【ARTEMIS】【導入編】 アルテミス計画で猛加速する宇宙開拓
1969年 7月20日
アポロ11号船長アームストロングは人類を代表し、月面に足跡を刻んだ。
あれから約50年の月日が経過した今。
人類は再び
あの "月" へ舞い戻ろうとしている。
五度の延期を繰り返したアルテミス計画が、11月16日 日本時間 15時47分をもってついに始動した。
これは歴史的瞬間であることだと、全人類が痛感すべきである。
なぜなら、このArtemis計画の始動が意味すること。
それは、人類未踏の大地 "火星" へ踏み入れる第一歩となるからだ。
アルテミス計画が目指すもの
アルテミス計画が、人類に寄与するものを一文字で表すのなら
それは、”住” である。
つまり、人類の生活圏拡大だ。
これまでの月というのは、有人探査ができる地球外唯一の星だった。
しかし、これからの月は、人が滞在できる星へと移り変わっていく。
そして
次なる目標として待っているものは、
これまで未到の地だった火星へ、有人探査の翼を広げること。
では、実際にアルテミス計画を主導するNASAの口から、本計画の目標を聞いてみよう。
さらにNASAホームページに書かれている内容を加え、上記の記載を掘り下げてみる。
月面開発を行う真価というのは、学問的な発見はもちろんのこと、そこに新たな市場を生み出していくことにあると、NASAは考える。グローバルな人材が新たな市場の参加者として月へ送られる。この様な、経済的循環が生み出せるようなインフラ整備は、国営開発機関が担う重要な宿命とも言えるだろう。
さらに、NASA曰く
初めて地球外惑星と人類の接触を成功させたアポロ世代から、地球外惑星での生存を目標とするアルテミス世代へバトンタッチするため、若き者たちへ多くのインスピレーションの種を残していくことが、人類の持続的な進化には非常に大切なことであると考えている。
以上のことから、アルテミス計画を通してNASAらが掲げる野心として、以下の3つにまとめることが出来る。
1. 深宇宙の探求でより利益的な発見をする
2. 月面開発による新たな雇用機会を生み出す
3. 新たな世代へ発想の種を撒く
しかし
なによりもアルテミス計画を行うことの最大の意味は、
「人類は、他惑星での生存が可能かどうか」
という疑問に対して、実例と共にイエスを叩きつけることが出来るか否かということ。
50年前の人類が残した実績
今から約50年前の1969年
人類は、初めて月に降り立った
" We choose to go to the moon "
カラーテレビの放映が始まった時代、多くの人々が色のある世界に飛びつく中
ある男は、モノクロの月を眺め驚愕の一言と共に、野心的なミッションを打ち出した。
当時、旧ソ連との間で勃発していた宇宙開発戦争の中、ソ連の開発力に敗北を重ねていたアメリカに反骨の指揮官、ケネディ前大統領が現れる。
彼は、アメリカ第35代大統領に就任したばかりの1961年に「60年代の終わりまでに月に人類を送り込み、無事地球へ帰還させる」と議会で、強気のスピーチを行った。
しかし、この結論を下す際のケネディは強気ではなかった。
というのも、かなり周囲との押し問答を経て出した答えがこれだったのだ。
※ 今回は本記事の主旨から脱線するため、別れの涙を堪え、詳細の記述を控えるとする。まあ、アポロ計画全体解剖の記事もおいおい書くため安心してほしい。
アポロ計画が残した発想の種
アポロ計画といえば、人類初の月面着陸である。
いや、違う。
アポロ計画が人類へ贈った最大のギフトは、月面に残る足跡でも、月面で撮影した宇宙飛行士の姿でもない。
約380kgの月の岩石だ。
そもそも、アポロ計画はアポロ1号から17号までの約11年間の期間を用いて行われたビックイベントだ。その中、アポロ11号目で歴史的瞬間である月面着陸を行った。
この11年の計画の傍で、もちろんNASAはしっかりと月面探査も行っている。
その産物が月の岩380kgなのだ。
数回の有人探査と共に、月サンプルとして月面にあった岩石をしっかり回収し研究に回していた。
では、一体この岩石からどのような発見をすることができたのか。
【研究結果】
・太陽系誕生の初期の岩だった。
・地球上には存在しない成分の岩石があった。
これまで人類が到達し得なかった月のサンプルを目の前にした結果、月にある岩石の歳は太陽系が誕生した初期時代の年代であったことがわかった。
これらの発見は、人生一度はよぎる全人類の疑問「地球と月の成因」の究明に大きく寄与することとなった。
例えば、その一例としてジャイアント・インパクト説がある。
当時、入手した月の岩はこの説を有力視する上で重要な役割を果たしたのだ。
さらにさらに、月面環境についても多くの発見をした。
というのも、月面はレゴリスという名の砂に覆い被さっており、その砂は月面探査を行う上で諸刃の剣であることが分かった。
デメリットとして、その性質が挙げられる。
レゴリスは、非常に微細な形状で、磁石にもくっ付きやすいという性質を有すため、月面探査時、宇宙服にまとわりついたり、精密機器に侵入しやすかったりと重大な問題を引き起こす可能性があった。
しかし、レゴリスにはこれからの月面社会形成において大きなメリットを秘めている可能性もあることが分かった。その一例に、レゴリスの構成成分が挙げられる。
なんと、レゴリスは酸素の供給源や、建築材料、核融合の原料にもなりうるのだ。
現在では、アポロ計画を通して入手した月面環境の情報を参考に、人類がより安全で効率よく月面活動を行うツールの開発が急がれている。
こういった利点を最大限に活かすことは、人類が月面でモーニングコーヒーを嗜める時代へ、早送りしてくれる大事な鍵であると言える。
アポロ計画とアルテミス計画
アポロ計画、アルテミス計画どちらも、目指す舞台は ”月” である。
しかし、根本的な動機は全くもって違う。
アポロ計画は、先ほどケネディの発言にもあったように「人類を月面に送り、安全に帰還させる」これを計画達成目標の主軸に置いていた。
一方でアルテミス計画は、「月面での経済活動の基盤を作る」をゴールにNASA主導で、運営を行っている。
さらには、最終目的として、アルテミス計画は人類を火星へ送り込む有人火星探査を掲げて動いている。ここも、アポロ計画との大きな違いだと言える。
しかし
万が一、あなたが
「アポロ計画とアルテミス計画は、全く違うベクトルの計画か?」
と聞くのであれば、嫌な顔して即答で ”NO” と言ってやりたい。
なぜなら、アルテミス計画はアポロ計画なしには存在しえない計画だからだ。
アポロ計画の経験から得たあらゆる知見は、アルテミス計画の様々な箇所で活かされることは間違いない。今回は、導入編のためアルテミス計画の詳細を書くことはしないが、ミッション内容を鑑みてもアルテミス計画というのは、アポロ計画からの累積的な計画であると言える。
そして、アポロとアルテミスのネーミングには、そのことをほのめかす要素も含まれている。
アポロ と アルテミス
どちらもギリシャ神話に登場する神だが、この二柱は双子である。
こういった背景からもNASAは、アポロ計画を強く意識してアルテミス計画を動かしていることは間違いないだろう。
では、最後に
アルテミス計画が用意する人類飛躍の試みを箇条的に紹介し、
次回の ”【本編】アルテミス計画で猛加速する宇宙開拓 " の告知とさせていただく。
人類代表を乗せ、月へ送り出す "Orion宇宙船"
NASAにとっては有人宇宙船はスペースシャトル以来。
しかし
そんな船を宇宙へ送り出す上で必要なロケットは
地球上に存在しなかった。
NASAは造らなければならなかったのだ。
これまで培った技術を惜しみなく使った
これまでにない "新たなロケット" を。
そして
月への生活圏拡大の鍵となる
月周回宇宙ステーション ”ゲートウェイ” の構築。
アルテミス計画はまだ始まったばかりだ。
さあ、一緒に見届けよう。
アルテミスミッション。
この成功は、世界を変える。
そして
激しい輝きを放つ煙幕の先に
新時代の夜明けが待っている。
ご覧いただき、誠にありがとうございました。
次回は、「【ARTEMIS】 人類飛躍の大作戦ARTEMISプロジェクトの始動 」
お楽しみに!
WRITER: Yuji TAKAHASHI
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