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<ラグビー>2022~23シーズン、リーグワン第15節の結果及びインターナショナルラグビー関連等

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)

 子供の頃、天才といえばアルベルト・アインシュタインとパブロ・ルイス・ピカソだった。アインシュタインはたしかに天才だと思うし、相対性理論の発想自体常人にはまったく想像もつかない別世界だと思う。一方、ピカソがなぜ天才になったのかがわからない。芸術家としては優れたデッサン力と構成力があると思うが、例えば同じ芸術家でもレオナルド・ダヴィンチは、同時に科学者で発明家だったから天才と評価するのは理解できるのに対して、芸術だけの世界では天才というのは無理があるのではないか。

 もっとも、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのような音楽家も天才になるが、音楽の世界と数学の世界はかなり近い領域(ピタゴラス学派が数学理論とともに音階を発明した)だから、これは頷ける。しかし、一般的には常人が創作できないような芸術作品を生み出せば、それで天才と言われるようだ。この文脈から見れば、精神病の画家であったヴィンセント・ファン・ゴッホも天才となるわけで、実際天才という定冠詞が付けられている。

1.リーグワン第15節結果

東芝ブレイブルーパス東京52-19三菱重工相模原ダイナボアーズ

 順当にブレイブルーパスが勝利すると思う。開幕当初とはチーム状態に雲泥の差がある。

 久々の好天のフライデーナイトゲーム。今日の秩父宮の観客は、ラグビーらしいラグビーを堪能したと思う。そして、両チームともこれぞラグビーという良いゲームをした。天候さえ良ければ、こういうラグビーを見せられるのです。

 ゲームは、ブレイブルーパスがスクラムを筆頭にFW戦を支配する。そして、前半を24-7とリード。後半に入っても同じペースだったが、59分にブレイブルーパスはシンビンを出してしまい、ダイナボアーズに一時的に反撃を許した。しかし、その後は再び実力の差を見せつけて、ボーナスポイント付きの勝利を獲得した。

 ブレイブルーパスでは、4番LOワーナー・ディアンズの格の違い、7番FL佐々木剛のスピード、N0.8マイケル・リーチの献身ぶり、SO中尾隼太の安定したプレー、11番WTB濱田将暉のスピードとステップは、それぞれ目立っていた。特にSO中尾は、同じ日本代表の李承信より現時点のプレーで数段上回っている。

花園近鉄ライナーズ34-33コベルコ神戸スティーラーズ

 ライナーズとしては勝利できそうな相手だが、スティーラーズも正SOが戻ってきたので、そう簡単に負けられない。と思ったが、SOはボーデン・ワアカ、李承信は12番CTBになっている。

 前半は予想通りにスティーラーズのペース。3-26と完勝ムードだった。ところが後半に入ってから、かぜんライナーズが盛り返して、3連続トライで24-26の2点差に迫る。しかし、56分にライナーズにシンビンが出てこれまでかと思われたが、63分にライナーズがPGを決めて、27-26と逆転してしまう。

 それでも地力のあるスティーラーズは、67分にトライを挙げて、27-33と再逆転し、勝利を手にしたと思われた。しかし、この日のライナーズの執念は素晴らしく、80分にトライを挙げて、32-33の1点差とする。そして緊張するコンバージョンを決めて、見事に34-33と大逆転勝利かつ大アップセットを勝ち取った。今週一番の話題となるべきゲームとなった。

 大殊勲の立役者は、これまで孤軍奮闘であったライナーズSHウィル・ゲニアで、ライナーズの全てのトライの起点または契機になった他、ようやくここに来てゲニアの動きに他の選手がついてこられるようになったのが大きかった。そのゲニアとのリンクでは、MOMになった13番CTBシオサイア・フィフィタで、フィフィタもこれまで孤立気味だったプレーが、ゲニアとうまくリンクすることで、その威力が半減することなく生かされた。また、SOジャクソン・ガーデンバショップも、当初の頃よりチームに馴染んだ他、ノーサイド直前の「外せば負け」と言うコンバージョンキックをしっかりと決めたことは、高く評価されて良い。

 負けたスティーラーズは、順位で競っているダイナボアーズが負けたため、ぎりぎり入れ替え戦圏外である9位に留まっている。

横浜キャノンイーグルス9-11東京サンゴリアス

 今週の一番注目のゲーム。勝敗予想がかなり難しい。サンゴリアスSOアーロン・クルーデンは、イーグルスSO田村優より格上だと思うが、今回は休場。代わりに弟の田村熙がSOを務める。いずれにしてもFW戦次第という気がする。

 雨中のラグビーらしいプレーができないゲーム。しかもプレーオフを争っているため、両チームとも固いプレーに固執してしまい、さらにゲームをつまらなくしていた。そして、前半早々にイーグルスSO田村優が脳震盪で退場。イーグルスはFWに頼る方法にいやでも傾くが、それほどFWが強くないものの、前半を6-3とリードする。

 後半は、他チームながら退場した兄に代わってサンゴリアスSO田村熙が、安定したゴールキックでPGを積み重ねてイーグルスに迫っていく。63分のPGは外してしまったが、ついに72分、モールでトライを取って逆転し、そのまま逃げ切った。この結果順位は、サンゴリアスが3位、イーグルスが4位となったが、来週の最終節の結果次第で入れ替わる可能性が残されている。

 なお、この試合の担当をした滑川レフェリーは、愚息の高校ラグビー時代の同級生が、ラグビースクールでプレーしていた時の友人という関係から、一方的な親しみを持たせてもらっている。また、帝京大からトヨタでプレーした良いSHであり、4年次の大学選手権決勝では、早稲田相手に活躍して初優勝をもたらした選手だ。

 そうした因縁があるせいか、noteのとある記事で、スタンドの下品な観客がずっとレフェリー批判をしていて悩ませられたというのがあった。たしかにレフェリーになりたての頃は、選手兼任でもあったため、経験不足からのミスジャッジも見られたが、最近のレフェリー及びアシスタントレフェリーとしての仕事は、安定してこなしている。近い将来、久保レフェリーのような、スーパーラグビーやテストマッチを担当する良いレフェリーになるだろうと期待している。

埼玉ワイルドナイツ25-44静岡ブルーレヴズ

 ワイルドナイツは、ブルーレヴズのような特徴がないながら、ディフェンスに徹するだけのチームはやり辛いのだと思う。つまり、サッカーでいうところの攻めないで守るだけの戦術に近い。それでも、例えば競馬で、ゴール前余裕で抜き去って首の差で勝つようなゲームをすると思う。それが横綱だから。

 一方のブルーレヴズは、守護神のFLクワッガ・スミスが欠場する。選手層が非常に薄いチームだから、これだけで大幅な戦力ダウンになっている。他のチームとの兼ね合いもあるが、入れ替え戦に回る可能性が高くなっている。

 以上のとおり試合前に予想していたが、本来のラグビーらしいゲームができない雨天という悪条件に加え、ブルーレヴズの選手たちが、それまで守護神スミスに頼りすぎていたのとは正反対にチーム一丸となってプレーし、まるで連勝中の横綱が平幕に取りこぼしたような金星を得てしまった。もしかすると、赤対青の試合では赤が勝つという統計があり、それが幸いしたのかも知れないが。

 ゲームの概要としては、前半を18-18で終えた後、後半はブルーレヴズがスクラムで優勢に立つ一方、49分まで25-25と競っていた。ところが、54分にブルーレヴズが勝ち越しのトライを挙げた後、十分逆転圏内にいたワイルドナイツが、71分に11番WTBマリカ・コロイベテのボーンヘッド(このプレーを見たエディー・ジョーンズは、ワラビーズのスコッドから外すに違いない)で、文字通りに余計なトライを献上したのが結果に大きく影響してしまった。さらに時間との勝負にもワイルドナイツは負けてしまい、焦りからのミスを突かれて75分にダメ押しのトライを与えてしまった。

 ワイルドナイツの敗因を、例えば1999年WRC準決勝フランス戦のオールブラックス監督ジョン・ハートのように、相手を格下と甘く見たこと及びブルーレヴズの清宮前監督の実績ということを言う人がいるが、まったくの的外れでしかないと思う。ワイルドナイツの敗因は、先に例えたように、連勝中の横綱が取りこぼすのと同様であり、またオールブラックス前監督のスティーヴ・ハンセンが、オールブラックスの連勝が止まったゲームについて「連勝中のチームにはエアポケットのようなものが出てくる。それが出たときに連勝は偶然止まる」と言っている、まさにそうしたエアポケットが出たのが、この試合であったことに尽きるし、それ以上でも以下でもない。

 なお、この負けでワイルドナイツがプレーオフや優勝から遠のいたということは全くなく、むしろプレーオフ以降のマストウィンのゲームに向けて、ちょうど良い反省材料となったと言える。一方のブルーレヴズは、入れ替え戦回避に向けて大きく前進したと言えるので、ブルーレヴズ大好きな多くのラグビーメディアにとっては、盆と正月が一緒に来たような喜びだろう。

ブラックラムズ東京34-36トヨタヴェルブリッツ

 意外と接戦になると思う。ブラックラムズのスキルとヴェルブリッツの武骨なアタックの戦い。ただし、ヴェルブリッツがスティーヴ・ハンセンの指導を忠実に再現できていれば、完勝するだろう。

 雷雨で試合開始を1時間遅らせた上に、後半56分にも一時中断をした。晴天ながら、天候不順にたたられたゲームとなった。もしスタジアムが屋根付き兼人工芝であれば、こうした問題は一切生じないのだから、ラグビーのエンターテイメント化のためには、屋根付き兼人工芝のスタジアムは必要なのだと、重ねて言いたい。そして、「ラグビーは雨でも雪でもやるスポーツ」と強調する人がいるが、さすがに雷雨では危険すぎてできない。

 ゲームは、全体を通じてトライの取り合いとなった。前半は17-22とヴェルブリッツがリードし、後半も60分まで24-29とリードを保ったが、71分にブラックラムズにトライを返されて、29-29の同点にされる。さらに77分、ブラックラムズに連続してトライを取られ、34-29と逆転された。しかし、81分に再逆転のトライ及びコンバージョンを決めて、34-36でドラマティックな勝利となった。

 ヴェルブリッツがこうしたゲームで勝てるようになったのは、やはりひとえにスティーヴ・ハンセン前オールブラックス監督の効果でしかない。そして、このようなゲームができるヴェルブリッツは、今シーズンに上位4チームに入ることはないが(6位)、来シーズンは有力な選手強化が期待されるため、かなり楽しみなチームになりそうだ。

グリーンロケッツ東葛17-59クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

 グリーンロケッツはスピアーズのFWに圧倒されてしまうだろう。残念ながら、ミスマッチ感が大きいゲーム。

 というわけで、ミスマッチに加えて消化試合感一杯のゲームとなり、得点結果もそのとおりとなった。大勝したスピアーズは、ワイルドナイツがまさかの負けとなったため、勝ち点1差で2位に付けている。来週のサンゴリアスとの対戦がいっそう楽しみになった。

2.インターナショナルラグビー関連

(1)スーパーラグビーパシフィック第8週結果

 先週に続き今週は、クルセイダーズ、ブルーズ、ハイランダーズ、レベルズの各チームは試合がないお休みの週となっている。

モアナパシフィカ28-40レッズ

 ホームとなるサモア・アピアのゲームを戦うモアナにとって、レッズは十分に勝てるチーム。ディフェンスに不安があるので、できればアタックを競うような乱打戦に持ち込みたい。

 ゲームは、80分を通じてトライを取り合う展開となったが、レッズが前半を14-28、後半を14-12とまとめて、アウェイの乱打戦を勝ち切った。また、SOに入ったローソン・クレイトンが安定したプレー振りを見せた他、12番CTBに移動した不調のジェイムズ・オコナーも、トライに絡むプレーを見せた。

 モアナは、観客を喜ばせるトライの数々を披露したが、いかんせんディフェンスが悪すぎた。これではリーグのお荷物チームと言われても仕方ない。

ブランビーズ43-28フィジードルア

 順当ならブランビーズ有利だが、好調のドルアに期待したい。ドルアが勝つとすれば、やはり乱打戦か。

 ブランビーズはシンビン2枚を出しながらも、乱打戦に勝利した。前半を19-14とリードすると、後半も24-14として、順当に試合を進めた。ドルアは、48分に24-21、59分に31-28と二度3点差に迫り、さらに66分頃には数回にわたってブランビーズのインゴールに持ち込むなど逆転の期待もあったが、74分にシンビンになり、最後は力尽きて点差を離された。

 ブランビーズSOのNZ人ノア・ロレシオは、引き続き良いプレーをしており、ワラビーズの先発SO候補として有力になっている。デイヴ・レニー監督時代に抜擢された早熟の才能が、今年に入ってようやく安定してきたようだ。

ハリケーンズ17-33チーフス

 NZ内の頂上決戦。大方の予想ではチーフス有利だが、ハリケーンズも十分勝てるだけの力を持っている。鍵はセットプレーとSOか?またハリケーンズのHOダン・コールズは、この試合でファーストクラスのゲーム(オールブラックス、マオリオールブラックス、U21代表、北島代表、ハリケーンズ、ウェリントン州代表)300試合出場となる。

 最後に点差は離れたが、前半は17-8とハリケーンズがリードし、後半も60分までは17-18と接戦だった。しかし、その後64分にチーフス21番SHコルティス・ラティマーに、ゴール前のスクラムでサイドを破られ、67分にはチーフスSOダミアン・マッケンジーにPGを決められ、17-28とされたのが最後まで影響した。

 その後、68分から73分までの時間帯に、ハリケーンズはチーフスのゴール前に何度も迫り、その都度PKを続けて得たが(チーフスにシンビンなし。もしシンビンが出ていたら、結果が違ったかもしれない)、結局得点できずに終わった。これが非常に痛かった。また74分にチーフスがシンビンとなり、ハリケーンズは14人対15人の数的有利を得るが、76分のチーフスのゴール前左ラインアウトのミスからチーフスに逆襲され、77分にマッケンジーにあっさりとトライを取られて、これで勝負が決まってしまった。

 ハリケーンズはまた、全体にハンドリグエラーが多く、もしつながっていればトライになるプレーが複数回あったので、後半の無得点はチーフスディフェンスの勝利というよりも、ハリケーンズアタックの自滅だったと言える。

 それでも、スタンドで観戦したオールブラックスのイアン・フォスター監督、アシスタントコーチのジョー・シュミット、FWコーチのジェイソン・ライアンには、HOアサフォ・アウムア、SHキャメロン・ロイガードらの活躍が、強く印象に残ったことだろう。

一方のチーフスでは、FBショーン・スティーヴンソン、21番SHコルティス・ラティマー、SOダミアン・マッケンジーらのプレーは、オールブラックス首脳陣に対してかなりアピールできたのではないか。また、4番LOブロディー・レタリックは、さすがのプレー振りであったので、オールブラックスの首脳陣は一安心だろう。

 なお、無敵の突進ぶりを見せたチーフス6番FLピタガス・ソワクラは、既にシーズン終了後にフランスのクラブチームへ移籍することが決まっているので、オールブラックスの対象から外されていると思う。また、ハリケーンズSOアイデン・モーガンも良いプレーを期待されたが、マッケンジー相手に役不足だった感は否めず、来シーズン以降の成長が待たれることになった。

ワラターズ36-16ウェスタンフォース

 逆にこちらは、オーストラリア内の哀しい最下位争い。ワラターズは、ここでも負けるのでは?

 と心配したが、ホームゲームということもあり、前半を22-6、後半を14-10と安定した内容で勝利した。イングランドのブリストルのジャージに似た、黒と黄の横縞のセカンドジャージのフォースは、52分に29-6と既に勝負が決まった後に連続トライを返したが、後の祭りだった。

(2)次期オールブラックスのコーチ人事など

 2024年からの次期オールブラックス監督は、現クルセイダーズ監督のスコット・ロバートソンに決定しているが、一方そのアシスタントコーチ陣の人事について、巷で噂されているのは、2017年にクルセイダーズでアシスタントコーチをした現ブルーズ監督のレオン・マクドナルドと、現ハリケーンズ監督のジェイソン・ホランドの二人だ。特にブルーズの後任監督には、前ワラビーズ監督のデイヴ・レニー、現オールブラックスのアシスタントコーチをしているジョー・シュミット、現日本代表監督のジェイミー・ジョセフの名前が挙がっているため、現実味が増している。

 また、現クルセイダーズのアシスタントコーチをしているスコット・ハンセンは、ロバートソンの後にクルセイダーズ監督になると見られているが、オールブラックスのコーチ陣に加わる可能性もある。他の現クルセイダーズのコーチでは、トム・コヴェントリー、ダニエル・ハランガル、クレイグ・マクグラースらが監督に昇格する可能性を残している。

 なお、他のクルセイダーズのコーチである、タマティ・エリソンとマーティ・ブルックの二人は、監督になるにはコーチ経験が足りないと見られている。そのため、現レンスター(アイルランド)監督をしているアンドリュウ・グッドマンは、昨シーズンにクルセイダーズのコーチをしていたので、彼が次期クルセイダーズ監督候補になるかも知れない。

 一方、現在のオールブラックスのコーチ陣では、RWCで退任するイアン・フォスターとともに去る予定でいるのが、スクラム担当のグレッグ・フィークとBK担当のスコット・マクロードの二人だ。FW担当ジェイソン・ライアンは、残留してロバートソンを支えると見られている。

以上のことをまとめてみると、以下のようになるだろう。
(1)オールブラックスのコーチ陣
アシスタントコーチ:ジェイソン・ホランド、FW担当コーチ:ジェイソン・ライアン、BK担当コーチ:レオン・マクドナルド
(2)ブルーズ監督候補
ジョー・シュミット(?)、デイヴ・レニー、ジェイミー・ジョセフ
(3)クルセイダーズ監督候補
 スコット・ハンセン、トム・コヴェントリー、ダニエル・ハランガル、クレイグ・マクグラース、アンドリュウ・グッドマン
(4)ハリケーンズ監督候補
 可能性としては、オールブラックスを去るコーチたちが候補になる。それは、グレッグ・フィーク、スコット・マクロード、デイヴ・レニー(?)、ジェイミー・ジョセフ(?)

(3)スプリングボクスのジャック・ニーナバー監督が、RWC後の退任を表明

 南アフリカ・スプリングボクス監督のジャック・ニーナバーは、RWC後にスプリングボクス監督を退任し、アイルランドのレンスター監督に就任することを発表した。レンスターの現監督である元イングランド代表監督のスチュアート・ランカスターは、フランスのラシン92監督に移籍する。ニーナバーは、退任及び移籍する理由は個人的なものだとして、公表していない。

 また、スプリングボクスのディレクター・オブ・ラグビーとして、実質監督のような立場にあるラッシー・エラスムスは、2019年RWC優勝の立役者でもあるため、既に2025年まで南アフリカ協会との契約を延長している。そのため、ニーナバーの後任候補NO.1となっている。

 他の監督候補を挙げれば、以下のとおりとなる。

 ムズワンディル・スティックは、以前アリスター・クッツィアーがスプリングボクス監督をしていたときのアシスタントコーチであり、また南アフリカA代表監督を経験しているため、代表監督に昇格する可能性がある。

 ジョン・ドブソンは、現在ストーマーズ監督をしているが、昨年のユニナイテッド・ラグビーチャンピオンシップで優勝した実績を持つ。ストーマーズとの契約が2027年まであるが、問題ないと見られている。またドブソンは、父がラグビーライターであった他、自身でもラグビー記事をネットに掲載していた経歴を持つ。さらに、ビジネスの修士号を持っていることから、記者会見での発言にミスがほとんどないスマートさがある。他にも、ギリシア神話やディラン・トーマスの詩を引用してチームを鼓舞することもあるという、魅力的な人物と評価されている。

 ヨハン・アッカーマンは、クッツィアー監督の後任としてスプリングボクスを指揮したこともある他、スーパーラグビーではライオンズを常勝チームに育成した実績がある。現在は、リーグワンの浦安Dロックスの監督をしている。

 デオン・デイビッズは、現在スプリングボクスのFW担当コーチをしており、2019年RWC優勝に貢献した実績を持つ。

 ヨハン・ファングラアンは、元スプリングボクス監督のハイネケ・メイヤー及びクッツィアーの下で、アシスタントコーチをしていた。また、エラスムスがスプリングボクス監督に就任した際、エラスムスは自分が監督をしていたマンスター(アイルランド)の後任監督にファングラアンを推薦した。

 バファナ・ヌレコは、ジュニアスプリングボクス及び南アフリカA代表監督の経験があり、ダークホース的存在に見られている。

 なお、これまで外国人監督にした前例がないので、例えば、ジョー・シュミットやデイヴ・レニーなどは対象外になる。また、フランコ・スミス(グラスゴー)、スイス・デブルイン(前ライオンズ)、ニール・パウウェル(南アフリカセヴンズ代表)、イワン・ファンルーエン(ライオンズ)、ジェイク・ホワイト(元監督、ブルズ)らは、いずれも候補になる希望はないと見られている。

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