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【分析⑥・⑦】1投目ってどれだけ大事なの?【堤雄司データ集】

こんにちは。
以前投稿したデータ集の中から自分の気になっている部分、気になった部分を分析してみました。
結論だけ知りたい方は目次からさいごにを選択していただければと思います。
元のデータ集はこちらから↓

はじめに

投てき種目や跳躍種目、いわゆるフィールド競技と言われる種目はトラック競技と違い、ヨーイドンで始まらないという特徴があると僕は考えています。
選手は順番に試技を行い、駆け引きや牽制をしながらせめぎ合います。
順番に投げるということは、自分が初っ端に良い記録を出して他の選手にプレッシャーをかけることができ、またはその逆もありうるということです。
このあたりの駆け引きはスプリント種目にはないものかと思います。
中長距離の方が絶対駆け引き多いけどね。
トラックとフィールドどちらが難しいか、などという二元論は不毛なのでここでは話しませんが、とにかく投てき競技は6投の試技回数があり、まず3投で上位8人に残らなければいけないという条件の関係上1投目である程度の結果を残すことがとても重要であり、そのプレッシャーは尋常ではなく、失敗したときの試合運びの難しさは競技者であればよくわかると思います。

今回はそんな難しく、そして重要な1投目に焦点を当てて分析してみました。

分析⑥:1投目に関する記録

まずはどうデータ出したらいいかよくわからなかった1投目に関する様々な記録について3つほど表にしてみました。
記録については記録の価値を均等にするため、その試合前までの自己記録(PB)を100%とし、それに対してどれくらい投げられたかを(%)で表記しています。

一番右の枠の数字だけ見れば大丈夫です。

はじめに95%という数字について説明します。
これまで僕は試合に臨む際、「1投目ではこのくらい投げたい」という数字を試合計画に組み込んでいました。
例えばPBが56m前後の頃は1投目で53m投げたいと思っていましたし、PBが60mの頃は1投目で57~8m投げたいと思っていました。
今は50mが目標であれば1投目は47~8m投げる必要があると学生たちに伝えています。
またPBを更新できた試合の時はだいたい1投目から調子がよく、理想的な試合展開ができていたことが多かったように思います。
その肌感覚を逆算したとき、「だいたい95%」という数値が出てきた(47÷50=94%、53÷56=94.6428…%、57÷60=0.95)ため、この数字を採用しています。
この95%という数字はほかの分析でも出てきますのでよろしくお願いします。

全試合(105試合)中、ファールを含めて1投目の記録が残っているものの中で95%以上投げられたのは全体の28.09%、つまり4試合に一度以上の確率で1投目に95%以上投げられている計算になります。
逆に100%以上、つまりPBを更新した試合における1投目の記録の平均は96.86%。
1投目からの上昇率が4.67%、つまり1投目から最終的に4~5%程度記録を伸ばせることからも、PB更新のためには1投目に95~96%程度投げる必要があると考えられます。

ただ、あくまでこれは僕一人のデータを見ての見解なので、他の選手たちのデータや傾向を見てみるとまた違った結果が出るかもしれません。

分析⑦:1投目の内容別99%以上投げる割合

次に先ほどのデータを少し補強する意味合いで、1投目の結果ごとに良い結果が出せたかどうかの分析をしてみました。
数字に関しては別に100%以上(PB以上)でもよかったのですが、データ数を少しでも増やす目的と、99%以上なら「だいたいPBと同じくらいのパフォーマンス」と言っていいんじゃないかな、と思い設定しました。
もしキッチリやるなら100%以上にした方が良かったかもしれませんね。

データを見てみると、1投目に95%以上投げた場合に最終的な記録が99%以上となる割合は56.00%、90%以上95%未満の場合(14.81%)や90%未満もしくはファール(F)の場合(5.41%)と比べて明らかに差が出ています。
こんなに差が出るものなんですね。
正直驚きました。

分析⑦-1:1投目の内容別平均記録

さらに1投目の結果ごとの最終的な記録の平均も出してみました。

1投目に95%以上投げた場合の平均記録は99.71%、90%以上95%未満の場合は95.78%、90%未満もしくはファールだった場合は92.59%でした。
分析⑥の1投目からの平均上昇率がおよそ4~5%だったことを考えると、やはり1投目の内容がそのまま記録に影響すると考えられると思います。
ちなみに1投目をファールして99%以上投げられたのは一度しかありませんでした

分析⑦-2:1投目と最終記録の関係分布図

最後に1投目と最終的な記録との関係分布図を載せようと思います。

1投目をファールした場合のデータは分布図には載せていません。
相関係数は0.584473で正の相関がでました。方法が合ってればだけど。
これまでの分析⑦、分析⑦-1で見てきたデータと照らし合わせても1投目の記録が結果に及ぼす影響は大きいと思います。

さいごに

今回の分析で、1投目の記録は最終的な記録に大きな影響を及ぼし、1投目を自己記録の95%以上投げられることができれば、かなりの割合で自己記録更新もしくは自己記録に近い記録を投げることができる、ということがわかりました。
まあこれは僕自身のデータしか見ていないので、もしかすると「1投目失敗しても全く影響ないよ」という強者もいるかもしれません。
自分の試合を振り返ってみて「練習はいい感じなのに試合で結果残せないな」という方は1投目の投げ方、試合への入り方を考えてみるといいかもしれませんね。

今回はこれで終わりになります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。今回は書いてても疲れた。
またね。

不定期で投稿したりしなかったりします。 気が向いたらまた見に来ていただけると嬉しいです。