ここ10年のYouTuberの効果音に関する考察
お久しぶりです. 狭間です. テロップに関する記事を書いて, かなり経ちました. 最近ではテロップの知識を販売したり, スタイルを配布する人も出てきました. その結果, YouTubeのデザインのレベルは底上げされ, 見た目の平均点は爆上がりしたなーという印象です. スタイルパック, 僕も赤トマトくんの販売してるものを使用していますが, 本当にすごい, めっちゃ楽だしいい感じになります笑
テロップの次になにか語れるものはあるだろうか, と考えながら改めてYouTubeをみていると, 5感の一つである耳に入ってくる効果音に気付きました. 効果音ってよく聞くと, YouTubeではめちゃくちゃに使用されていました.
マジですごい使われてます
テロップ挿入時, カットインが入る時, 急に展開が変わったり, 面白いこと, 怖いことが起こった時, 多種多様な場面で介入してきています. さて, そこで今回のnoteではYouTube動画コンテンツに欠かせないと言えるに効果音について述べていこうと思います. テロップと同じように, 10年ほどのまとめを以下に書いていきます.
特に根拠もないですが, 確かに, こういう感じだなーって楽しんでいただければ幸いです.
YouTuberの効果音の遍歴
2013年効果音無し時代
(2013年「ヒカキンの2013年を振り返る!」より)
この動画では全く効果音はなく, BGMのみです. なぜ効果音を使用していないかという理由としてはHIKAKINさんの動画は, 基本編集はiMovieやFinal cutを使用しています. その中ではサウンドエフェクトは正直そこまで豊富ではありませんでした.
特にYouTubeで使うとなると, そこまで動画の雰囲気を変えない短い, シンプルな効果音が求められます. しかし, そのようなサウンドエフェクトはなく, 「犬の泣き声」や「缶を開ける音」など映画などで使用されるような音しかはいっていませんでした.
また, そもそもこの頃のYouTubeでは, ほとんど誰も効果音は使用しておらず, 使い方の知見などが共有されていなかったからかもしれません.
(2013年 "タコスミ"パスタってなんでないの?作って食べてみた|Octopus ink Pasta)
その一例として, 当時(現在もですが)のトップYouTuberであり, 企画, 編集チームを早期に組んで, さらに会社まで立ち上げていたmegwinさんでさえも, そこまで効果音は使わず, BGMの転換だけで音の効果を出していました.
2014年 いろんな場所で効果音が使われ始める
(2014年 "低反発素材ベッドを2,000円で手に入れた。")
0:47あたりで「正解発表」のテロップ挿入時や「気持ちいいです」という発言の時, それもまたテロップ挿入時に効果音が使用されています.
ここで一つ, 気がつきたいのは, 「正解発表」というテロップの時に, 「カメラのシャッター音」が使われていることです. 普通, TV的な演出だったら「今から正解発表をするよ!」感満載の効果音を付けますが, 「カメラのシャッター音」なのです.
その場の雰囲気を高めたり把握させる, という目的でYouTubeの動画が流行る前までは効果音は使用されてきたかもしれませんが, YouTubeに置いて効果音というのは, 「視聴者を飽きさせないため, 動画を華やかにするためのひとつの仕掛け」という使われ方をしてるのかなと感じました.
テロップが挿入される時や場面が変わる時, なにかひとつ音の変化もあった方がいい. でもそれは手が混んでるものであると逆に視聴者はそっちの方に引っ張られる. なのでシャッター音のような無機質な短い音が使われているのかなと私は考えています.
(2014, 【実は買ってました!】MacBook Air (Early 2014) がやってきた!)
ここらあたり(1:00とかわかりやすいです)ではもうガンガン使われ初めてきてますね. 商品紹介やガジェット紹介というそこまで派手なコンテンツではないものにはかなり多くの, 様々な種類の効果音が使用されています.
2015年 効果音の使われ方が多種多様に
(2015年 ラーメン高田馬場食べログ1位とは?【毎日ラーメン生活】SUSURU TV第2回)
テロップ編でもSUSURU TVを紹介していますが, このチャンネルってマジでやばいなって思ってます. どこが起源かはわからないんですが, 人の「声」の素材を, カットインの効果音として採用し, うまく扱ってる初期の事例だと思っています. 「オウッ!」とか「失礼しました!」とか「ごちそうさまでした!」とかの素材ですね.
YouTubeの効果音の使われ方が一番面白いのがここで, 効果音一つに対して無限の使われ方がある, ということです. 以前から, この声の効果音は知っていましたが, まさかこんな使い方があったとはと, 初めてこの動画を見た時感動していたのを今でも覚えています.
2016年 一般的にも効果音の概念が普及
(2016, 【閲覧注意】ワンピースの結末がわかるコンビニの本がヤバすぎた...)
2014年に効果音使用のはしりがあって, 2015年にいろんな場所が開拓され, 2016年くらいからはしっかりと効果音がいろんな動画で使用されるようになりました. いろんな年代の動画をざーっとみていたのですが, 明らかに増えていっているという印象でした.
さらにこのあたりの動画から, 一般で普及されている効果音の使い方というのも結構固まってきたなっていう印象です.
例えば, 喜ぶ時は, 拍手しながら「テレテテッテテー!」みないな効果音だったりとか, やっていきましょう!的な場面転換だったら男の野太い「オウッ!」という効果音にタイトルだったり, ちゃんとした企画説明のテロップには和太鼓の効果音だったり.
基本そこまで流通してる効果音がないし, 視聴者的にも悲しい時は大体こんな効果音, っていう風な感じでわかりやすかったり, ある程度みんなが聴き慣れたものの方が動画というコンテンツの中では, 邪魔にならないと理由からかな?と考えています.
さて, もうこの効果音の遍歴, だいたいここで終わりました
なんでかっていうと~
この時から今に至るまで効果音って進化してないんすよね
番外編
少しかわったことといえば, inlivingさん的なミニマリスト&おしゃれ的な人や企画家がYouTubeにコンテンツを出し始めて, 「効果音をそこまで使わない動画って改めてよくない?」的な雰囲気をかもしだしはじめたりとかしました.
(余談ですが, そういう動画はイケメンでパーマかけた大学生が自分はこんな落ち着いた動画も見れちゃうおしゃれだって思いながらみているんじゃねえかっていう偏見があるので僕は見れないです)
けど, そういうそもそも効果音って, 的な話をのぞいて効果音について考えると一般のYouTuberの効果音って全く進化していません.
だいたいのYouTuberの効果音で使われているのは, 「効果音ラボ」というサイトで商業フリーで配布されているものです.
YouTube編集者は基本効果音ラボからとってきて自分でファイルわけして, つかっています. 僕も仕事でするときもそうです. 素晴らしいサイトです.
他はよく使われているのは, YouTubeに上がってる, 違法素材の音であったり, 海外のサイト, あとはimovieやfinal cut proといった, ソフトについている効果音です. これらがずっと使われてきました.
そうなんです. ずっと過去に作られた効果音が今でも使われてきているのです. そしてそれは基本, ずっと変化していないのです.
最近おこっていること
以前からずっと活動してきたYouTuberたちは効果音を導入する際, いろいろ考えたんだと思います. 効果音を使ってみたいけど, 邪魔にならないか?とか, 視聴者はなにも感じないかとか配慮があったと思います.
ただ, 効果音をテロップが出る時に入れ込むのがあたりまえになった現在, 新規のYouTuberや最近増えている編集者は, 配慮をあまり考えず, 効果音はこういうものだと思ってやっているところがあると考えています. そうするとなにがおきてるか.
めちゃくちゃ効果音がうるせえ動画, 耳に刺さる質のわるい効果音がバンバン入ってくる動画が最近動画をみてて, 多いな, という印象です. それはその編集者やクリエイターが悪いわけではないのです. 単に現状あるものがYouTubeでの効果音として使用されるのを予想されずに作られています.
よく「シャキーン!!」とかいう効果音をYouTubeでびっくりした時などにいれるクリエイターがいますが, 毎回耳がいたくなります. そして元の音がかなりデカめの音なので, PremireProだと, -15dbくらいは補正かけないと, マジでうるさい. ただ, そういう効果音がないのが現状です.
その点, 特に最近瀬戸さんは, やはり半端なくて, めちゃくちゃ心地の良い, 効果音を自作したりして動画に組み込んでいます. しっかりと聞いてみると, 他とは全く違った効果音がふんだんに使われていたり, 高音が全くなかったりしてめちゃくちゃにみやすい. すごいです.ぜひ改めて動画をみてみてください.
自分の声の効果音とかが特に凝りすぎてる. マジで最高です笑
これらのことを踏まえた効果音の今後
効果音は, いろんなところでいろんな使われ方をされていますが, 元素材は基本ほぼ一緒という現状です. また, 最近の新しい需要として, ビジネス系のYouTuberが増えてきました. どういうYouTuberかというと, なにかこれまでのように商品紹介や企画ものしか撮る動画がなかったYouTuberではなく, 純粋に仕事がみてられるとか, その人の話をききたい視聴者が多い, というようなYouTuberです.
こういう系の人, 最近めっちゃ多いっすよね
こういう人たちは, 視聴者が飽きないためにたまに効果音を挟みたい, ただその効果音は短く単純な音であり, 煩くないし目立たない. 話を少し強調する時などに使える効果音でなくてはならない.
けれども, そのような効果音はまだあまりない. いくつかはあるがその数少ない効果音に使用が集中してしまう. という課題があるなと考えました.
また, 現在配布されているのは先ほど言ったように音量調節に気をつけなければいけないファイルであったりします.
しかし, 最近動画編集者, めちゃくちゃ増えてますよね. もちろん増えることは良いことなんですけど, テロップや仕事のスピード感に気を取られすぎてて, 耳(音)の領域にしっかり介入できている人が少ないとその人たちが編集した動画をみていてそう思っています. そうです. 音量全然下げる人がいないからうるさかったりするのです.
でもそれは仕方ありません. そういうことを気を付けろなんて誰にも言われないし, 元素材も元素材だからです.
以上のことを踏まえ, 私が考えるのは効果音はもっとアップデートされなければ, いけないということです. YouTubeで需要が高まっているのに対して, 供給が基本的に「効果音ラボ」という商業フリーのサイトのみ. これは少し違うと考えました.
なので新しいコンテンツを制作しました. YouTuber効果音, 230種類をほぼ0から制作していただきました!制作者はポン酢さん(@ponzliquid), 一緒に企画して進めたのは赤トマト(@akatomato_m)!
YouTuberに特化した効果音, 耳にささる音は基本弾いたり, いじったりして刺さないように心がけました. また, 音量調節をそこまでしなくてもそこまで大きな音にならないよう予めかなり音量控えめな効果音です.
かなり時間をかけて制作しました. マジでいいものができたと思います!ぜひお使いください!
終わりに
少し最後は愚痴っぽく&宣伝ぽくなって終わってしまいましたが, お楽しみいただけたでしょうか. 効果音というYouTubeコンテンツとは切っても切り離せない関係にあるもの.
それを改めて考えてみると, つい最近爆発的にやっと使われ初めた, けれど, 供給がまったくされていない. 音量が結構高いままで配布されている. など様々な問題点も見えてきました.
効果音はさらにアップデート分野, アップデートしなければならないしできる分野だと思います. 取り組んでくださるクリエイターが幸運にも僕のまわりにいてくれました. しっかりとやっていきます.
また, 余談ですがテロップの時もそうでしたが驚くのがYouTubeは一見消費コンテンツですが, よくみてみるといろんな世界が見えてくるということです. 「テロップ」からはデザインの世界, 「効果音」からは音やDTMの世界, そして「動画」自体からは映像編集や構成の部分, 様々なことを学べます. ぜひそのような視点でみなさんも様々な動画をみてみてください.
もしその知見がnoteなどにかけたら, ぜひ公開して, 「#映像クリエイたーのYouTube考察」とハッシュタグつけてもらえればと思います!
まさかの5000字超えてしまいました..!最後まで読んで下さった方, ありがとうございました!それではまた!!
狭間