葉一さんと学ぶ、今日からできる受験生のお子様への食事サポート方法
受験生の我が子を、食事面でもサポートできないか?
そうお悩みの親御様も多いかとお思います。そんな親御様向けの情報を整理し、とある男が授業をしてみたでお馴染みの教育系Youtuber葉一さんに提供したら、こんな素敵でわかりやすい動画を上げていただきました。
が、折角なので整理した情報をnoteにも記載します。
なお、今回は「アタマの働き」に関してまとめています。「カラダの働き」に関しては、別途まとめてみます。
大前提:まずは、バランスよい食事が大切!
食生活は特定の食品・成分を重点的に摂取すればいいというものではなく、これさえ摂取すれば大丈夫、というものはございません。大前提として、バランスのよい食事が不可欠で、1日三食、主食、主菜、副菜を基本とする食生活が重要です。
とは言え、どんな栄養を摂ると良いか、どんな食事にするといいか、という研究は多数行われてきました。
そのため、食事のバランスを意識した上で、
・勉強を頑張るお子様が摂取すると良いと考えられる栄養成分
・注意した方がいい食事行動
がいくつか挙げられます。
1.脳の働きを促す成分の摂取が重要
脳のエネルギー源は「ブドウ糖」です。
一方で、脳の働きを促すには、タンパク質やビタミン、ミネラル等の栄養素が不可欠です。これらの栄養素が不足すると、認知機能*1や精神機能*2をつかさどる脳内神経伝達物質*3の産生が上手くいかず、疲れや集中力の低下等に繋がります。
特に重要な栄養素は、次の4種です。
(1)タンパク質 (ナッツ、豆類、乳成分がおススメ!)
タンパク質に含まれるアミノ酸(特に必須アミノ酸であるフェニルアラニンやトリプトファン)は神経伝達物質の原料になります。これらが不足すると、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質がつくり出せなくなり、集中力ややる気の低下を招きやすくなります。
どちらのアミノ酸もタンパク質を含む食品に広く含まれますが、特に、
・フェニルアラニンはナッツや豆類
・トリプトファンは乳製品
に多く含まれています。ただし、フェニルアラニンの過剰摂取はトリプトファンの吸収阻害に繋がる研究結果もあり、摂りすぎには要注意です。
(2)ビタミンB群(レバー、ささみ、きのこ等がおススメ!)
ビタミンB群は、脳内で神経伝達物質の産生を加速させる栄養素です(タンパク質が原料であれば、ビタミンB群はオイルのような役回りです)。
特に、ビタミンB6、葉酸、ナイアシンなどは、セロトニンやドーパミン、ギャバをつくり出すために必要不可欠な栄養素。不足すると、不眠に悩まされたり、新聞や難解な本が頭に入ってこなかったりと、いった集中力の低下が現れるリスクがあります。
また、ビタミンB12は神経細胞の機能維持に役立つことが知られています。なので、日々頭を使い、成長しているお子様には重要な栄養素になります。これらの栄養成分は、以下の食材に多く含まれます。
●ビタミンB6:レバー、鶏ささみ、マグロの赤身等
●葉酸 :葉野菜、レバー、小魚等
●ナイアシン:レバー、カツオ、キノコ等
●ビタミンB12:シジミ、レバー、アサリ等
(3)ミネラル(鉄) (レバーや赤身の魚がおススメ!)
ミネラルもセロトニンやドーパミンを作る上で欠かせない栄養素です。
特に、鉄は全身に血液を運ぶ役割を担っており、不足すると脳内の酸素不足や、疲労感や立ちくらみなどの症状が現れたりします。
鉄は動物性食品に多く含まれており、レバーや赤身の肉、魚介等が挙げられます。ただし、鉄分は耐用上限が設定されているため、サプリメントを用いた過剰摂取はご注意下さい。(※鉄は体内での吸収率が低いため、通常の食事では過剰摂取の心配はありません。)
(4)脂質(DHA) (サンマ、サバなどの青魚がおススメ!)
脂質は、エネルギー源としての働きだけでなく、細胞膜やホルモンの主成分でもあるため、適量の摂取が不可欠です。その中でも、不飽和脂肪酸、特にオメガ3脂肪酸であるDHAの摂取が重要です。
DHAは、特に脳や神経組織に多く存在し、これらの組織が発達するときに欠かせない栄養素だと考えられています。1970年代に「日本人の学力の高さは魚中心の食生活をしているからかもしれない」という研究結果が報告されてからDHAに注目が集まり、子どもの脳の発達にDHAはどのような影響を及ぼすのか、さまざまな研究が行われてきました。
例えば、DHAの摂取による小学生の読解力の向上が臨床試験で確認されており、子どもの学習能力の発達を高める栄養素と考えられます。
DHAを豊富に含む食材は魚介類、特に青魚。
サンマ、サバ、イワシなどの油が多い青魚がおススメです。
2.以下の食事行動にも要注意。
(1)朝食を抜かない。
2019年に小学6年生と中学3年生を対象に実施された全国学力・学習状況調査によると、朝食を食べている頻度が高い方が、学力調査の正答率が高いことが示されています。
そのため、朝食を食べる頻度と学力の高さには関係性があると考えられます。(※朝食を摂取すれば学力が上がる、とは断言できないのが残念です)
また、朝食に五大栄養素(三大栄養素+ビタミン、ミネラル)を含む栄養調整食品を摂取した場合、糖質のみ摂取もしくは未摂取と比べて、脳活動が高まることが東北大川島教授らの研究で明らかになっています*4。
そのため、脳の働きを促すためには、パンやおにぎり等の炭水化物だけを摂るだけではなく、栄養バランスが良い食事を摂取することが望ましいです(バランス大事!)。
(2)炭水化物だけを摂らない。
脳のエネルギー源であるブドウ糖は、血液を通じて脳に送られます。
血液中のブドウ糖濃度は血糖値として示され、適切な血糖値を維持することは脳の働きを維持するためにも重要です。
ただ、この血糖値は食事の量や内容に大きく影響します。
仮に急上昇すると、反動で急激な低下を招き、眠気や集中力の低下等に繋がります(グルコーススパイク)。
一方で、血糖値が緩やかに上昇すると、低下も緩やかになり、結果として脳の働きが持続するとも言われています。そのため、血糖値の急上昇を抑える「低GI」(GI:グリセミックインデックス、血糖値の上がり方を示す指標)な食事を心がけることが良いと考えられます。一例として、低GI朝食の摂取は、朝食抜き・高GI朝食摂取の場合と比較して学生の認知機能が高まるという試験結果もあります*5。
低GIな食材(炭水化物)としてはパスタや玄米が挙げられますが、血糖値の変動は食事メニューによっても変わるため(白米だけより、他のおかずと一緒に白米を食べると血糖値の上昇が穏やかになり低GIになる)、おにぎりだけ・パンだけの朝食ではなく、前日の残りモノでも良いので追加のおかずを一緒に食べる等の工夫が効果的です。
3.まとめ
想像以上に長文になってしまいました。まとめますと、次の通りです。
これ以外にも、受験生におススメできる栄養成分(GABA、熟成ホップ、ラクトペプチド、イチョウ葉、PSなどなど)は色々あります。
が、まずはバランスよい食事を意識して、上で記載した成分を摂ったり、食事行動を意識することをおススメいたします。
※おまけ
受験勉強に役立つ情報を、twitterでも発信していきますので、宜しければフォローください!