報われない努力の先にあるもの
今日、3.4年面倒を見てきた本気で夢を追いかけいる生徒から衝撃的な言葉をもらった。
「音楽辞めます。」
彼はずっと本気で楽曲を作り続け、歌を志し、多くの作品を世に放ってきた。
僕と違うベクトルだけど過去の僕にも似た勢いで音楽に励んでいた。
今回、自分の定めた結果に至らなかったことでこの決断に至ったというのは分かる。不本意だろうけど自分の決めたルールに従う形になった。
そういう決め事をして挑んできた日々を僕は見てきた。
だけど僕は"音楽を辞める"というワードを持ち合わせていない人間だから最初は意味が分からなかった。
何より彼は数ヶ月前から謎の体調不良となり今は心も身体もボロボロの彼を見て"音楽を辞める"という決断はさておき、まずは心を回復させてほしいという気持ちが上回ってしまった。
何の言葉をかけたとしても現実は変わらないし、彼を癒すことが出来るわけがないのはわかるけど、何かを伝えたくて1時間以上も話してしまった。
「今まで本当にありがとうございました。」という言葉を聞いて、じわじわと事の大きさを感じ始めた。
後生の別れではないだろうけど今まで目標を共にしてきた関係は無くなり全く別の人生を行くことになるということ。
彼がレッスン所を後にして痛恨の感情になった。
指導者として情け無い。僕だけに責任があるわけではないけど、夢に導いてあげられなかった己の非力さが情け無いし非常に申し訳ないと思った。とにかく悔しい。
夢というのは誰しもが叶えられるものじゃないってのは当然。
だけどあんなにも努力をしてきた彼がそこから溢れてしまった現状が辛い。
だけど!
強く描いていた夢が叶わなかったのは僕もそう。
情け無い。
だけど!
叶わなかった夢の先を、当初望んだ形とは違くても、どん底見てもそれでも全力で振り乱してきた僕を見てほしい。
音楽に全力で挑んだ日々は嘘をつかない。
気づかないうちに自分を強くしてくれている。
僕はそれでも尚歌い続けた今こそ本物の歌を唄えるようになったと自信を持って言える。
音楽は毒。だけど人生も輝かせてくれる。
ひとつの夢が敗れたとしても次の章は必ず始まる。
僕は努力が報われないことの方が多かった。
だけど心の声に従ってずっと生きてきたら今に至った。
ちゃんと歌えてる。
ちゃんと毎日LIVEをしている。
先の不安に押しつぶされるのも当然。
だけど今だけはかろうじて気付けた自分の心の声があったならその赴くままに過ごしてほしい。
僕は音楽を辞めるという決断を迫られるタイミングはいくつかあったけど、言い訳をして逃げた。
ただ弱い人間。
だからこそ自分の命を最後まで鳴らし続けたいと思っている。
それは叶わなかった夢の先の今。
また夢が見つかっている。
人生において夢は何回も塗り替えていくもの。
しばらく逢えなくなるのはめちゃくちゃ寂しいが、必ずまた道が交わる日を信じて僕は走る。
僕は地味でいいからちゃんと自分の命をかけた音を毎日鳴らしていく。
それしかできないよね。
今はゆっくり休んでほしい。
またお互い強くなって再会だ。