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タイポロジーの解説と強み、向いてる人など
今日は写真表現の枠組みの一つであるタイポロジーについてです。
知っている人には新鮮さはないかもしれませんが、これから写真史などを学びたい方のために、こういう知識系の記事も書こうと思います。
勉強っぽくてつまらなくなるかもですが、できるだけ個人の意見を入れて面白くできるように頑張ります。
概要
タイポロジーは、本来「分類学」という意味を持つ言葉で、
写真におけるタイポロジーは、似た特徴を持つ被写体を同じフォーマットや条件で撮影し、その集合体として表現することを指します。
似たようなものを並べるからこそ、逆に微細な違いに意識が向く
並べることで社会や文化の構造を読み解く
といった特徴があります。
例えば、建築物、道端に落ちてるもの、特定の人々のポートレートなど、あらゆるテーマがタイポロジーの対象になり得ます。
重要なのは、それらを一貫した視点と方法で捉えることです。これにより、被写体間の類似性や差異が明確に浮かび上がり、個別の被写体では見えない全体像として一つの作品になります。
一つ一つの写真がどう、という話ではなくなるのは好き嫌いが分かれるかもしれませんね。
タイポロジーで有名な写真家
ベッヒャー夫妻
タイポロジーで一番有名というか、タイポロジーを始めたのがドイツの写真家のベッヒャー夫妻です。
彼らは工業建築をテーマにしたタイポロジー作品を制作しました。全く同じ構図、天候など撮影条件で撮影し、それらを一つのグリッドにまとめて展示しました。
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この表現方法は単なる記録写真を超えて、建築物の形態や構造の中にあるパターンや規則性、そしてその背後にある社会的背景に意識が向く、と人々が気がついたのが最大の功績ではないかと個人的には思います。
ちなみにアンドレアス・グルスキー(数億円で写真が売れる人)やトーマス・ルフといった現代写真家たちの先生でもありました。
潮田登久子
日本だとパッと出てくるのは潮田登久子さんです。
KYOTOGRAPHIEでも川内倫子さんと一緒に展示していました。
一番有名なのは「冷蔵庫」のシリーズですが、帽子や本など一つの被写体を撮り続けるのが好きな方のようです。
ベッヒャー夫妻と違って、冷蔵庫は閉まってるバージョンと開いてるバージョンで1セットにしていて、タイポロジーの中でも表現方法はまだ開拓の余地がありそうです。
撮り方は簡単に思えるのですが、実は30年近くかけて撮り続けた作品です。
しかも何百(千?)も他のお宅にお邪魔して撮るって並大抵のことじゃないですよね…
個人的に思うタイポロジーの魅力と向いてる人
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