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アドベンチャートラベルの5つの要素とフロー理論の関係性

アドベンチャートラベルの5つの要素とフロー理論の関係性について

アドベンチャートラベルで求められている5つの要素
・斬新、ユニーク
・自己変革
・チャレンジ
・健康
・影響

について、フロー理論との関係性についてまとめてみたい。

フロー理論、特に知的好奇心によるフロー、脳内で完結するフローを発生させるには、下記の図のとおり、参加者の知識量、語彙力、理解力とバランスが取れた内容のツアーを展開する必要がある。

もし、与える情報量が多すぎたり、質が高すぎたり、難しい言葉を使ったりすれば、思考をスタートすることができない(フロートリガーが与えられない)状態になるので、フロー状態にはいることはできない。

スティーブン・コトラーの超人の秘密、p241によると

フロー状態を生み出すための下地として、重要なことは「多様性のある環境」であり、「新規性、予測不可能性、複雑性」がある環境が重要であると指摘している。

なぜ新規性、予測不可能性、複雑性が大事か、というと、新規性があるものは、自分自身の過去の経験によって、思考や判断が自動化できない(ニューロンが繋がっていない)という状況であって、考える必要がでてくる。予測不可能性や、複雑性も同じように、その場その場で考える必要性がある。だからこそ意思が集中するのだけど、AT5つの要素の「ユニークさ、斬新さ」というのは、まさに、この新規性にほかならない。

1、ユニークさ、斬新さ

ユニークさや斬新さは、誰にとってのユニークさ、斬新さか、ということでもあるので、実はかなり重要である。もちろん「ツアーを作る人、行政にとってユニークである」ということでは、もちろんない。ATトラベラーをターゲットとした場合でも、実際は、一人ひとり経験や知識は違うので、何がユニークで、フロー状態が発生するかは、もちろん一人ひとり違う。ただ、そうやって一人ひとりのフロー状態を見つけることが難しいので、「日本の里山風景を巡る自転車ツアー」「浅草のバーホッピング」など、比較的広いターゲットがフローに入りうるテーマを選ぶことになりがちだ。(なぜ、里山やバーホッピングのターゲットが広いのか、ということも、フロー理論から考えるとわかりやすい。何か特定のニッチな興味関心を満たすことを目的としたツアーは、当然フローに入るために、興味関心、知識などが必要になる。そういう要素を揃えたセグメントは相対的に少ない。ただ、里山など、日本の文化、建物、食など、ターゲットが母国で接している時間が長い基礎的なもの(衣食住はターゲットの興味関心と関係なく、毎日触れて、時間を費やしていて、知識があり、理解もしやすい)は、前提となる知識があるため、フローに入りやすい。
バーホッピングは、そもそも酒を飲んで誰かと話す、という行為それ自体が、フロー状態になることを目的としている可能性が高いため、基本的にフローに入りやすい。

あるターゲットA、あるいはペルソナAにとって、その景色、味、音、肌触りが、過去に経験したものでなく、自動的に処理できないものであれば、思考が発生しやすいので、フローに入る可能性がたかい。ということになる。

2、自己変革

異文化体験をし、新しい価値観に触れて、自分自身の考え方が変わる。あるいは、成長する、そういった事柄を自己変革として定義した場合、この過程では当然、深い思考が必要になる。

例えば、自分自身の過去の経験、自国の文化、価値観と比較して、新しく(新規性)触れた価値観や考え方は自国の文化や風習価値観とは違うものの、合理性があって、筋が通っている。こういった新しい考え方を自分の人生にも取り入れよう。と考えた場合、これはもちろんかなり脳内で高次の思考が必要になる。

こういった思考の過程では、やはり提示された事柄に集中させなければならない。つまりこのブレインストーミング、この自己変革の過程でも、フローは発生する可能性は高いと思う。

3、チャレンジ

チャレンジは、文字通り、フローにいたる過程で、自分のスキルよりもわずかに高い難易度のもの、こと、に挑戦する、トライする、ということだ。そもそもフローの構成要素に「チャレンジ」という要素があるので、この項目はそれほど文字数を割かなくてもよいとは思うが、チャレンジは、上記の1、2と同じように、自分の経験の範囲外にあることであって、身体的であっても、精神的であっても、思考回路で高速の処理が必要になる。

4、健康であること、5、サスティナブル ~外的な事柄~

この「4、健康であること、5、サスティナブルであること」は、ツアーの中心的な価値ではなくツアーの周りを固める外的な内容だと思っている。つまり、本質的な楽しさや満足度であるフロー状態には直接的に関与しない可能性が高いもの、ともいえる。(サスティナブルであることは、場合によってはフローと関連があるかもしれない)

この外形的なというのは、「ツアーを選ぶときに、選択肢があった場合、本質的なPull要因や顧客のニーズを満たすことが第一(日本の田舎の文化が見たい(東京も京都も見るけどね)なのだけど、第二の選択要素として、排気ガス垂れ流しで、地域から搾取しているツアーを選ぶかというと、そうはならない。という意味で、選択の際の要因となっている部分である。

運動を伴えば、健康的であるし、サスティナブルであることは、フローのポジティブな活動という前提条件を満たすために重要だが、ツアー中身とのリンク性は弱い。

5つの要素のうち、ツアーの本質に関わる部分は3つ、残りの2つはツアーを選ぶ際の要素になっているのではないか、と思っている。

フロー理論とアクティビティの高付加価値化、楽しさや満足度の言語化についてはこちらのマガジンをご覧ください



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