【映画】『ゴーステッド/ghosted』/正反対な二人が酷い目に遭いながらも愛を育む
皆さん、こんにちは、こんばんは。久しぶりの更新です。
今回ご紹介する映画は『ゴーステッド/ghosted』!!
え?知らない?
それもそのはず。本作はクリス・エヴァンスとアナ・デ・アルマスのW主演という豪華キャストでありながら、日本では全く話題にならないAppleTV+のオリジナル配信映画なのです。
AppleTV+のオリジナル作品でいえば、アカデミー賞でも注目された『マクベス』は日本でも劇場公開されましたが、2023年のアカデミー賞でブライアン・タイリー・ヘンリーが助演男優賞にノミネートされた『その道の向こうに』なんかも劇場公開スルーされ、配信オンリー。
もはやAppleTV+の作品は日本においては無風が過ぎるのですが、日本で数少ないAppleTV+ユーザーで同サブスクの大ファンとして、良い作品は推さなくてはなりません。
とにかくクリエヴァとアナ以外にもかなりの豪華キャストなので、是非とも以下お読みいただけますと幸いです。
①『ゴーステッド/ghosted』/作品紹介(あらすじ)※ネタバレなし
はい、あらすじとこの予告を観て分かる通り、アナ演じるセイディーがCIA局員のエージェントで、クリエヴァはただの民間人というキャラ設定ですね。
似たような作品で言えばトム・クルーズ&キャメロン・ディアス共演の『ナイト&デイ』が思い浮かびますが、この男女の立場を逆転させたようなもののようです。
▼こちらは私のネタバレなしの『ゴーステッド/ghosted』Filmarksレビューです。
②『ゴーステッド/ghosted』/監督とメインキャストの紹介
作品の内容に入る前に、監督とメインキャストを紹介します。
◆デクスター・フレッチャー(監督)
デクスター・フレッチャーは、イギリスの映画監督、俳優、脚本家であり、1966年1月31日にロンドンで生まれました。 彼は、イースト・エンドの貧しい家庭で育ち、学校を卒業した後、俳優としてのキャリアを追求し始めました。
彼は、1976年に子役として俳優デビューしました。『ハムレット』や『真夏の夜の夢』など、舞台俳優として活躍したバックグランドがあります。
フレッチャーは、2011年に自身の初めての映画監督作品『Wild Bill』を発表し、高い評価を得ました。その後も、『サンシャイン/歌声が響く街』『イーグル・ジャンプ』などの作品を手掛け、才能を発揮しています。
彼は、独創的でエキサイティングな映像作品を制作することで知られており、緻密な演出とキャストの演技力を引き出すことに長けています。また、社会問題を扱った作品にも力を注いでおり、その作品は高い評価を受けています。
代表作の一つはやはり大ヒットして各映画賞でも注目を浴びた『ボヘミアン・ラプソディ』ですが、実質的にはブライアン・シンガーの監督代行作品。ただし、翌年2019年に公開された『ロケットマン』でエルトン・ジョンの自伝映画を監督し、正真正銘の代表作品で地位を確固たるものにしたといえるでしょう。
◆クリス・エヴァンス(コール・リーガン役/プロデューサー)
クリス・エヴァンスは、1981年6月13日生まれ、アメリカ合衆国マサチューセッツ州サドベリー出身の俳優です。
代表作の1つといえば、MCU映画『キャプテン・アメリカ』シリーズ。彼は主人公スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ役で知られているのは言わずもがなですね。他にも、『gifted/ギフテッド』や『グレイマン』などの作品にも出演しています。今回アナ・デ・アルマスとは3度目の共演となりました。
現在は、俳優としての活動だけでなく、プロデューサーとしての活動も行っており、自身が出演する作品だけでなく、他の才能あるアーティストたちを支援することにも力を注いでいます。
個人的には『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』で演じたミステリー作家の孫、憎たらしいランサム役がお気に入りでした。この映画でもアナと共演していましたね。
◆アナ・デ・アルマス(セイディー・ローズ役/エグゼクティブプロデューサー)
アナ・デ・アルマスは、1988年4月30日にキューバのハバナで生まれた女優です。彼女は、キューバ国立演劇学校で演技を学び、卒業後にスペインに移り住み、俳優としてのキャリアをスタートさせました。
彼女は、スペインのテレビドラマ『El Internado』や映画『カリブの白い薔薇』などでキャリアをスタートし、2015年の『ノック・ノック』出演を機にハリウッドに進出しました。その後、『ブレードランナー 2049』でのジョイ役や『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』でのパロマ役などの映画に出演し、人気を確固たるものにしています。
彼女は、英語、スペイン語、フランス語、イタリア語など、多くの言語を話すことができる才能も持っているのも特徴でしょう。
2022年に公開されたNetflixオリジナル映画『ブロンド』は、作品自体は物議を醸し出したものの、アナの演技は高く評価され、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたのは記憶に新しい出来事。
今回の映画では、同じく2022年に公開されたNetflixオリジナル映画『グレイマン』では敵対する立場だったクリス・エヴァンスとラブシーンを演じるとあり、期待値は高まるばかりです。
◆エイドリアン・ブロディ(ルヴェック役)
エイドリアン・ブロディは、1973年4月14日にニューヨーク市クイーンズで生まれた俳優です。彼は、両親に半ば強制的に演劇学校に入学させられ、舞台で演技の技術を磨いたといいます。
彼の代表作はやはり『戦場のピアニスト』でしょう。作品も上質ながら、ブロディ自身はアカデミー賞主演俳優賞を受賞しました。ほか、『キング・コング』、『ダージリン急行』など、数多くの映画に出演しています。
彼は、多くの映画賞を受賞し、アカデミー賞以外にも、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞、スクリーンアクターズギルド賞、カンヌ国際映画祭賞など、数々の名誉ある賞を受賞しています。
W主演の一人アナ・デ・アルマスとは『ブロンド』で共演済みで、今回の作品でも再共演となりました。
③男女凸凹コンビのロマコメは過去にこんな作品があった
似たような作品でいうと、前述した『ナイト&デイ』があげられます。この映画を下敷きにしているのかもしれませんが、正直思った以上に本作『ゴーステッド/ghosted』がめちゃくちゃ面白くて、「及第点のこんな感じで大丈夫なんだよ」以上の満足度がありました。
でもせっかくですから男女の凸凹コンビの似た作風の作品を簡単に振り返ってみましょう。先にこれらを観て楽しむというのも面白いかもしれませんね。
『ナイト&デイ』
映画『ナイト&デイ』は、トム・クルーズとキャメロン・ディアスが共演した2010年のアクションコメディ映画です。物語は、カメラマンのジューンと、謎のスパイであるロイが出会ったことから始まります。
ロイは、ジューンを巻き込んで様々な事件に巻き込まれていきますが、ジューンは彼に心惹かれていくことになります。ロイは、ジューンが危険にさらされることを防ぐために、必死に彼女を守ります。
しかし、ロイが追われるスパイ組織の陰謀に巻き込まれ、ジューンも命を狙われることになってしまいます。2人は、危険な旅を続けながら、スパイ組織と戦い、事件を解決していくことになります。
『ナイト&デイ』は、ユーモアとアクションが織り交ざった展開が特徴。程よく楽しめるポップコーンムービーとして成功したといえるでしょう。トム・クルーズとキャメロン・ディアスの息の合ったコンビネーションも話題を呼び、世界中で親しまれている、のかもしれません。
2023年には『ナイト&デイ』のインド版リメイク『バンバン!』も日本で公開されたのも記憶に新しいです。僕は観ていないんですが。
『Mr.&Mrs.スミス』
映画『Mr.&Mrs.スミス』は、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが共演した2005年のアクションコメディ映画です。物語は、ジョン・スミスとジェーン・スミスという夫婦が、お互いに秘密のスパイとして活動していることが明らかになったことから始まります。
ジョンとジェーンは、互いの仕事を隠しながら普通の結婚生活を送っていますが、ある日、彼らの命が危険にさらされることになります。そして、彼らは、お互いの正体を知った上で、殺し合いをすることになるという物語です。
しかし、お互いに惹かれ合っていることを知り、彼らは協力して、共通の敵に立ち向かうことにします。
『Mr.&Mrs.スミス』は、二人の豪華俳優の魅力的な演技と、ゆるくて笑えるストーリーが話題を呼び、世界中で大ヒットしました。
『デート&ナイト』
映画『デート&ナイト』は、スティーヴ・カレルとティナ・フェイが共演した2010年のアクションコメディ映画です。日本では劇場未公開で、2011年にビデオスルーとなりました。物語は、普通の夫婦であるフィルとクレアが、突然謎の男たちに追われることから始まります。
フィルとクレアは、互いに子育てに追われながらも普通の結婚生活を送っています。しかし、ある日、二人は、友人とのディナーを楽しんだ後、謎の男たちに襲われます。そこで、彼らは、自分たちが誤って現金を奪ってしまったことが原因で、犯罪組織に追われる身であることを知ります。
フィルとクレアは、互いに協力しながら、犯罪組織と戦い、事件を解決していこうとします。その過程で、彼らは、自分たちの人生や結婚について考え直していくという作品です。
『ザ・ロストシティ』
映画『ザ・ロストシティ』は、サンドラ・ブロックとチャニング・テイタムが主演を務めた2022年のアドベンチャーコメディ。物語は、恋愛小説家のロレッタが、新作「ザ・ロストシティ」の宣伝のため、モデルのアランと共に各国を巡る宣伝ツアーに出ることから始まります。
そのツアーの道中に、謎の実業家フェアファックスによって南の島へと連れ去られてしまうのです。
それを知ったアランは島へとたどり着いてロレッタを探し出し、島から脱出しようとするが、予測不能のハプニングが次々に起こり、正反対な性格の2人の相性の悪さも手伝って、過酷なサバイバルを繰り広げることになる、という話です。
ブラッド・ピットの数少ない登場シーンが一番インパクトが強いのが本作のハイライトと言えるでしょう。
④世間のイメージと真逆の情けなさに萌えるクリス・エヴァンスのキャラクター(※以下、ネタバレあり)
主演のクリス・エヴァンスが一躍有名になったのは、やはりMCU作品『キャプテン・アメリカ』や『アベンジャーズ』シリーズでしょう。
屈強で鍛え上げられた体躯と正義を真っ向から演じ切ったキャプテン・アメリカは彼の代名詞的キャラクター。そんな彼が本作『ゴーステッド/ghosted』ではあまりにも情けない一般市民コールを演じています。
そのギャップがあまりにも可愛らしくてたまらないんです。
しかも彼は花屋で働くというこれまたギャップ。植物や書物を愛する、体格に似合わない文学青年なのです。
そんな彼が一目惚れしたのが、自分が働く花屋に「ほったらかしても平気な花」を買い求める美女セイディー。最初は花を粗末にするような彼女の考え方に真っ向から対立してしまうのですが、あまりにも美しくて心を奪われてしまった彼は彼女を追いかけていきます。
そんなストーカー的なところから始まってしまう恋。
しかし、思わぬ展開が待っていました。意外にも彼女はコールの思いに応え、デートで共に過ごし、そして一夜を共にするわけです。
そんな素敵な彼女が忘れられないコール。あるキーアイテムのおかげで、セイディーがロンドンにいることが判明し、またもや彼は彼女に会いに行こうとストーキングをするのです。
ちなみに萌えポイントはたくさんあって、一つはデートの時に彼女と階段をどっちが早く登り切れるかを勝負するのですが、余裕で負けます…。世間的なイメージがキャプテン・アメリカ俳優の彼にはガッガリ…するわけでもなく、なんだか愛おしく思えてしまうのは不思議です。
⑤MCUファン大歓喜! 豪華カメオ出演も見逃せない
イギリスに渡って、彼は愛しのセイディーに再会するわけですが、まさかの正体を知ってしまいます。
そう、彼女はCIAエージェントだったのです(前述しましたが)。
気づけばなんだか悪そうな奴らから逃げることになり、コールはいきなり拳銃を渡され、セイディーの援護をすることに。でも、人間なんて撃ったことないんだからそううまくいくわけない!爆笑
結局、セイディーはコールを守りながら、余計な足枷がいる状態で悪い奴らから逃げることになるのです。
いやぁここのカーアクションがめっちゃお金かかってそうで、しかも大迫力で面白い!大型のバスをなんとセイディーことアナ・デ・アルマスがバックで運転しながら、追ってと応戦するというアクションとしてはとても見応えあるシーンなのです。
で、その後のシーンからMCUファン歓喜のサプライズが続きます。ここからカメオ出演などの俳優はシャットアウト!という方々は気をつけてください。言いましたからね!
ー
ー
はい、その後登場したのがMCUシリーズでファルコンを演じ、近年は2代目キャプテン・アメリカを継承したアンソニー・マッキーが登場!しかも「サムの孫がどうとか」明らかにMCUを意識したような問答台詞でクリエヴァとやり合っているのが、もはやファンサービスでしかありません。
さらに、次に登場したのはジョン・チョー。最近公開された『search/#サーチ2』の1作目『search/サーチ』で主演していました。ってチョーはなぜカメオ出演!?クリエヴァやアナの過去出演作とも照らし合わせてみたんですが、全然分かりませんでした。
でも、チョーめっちゃかっこよかったのでそれはそれでありです。
そこだけでも驚きだったのに、次に登場したのはなんとMCUシリーズでウィンターソルジャーことバッキー・バーンズを演じたセバスチャン・スタン。立て続けのサプライズ出演に驚きのあまり、僕も声が出てしまいました。
ほか、ライアン・レイノルズや監督のデクスター・フレッチャーもカメオ出演していました。
やっぱりAppleTV+は日本では無風ではありますが、予算のかけ方がエグいです。
⑥過去の自分と決別し、新たな一歩を踏み出す物語
ロマンティック・コメディ&アクションという作風なので、めっちゃ軽い映画って感覚はありますが、実は映画としてのテーマ、根幹がしっかりとしていました。
コールは世界を旅したいという夢を抱きながら、農場を営む実家や怪我をした父親を理由に国外へ旅をしたことがない、という一歩を踏み出せない人生を送っていました。
一方、セイディーはCIAエージェントというカッコいい肩書きと確かな格闘の腕前を持っていますが、過去に母親を亡くしたことを長年悔やんでおり、もう二度と大切な人を失いたくない思いで、人と深く関わることを無意識に避けているところがありました。
そんな彼らが、正反対なそれぞれの思いを共有しながら、悪い奴らと対峙していくことで、少しずつ新しい世界の扉を開こうと殻を破ろうとする物語なのです。
最初の二人の出会いが最後までメタ的に表現されているのがよかったですね。
セイディーはCIAという立場上、他人に身分は易々と明かせないし、世界を飛び回る仕事。自宅でゆっくりと過ごすということがほとんどありません。
彼女が花屋に立ち寄り、ひとときでも安心や安らぎを得たい思いから花を買い求めるわけですが、「手間がかからない花は何か?」とコールに問うわけです。
そんな彼女の姿勢が許せずに口論になりますが、彼女は怒りながらもベゴニアという美しい花を手に入れます。しかし、その直後にベゴニアは車の急ブレーキで鉢ごと倒れてすぐにダメになってしまうのです。
結果的に水をあまりあげなくても育つサボテンを後に手にいれ、そのサボテンは倒れたり落ちたりと散々な目に遭いながらも、物語の終盤まで無事なままです。
これはまさにセイディーと一緒にいるコールそのものでした。セイディーとは何度も口論してすれ違いもありながらも、必死についていき、どんな危険な目に遭っても無事。そして逞しく育った彼は、セイディーにとってかけがえのない存在になっていくんですね。
このサボテンの存在が物語の序盤から最後までしっかりと効いているのがとても良かった部分です。
⑦おわりに
さて、いかがでしたでしょうか。
とにかく本作は『ナイト&デイ』の男女逆転物語のようでありながら、主演二人の成長が見られるドラマ性の高い作品。
MCU的な嬉しいサプライズもあれば、愛おしいぐらいに情けないクリス・エヴァンス、強くて逞しいアナ・デ・アルマスとこのキャストを観るだけでも価値があります。
ちなみに本作のセイディー役にあたる役は当初スカーレット・ヨハンソンを予定しており、スケジュールの都合で降板。代役としてアナ・デ・アルマス出演となりましたが、結果的にすごく良かったのではないでしょうか。
少なくともMCUをきっかけにクリエヴァファンになったという方には是非とも観ていただきたい映画です。これを機にAppleTV+に加入するのはいかがでしょうか?
▼現在はTwitterスペースで隔月配信を行っています。以下初回配信の録音です。
〈#EDDIEのかく語りき 第1回目配信のお品書き〉
①EDDIEの自己紹介と配信に至った理由
②3月の映画振り返り
③4月の注目映画
④AppleTV+最前線
⑤AppleTV+ドラマレビュー (鑑賞済みイチオシドラマのネタバレなしレビュー)
⑥次回予告
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?