私が百貨店を退職した理由
はじめての投稿なので私について自己紹介の投稿をしようと思います。
大学卒業後は大手百貨店で働き、その後転職しプログラマーとしてサーバーサイド・iOSの開発を仕事にしています。その2つの職を選んだ理由について書いていきたいと思いますが、長くなるのでまずは百貨店を選び・そして退職した理由について書きたいと思います。
百貨店を選んだ理由
本当に私は学生時代何も考えていませんでした笑 何もしたい仕事はなかったですし、働く自分というのを全く想像できませんでした。正直周りのみんなもそうだろうと思ってましたが、意外とみんな何も考えていないようでしっかり考えていたんですね笑 ずるい。
学生の時は流されるように就活を始めたわけですが、始めるときに多くの人がスーツ一式を買いに行きますよね。その時に百貨店のエクスペリエンスに感動したのが百貨店を選んだ理由です。
私は高島屋に親に連れられていったのですが(自分で買いに行かない時点でダメですよねぇ)、そのときはスーツではなくネクタイを選びに行きました。「正直ネクタイなんてなんでもいいわ」と思っていた私ですが、何を選んだらいいのかわからないため店員さんに話を聞きながらネクタイを選ぶことになります。
・就活に適したネクタイとは?
・他の就活生はどんなものを選んでいるのか?
・では他の就活生と同じようなものを選ぶべきなのか?
・志望する業界によってもネクタイの種類は変わってくる
などなど今考えると当たり前(かつどうでもいい)な話を聞きながら最終的に2本のネクタイを買うことになります。最終的な私の気持ちは「このネクタイが欲しい」となっていたことに本当にびっくりしました。
これだけ買い物に対する価値観を変えてしまった当時の店員さんに対して本当に感動し、自分も同じような感動体験を多くの人に届けたいと思い志望することとなったのです。
百貨店をやめようと思った理由
働き始めてから2年退職することになります。一瞬にしてやめようと思った理由になってしまうのですが笑
理由は大きく3つあります
・付加価値が高くない仕事が多い
・上司のための仕事が多い
・自分に能力が何も身につかない
・斜陽産業
一つずつ見ていきましょう
付加価値が高くない仕事が多い...私の仕事は簡単に言うと店舗に配属され、売り場の管理でした。ただそんな大それたものではありません。本当に色んな種類の仕事をしていたため一言では言えないのですが、クレーム対応・掃除・ポップ作り・お客様へ売り場の案内、販売員さんの話し相手…などなどありました。毎日30〜1時間位はエレベーター前に立って地図を見ているお客様・何かしら困っているお客様を見つけて案内するという日課もあります。上記の仕事はすべて本当に大事です。百貨店での買い物体験をより優れたものにするためには間違いなく必要です。ただこの仕事本当に一生をかけてするものでしょうか?アルバイトでも可能、もっと言うとペッパーくんでも可能な仕事はありそうです。これらの仕事は別に若手だからやっていたわけではなく、年代関係なくこういった仕事はしていました。間違いなく大事な仕事とはいえ、売上に決定的に関わる仕事ではありません。
上司のための仕事が多い…上司が喜ぶための仕事が本当に多かったです。このあたりは本気を出せば自分で会社を変えられたかもしれませんので環境のせいにするのは卑怯かもしれませんが。お客様に感動体験を与えるという仕事からは程遠いものでした。
一番覚えている嫌な仕事は資料作りに架空の数字をあげまくることです。例えば私の努めていた会社では売上の明細が詳細にはわからない仕組みでした(少なくとも末端の僕にはわかりませんでした)。あるブランドはどの商品が何点売れたかまでわかるもののこのようなブランドはほとんどありませんでした。あるブランドではアイテムの種類(パンツやジャケットなど)の売上だけがわかるもの(それも正確かはわからない)、あるブランドでは売上のみわかるるものがありました。
それに対して会社は次の売上を考えるために様々な数字を要求し、それに対してどう対策をするかを考えさせます。正直何の数字もわからないまま架空の数字の資料を作成、架空の数字に対して戦略を練るという仕事をしていました。これは私だけがやっていたわけではなく、こうやれ・こういうもんだと言われてやっていました。
他にはお客様に何件電話掛けをしたかを各ブランドから集計→店に報告という仕事がありました。百貨店はお得意様が多いので、それらの方に以下にお店に来ていただくかがひとつの鍵となります。各テナントさんに電話を直接お客様にかけてもらってお店に来てもらいます。その電話がけを何件したかというのを報告してもらい、それを私達が店幹部に報告するのです。私達はその数字を店幹部へ報告する際に数字を盛るよう指示されます。少ないと怒られるからです。更に言うと、しばらくしてわかったのですが、販売員さんが僕たちに報告していた数字も盛っていました。少ないと怒られるからです。こうして盛りに盛られた数字を店幹部はよろこび、万全の体制で店を構えるわけです。こうした仕事に嫌気がさしていたのは言うまでもありません。お客様の買物体験の向上のために使える時間は殆どありませんでした。
自分に能力が何も身につかない…上記の仕事を繰り返していった結果、自分の能力は何も身につきませんでした。誇れるのは
・お店のルールの把握
・会社の人間関係の構築
会社外では何も役に立たないものです。このままではこの会社でしか生きられない人間になってしまいます。反論としては「自分の勉強不足を棚に上げてないか?」というのがありますが、それは間違ってはいないと思います。ただ勉強するとしたら業務時間外になります。業務中は上記2つの事以外を学ぶことはほとんどどありません。自分の時間を使えばいいとは言え、仕事を持ち帰ってすることも多いですし、もともとの年間休日数も少ない上、有給も半期に1日しか認められていませんでした。休みの日・時間外でも店舗・取引先から連絡が来て対応することは珍しくありません。限られた自分の時間を勉強に当てても、業務時間内に本気でビジネスをやっている人間には凡人の私は到底勝てません。
斜陽産業だった…百貨店は誰もが認める斜陽産業かと思います(少なくとも現在の業態では)。売上は非常に悪いです。僕がいた店舗は会社の中でも力を入れてもらっていた方のお店でしたが前年の売上を維持するのがやっとでした。婦人服に関しては業界として不振だったので前年の売上を維持するのもかなり難しいです。売上が悪くてもやりたいことができていれば良いんじゃないか?と思っていましたがそれは甘い考えでした。売上が悪いと本当に社内の雰囲気は悪いです。責任のなすりつけは当たり前で人間関係はギスギスしていきます。他にも経費削減で時間外労働は一切認められません。定時になれば速攻退勤(時間外にならないギリギリまでは会社に残ります)、仕事は持ち帰ります。紙・インク代削減のため社内資料にカラーコピーは一切認められません。白黒コピーも限りなく使わないよう指示されます。ボーナスも一月分出るか出ないかがやっとです。
とにかくお金がないというのは本当に辛いことだなと思いました(小並感)。
では百貨店で働く上で良かった点は何でしょうか。私としては以下の3点かなと思います。
・華やか
・社販がある
・職場恋愛が盛ん
・お客様と直接コミュニケーションが取れる
です。1つ目と2つ目はわかりやすいと思います。単純にキラキラした店舗で働くことは楽しいです。ファッション・グルメが好きな人は本当に楽しいでしょう、またそれらを割引で購入することが可能です。ただ最先端か?と言われるとそこは少し疑問点になります。一昔前はそうだったかもしれませんが、現在はインターネットや他企業の努力で最先端のものを楽しむには百貨店ではないように感じます。
最後の「職場恋愛が盛ん」ですが、こちらは良かった点と言うか、事実として挙げさせていただきます。特に男性社員の多くは本当にみんな職場恋愛で結婚していきます。上司も幹部もみんなそうなので、止める権利は誰にもありません。良い悪いは別としてこれは事実かと思います。
最後の「お客様と直接コミュニケーションが取れる」は唯一やっててよかったことかなと思います。お客様心理、お客様への説明の仕方など話の組み立て方などはすごく勉強させてもらいました。
お客様の喜びの声や顔も間近で見ることができます。少ないですがそういった瞬間は百貨店で働く人間にとって冥利に尽きるという瞬間です。
上にあげた良い点は、仕事をする上で嫌だったことに比べると私にとってはかなり些細なことでした。良い点は上記くらいしかありませんが、嫌なことは正直まだまだたくさんあります(夏でもスーツとか…)。こうして私は予てからやりたいと思っていたプログラマーへと転職するわけですが、その経緯はまた次回以降書きたいと思います。
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