コミケ(コミックマーケット)に見られるような二次創作は非常に日本的であり、コミック、アニメ、ゲームなどエンタメを支える文化のひとつです。それをDAOやNFTを使って、公式に・安全に・効果的に行える可能性があります。また貢献度合いに応じて売上の一部を還元するようなエコシステムも出来上がるかもしれません。

StoryCo Twitterより

僕はエンタメに限らず、あらゆるシーンにおいて人々が持つ好きや得意が、他の誰かの心を動かし、時には報酬すら発生する、そんな広義のクリエイターエコノミーの世界観が大好きです。

Web3はとても思想的で、特にエンタメにおいては理想と現実の差にいつも悩まされます。この分野もまだ発展途上であり、上記のアイデアがどこまできれいにワークするのかはこれからですが、StoryCoにはその力やコミュニティがあり、この業界を切り開いてくれることに期待して、投資を決定しました。

3. 日本を含むアジア市場の可能性

StoryCoは米国西海岸のLA(ロサンゼルス)拠点のプロジェクトです。Web3に限らず、北米のプレイヤーは"ひとつのプラットフォーム"で世界を飲み込む思想や実行力に長けていると個人的に思っています。彼らも実写の映画やアメリカドラマのようなフォーマットから始めますが、ヒットコンテンツをきっかけにコンテンツスタジオの形が固まったら、世界各地で人気のメディアフォーマットやジャンルに展開していくことは必至です。Netflixがローカルコンテンツを増やしていることと同じです。

アジアでは「東京(日本)」と「ソウル(韓国)」は、映像コンテンツを世界に発信できる有数の都市だと思います。Netflixに韓国ドラマ「イカゲーム」が配信され、世界中で大ヒットしたように、仮にプラットフォームが北米で生まれたとしても、その上でアジアのコンテンツが大ヒットする余地があるのはWeb3でも同じはずです(もちろん、ジャンルやエリア毎に別プラットフォームを作ることもできると思います)。

Netflix「イカゲーム

日本においては、アニメが世界でニッチからマスに近づきつつあることも大きな後押しとなります。海外の人に日本の印象を聞くと「日本には偉大なIPがたくさんある」と答えてくれます。それはもちろん事実です。ただし、IPを生み出しているのはクリエイターであり、そのコミュニティや文化(カルチャー)です。日本中に存在するそういったパワーがWeb3の新たなプラットフォーム上でも光り輝くことでしょう。

Emooteは「グローバルPJと日本の架け橋になる」ことをミッションのひとつに掲げており、StoryCoが日本のあらゆる映像制作スタジオ、個人クリエイター、IPホルダーの皆さんと一緒にコンテンツ制作・配信していくことを支援していきます。

そしてアジアのその他の都市でも従来のメディアフォーマットに捉われない、コンテンツ制作の機運が高まっています。さらにはWeb3コンテンツ、アプリケーションの中心はアジアだと思っており、日本に限らず、アジア各地で制作も消費も加速し、StoryCoがその一大プラットフォームになることを期待しています。

まとめ

以上、StoryCoに「なぜ投資したか?」を3つの理由で説明しました。プロジェクトに興味を持って頂いた方はTwitterDiscordを覗いてみてください。今後のアップデートもそちらで確認できます。

Emooteは、StoryCoのようなエンターテイメント・メディア分野を、デジタル所有権やインセンティブ・エコノミー、DAOのようなWeb3の思想やテクノロジーでアップデートするプロジェクトや会社に投資しています。

また、アジアの起業家がアジア市場を席巻するプロジェクトに多く投資していますが、StoryCoなど北米やその他エリアの起業家がひとつのプラットフォーム、ひとつのアプリケーションで日本やアジアへ意欲的に進出することを目指すプロジェクトにも投資をしていきます。

今後も、今回のnoteのような最新Web3プロジェクトへの投資事例や、投資先のアップデート、トークノミクス考察、海外Web3イベント情報、シンガポール事情などをツイートしていきますので、よろしければTwitterもフォローください!

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