ホームレス支援団体Homedoorの夜回りに同行して撮影した話
#学生クリエイターがみてみるNPO
みなさんこんにちは。大阪の大学で学生をしながら, 写真や映像制作をしてお金をいただいたりしています, はざまと言います。よろしくお願いします。
今回からまた新しいシリーズとして, 社会福祉系のNPO法人さんのところに伺って, そこでの体験をnoteにしてまとめたいと思います。ただ正直, そんな人は結構います。そこらへんの普通の学生でもできます。
なので, 僕の「写真や映像を撮れる」という特技を生かして, 取材をしつつ, そこのNPO法人さんたちがサイトに使用したいけどまだ撮影してもらえていない写真なども合わせて撮影し, NPO法人さんたちの僕なりの支援ができるように活動しながら, このシリーズをゆっくり続けていけたらと思っております。
完全な自己満かと思われるかもしれませんが, そうならないよう, 全力で写真や映像を撮影し, いいnoteをまとめれたらと思います。よろしくお願いします。
vol.1 「ホームレス状態を生み出さないニホンに」Homedoor
Homedoorさんは, 支援の不人気分野である, 「ホームレス支援」をメインに2010年から活動されている, 認定NPO法人です。代表の川口さんは, フォーブズジャパンの「30歳以下の30人」に選出されたりなどされています。
このHomedoorさんの活動内容の例を(全てはおそらく抑えきれませんでした)僕が実際に出向き, 聞いた話や撮影した写真とともに紹介していきます。
食べ物や衣服を無料で提供
天神橋筋6丁目駅の近くにある事務所(アドセンター)には, 豊富な食料や, 衣服, また泊まれるスペースやシャワーなどの設備があります。
だれでも無料で持って帰れる衣類。靴が人気だそうです。
これも誰でも持って帰れる食料。フードバンク(こちらもNPO法人)と呼ばれる賞味期限が迫った食品や, 期間限定商品の在庫など, まだ食べることができるのに, 本来は廃棄されてしまう食品が並んでいます。いくつか食べさせていただきましたが, もちろん普通に食べれます。どん兵衛の期間限定とかもありました。美味しい。
何度かお邪魔しているので最後らへんは, 「めっちゃ食材あるなあ」くらいしか思わなくなっていましたが, よくく考えるとものすごい仕組みですよね。感動しています。
また, 一時的にですが, 新しい家が見つかるまで住める環境なども完備されています。
また, ここの事務所にくれば, 専門の相談員が, 自分の路上生活を脱出するための手段を教えてくれます。ここを拠点に社会復帰を果たした人も何人もいらっしゃいました。
また, 事務所を構えて, ホームレスの方々の相談を待つだけではなく, 毎月第2火曜(11月~2月は第4土曜も実施)の夜に「ホムパト」と呼ばれる, 大阪市北区周辺を4コースに分かれて 約80食の弁当と、歯ブラシやカイロなどの生活物資を配布する活動も行なっています。
今回僕は, その「ホムパト」に同行させていただき, 様々な写真などを撮影させていただきました。
夜の街を練り歩く, ホムパト
19:00に事務所に行くと, 配るお弁当を作り始めていました。といっても, あとは詰めるだけですでにたくさんの美味しそうな食材が並んでいました。
この食材を作ったのも. 10年ほど河川敷でテント生活されていた方で, Homedoorさんにきてから, 生活が変化したそうです。朝からずっと一人で80食分の食事を作られていました。
お弁当の食材を作った方。
作っていただいた食材をホームレスのおっちゃんたちや, ボランティアの方々と一緒にたくさんあるお弁当を詰めていきます。
美味しそう
また, お弁当だけでなくお菓子や, 飲み物, 歯ブラシなど入ったものも用意します。その中で特に印象に残ったのは, 「ホムパト通信」と呼ばれる, アドセンター(事務所)の場所やアドセンターで定期的に行われるご飯会の案内などが入っているということです。それに最後にみんなで一言ずつコメントを書いていきます。読めない人がいないように文字は大きく, 漢字にはルビをうったりできるだけひらがなにしたりと細かい安心できる工夫が。
丁寧に。
真剣な表情。
あっという間に20分ほどで, 80食ほどのお弁当やホムパト通信を詰め終わりました。残った食材を少しみんなで食べて休憩してからいよいよ街に繰り出します。全部で4,5コースかあったのですが, その中で私は「天神橋コース」に同行させていただきました。
ホムパト開始
何人かのグループになって, 夜の街を練り歩きます。最初は明るい天神橋筋商店街のコースだったので, 探したりすることはせずただ談笑してるだけかと考えていたら違いました。
代表の川口さん(上の写真, 左から2番目)曰く, 歩いていて, 「この人はホームレスなのではないか」と思ったら声をかけるそう。その見分け方のポイントのひとつとして, 「靴」があるそうです。
上着やズボンは結構あったりしますが, 「靴」はサイズの問題などもあったり, お店でも値段が高かったりと一番変えるのが難しいアイテムだそう。実際, アドセンターで自由に持って帰れる衣服をおいていますが靴は一番の人気商品ですぐになくなってしまうんだそうです。そんなことにも気をつけながら, たまに少し心配そうな人に声をかけながら街を進んでいきます。
膝に病気をかかえていて, 治療をしているおっちゃん。最後に話してくれたので知ることができましたが, 言われなければわからないくらい力強く進んでいきます。おっちゃんも, 何年もこのコースでホームレスとして路上生活を経験していたそう。
ホムパト中, 言われなければ気づきませんでしたが, こういうのもしっかりとしたホームレス対策だそうです。いろんな形のブロックを, 少しスペースのあるところに, いくつか置くことによって, 誰かが寝たりすることを防ぎます。あとはベンチの椅子が狭い感覚でしきりがあるのもベンチで誰かが寝ないようにするためだそう。いざ, そういう気持ちで街を見渡すと意外な発見が数多くありました。
歩いていて出会う, ホームレスの方々に, 実際に配布していきます。いろんな方がいらっしゃいました。笑顔でありがとうと言い, 少し冗談まじりの会話をする方, 無言で受け取り, 少し礼をしてもくもくと食べ始める方。そんな方々に「今度無料でご飯食べれる会するからきてね」とか「この前のお花見楽しかったね」などとみなさんといろんな話をしていました。
このコースは比較的知り合いが多く, あまり, 新しいホームレスの方はいなかったり, 結構事務所にくる方が多いそうでコミュニケーションもとりやすく, 時折談笑する場面も見受けられました。また, 話していると「あのおっちゃん最近見ないけどどうなったん?」と安否を心配している方もいてホームレスの方同士のコミュニティもしっかりと形成されているようでした。
また, Homedoorさんの方でも, ホームレスのおっちゃんたちの把握をしているようで, 「いつもはここにいるんだけど」だとか「〇〇さん」などと実際に名前をよんだりしていました。
ただ, そういうコースは珍しいそうです。中には川の近くを練り歩くコースがあるのですが, そこらへんは家ができていて, 中に入ってしまっているのであまりコミュニケーションが取れないそう。いうなれば, ここはボランティアさんたちの初心者コース, と代表の川口さんはおっしゃっていました。
2時間ほど練り歩き, このコースに持ってきた20食程度のお弁当やお菓子は無事全て配り終えることができました。
最後にみんなで今日の意見を出し合います。その中で, 特に印象に残ったやりとりが, 「あったかくなってきたからみんなの顔が柔らかくなった」っというやりとりです。冬は寒いので, みんななかなか路上では寝れないそう。お弁当を配るためでも起こされたら, 少し顔が曇るそうです。なので, 最近やっとあったかくなってきたので寝ている人を起こしてもちゃんと笑顔で対応してくれることが季節の変化とともにあるそう。
また, ホームレスが昔と比べて本当に少なくなったそうです。扇町公園などは昔は小屋が乱立していたそうですが, いまではまったくみかけません。その方々は今どうしているのでしょうか。そんなことを思いながら, カメラマンとして参加させていただいたお礼を言わせていただき終了となりました。
ホームレス支援の活動を知って思うこと
今回, この団体を知ったのは, 実際にホームレスになったからとか, ホームレス支援についてずっと調べていたとかではなく, 「通信制高校, 定時制高校の生徒の支援」をしている認定NPO法人DxPさんの紹介でした。DxPさんとは映像のお仕事や実際に活動にボランティアとして関わらせていただいたりしています。またその話もかければと思います。
最初, 「ホームレス支援」と聞いた時, おそらく僕は正直,潜在的に少し否定的な意見を持ったのではないかと思います。「ホームレスとは自己責任ではないのか?」と。
ただ, よくよく考えてみると, ホームレスの方々はなった理由はなんなのでしょうか。よく漫画やドラマにあるギャンブルによる散財などでしょうか?「思いがけない病気」や「思わぬアクシデント」, 「急なリストラ」など自己責任などとは思えない様々な理由が浮かび上がってきます。
そんな様々な理由から路上生活になってしまった方々が, 社会復帰するのが難しい, またそれだけでひどい扱いを受ける世の中は確かにおかしいですね。
ホームレスが街にいないことが正義と言う政治家も。(もちろん, ホームレスの方々に手厚く支援をした上での発言かもしれませんが, 少し考えさせられます。)
また, 現在ではホームレスの方を見つけるのが非常に困難だそうです。昔は, 路上で生活をしていましたが最近では, ネットカフェで生活をしていたりなどしていて, 支援を必要としていて, こちらからも支援ができるのに, どこにいるかがわからないのでできないそう。
僕の大学で, 支援系の団体を運営している人たちもいますが, 「海外の恵まれない子供たちの支援」という大きな貧困問題に取り組んでいるのをみて, 少し「日本の貧困」に対して盲目的になってしまっているのではないかと思いました。海外の貧困を叫ぶ前に, 日本の貧困について僕たちはもっと真剣に向き合っていかなくてはならないのではないのでしょうか。
最後に
僕は普段, ポートレートや都市の写真を撮影していて, インスタグラムをメインに活動している僕は 今回のような「現実」は正直意識しなければとりませんでした。
↓普段撮影している写真
ですが, 今回初めてしっかり撮影してみて, ものすごく重要なことだと前から少しは思ってはいましたが, 再確認しました。
ちょうど最近, eeenoさん(大好きなフォトグラファーさん)も似たようなことをおっしゃっていました。もちろん, 綺麗なインスタ映えをする写真というのも大事で, 僕はそれに憧れて写真をはじめました。
ですが, 最近思うのは「綺麗な, すごい(語彙力)写真」というのは結構だれでもとれる世の中になってきていると思います。
なのでこれからは少しずつ, 「いかに綺麗に, 美しく撮るか」だけではなく, もちろんそれを大前提とした上で, 「なにを撮るか」ということもしっかり考えていこうと思いました。非常にいい経験をさせていただいた, Homedoorさん, 本当にありがとうございました。
最初に申し上げた通り, 撮った写真は全て, Homedoorさんに渡しました。HPや, 団体のパンフレットなど幅広いところで使用していただけるそうです。早速使っていただけてる部分も多くて非常に嬉しく思いました。またこのような活動をできたらと思います。
Homedoorさんに, 寄付もできます
さて今回ご紹介させていただいたHomedoorさん, 団体に直接寄付をすることができます。詳しくは下のHPをぜひお読みください。
1日35円から寄付ができます。
以上です。
興味深い活動をしているNPOや団体などを知っている方がいましたら, ぜひメッセージをいただけると嬉しいです。
ありがとうございました。