「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記)　第117話：お金があってもなくても、真夜中に読むこち亀と漫☆画太郎は格別だ。

　「貧乏のいいところは、泥棒に遭う恐れがないところだ」
　（アルフォンス・アレー：フランスの作家）

　昔の話だ。
　彼女がずっと欲しがっていた財布がネットオークションに出品されていたことがあった。
　それを見つけた彼は、彼女に買ったらどうかと勧めた。彼女は少し悩んでいたようだったが、彼の熱心な後押しによって買うことに決めた。その場で登録をし、カードで購入。やっとあの財布が買えたと二人は喜び合ったのもつ束の間、出品者からはなんの連絡もない。
　普段だったらそんなことぐらいで焦ったりはしないのだが、今回は額が額だった。 
　彼らはその時点でようやく出品者の口コミなどを調べ出す。いや、調べていたのことはいたのだが、その商品が最後の一つだったので確かに彼らは慌てていたのだ。そしてほとんどの評価は高かったが、中にはぜんぜん連絡が返ってこないという口コミもあった。
　とりあえず様子を見ようということになり、そのまま数日が経ったある日、彼女から連絡があった。
　例の出品者から連絡があり、実は商品をすでに別のサイトで売っておりもう手元にはなく、つい出品を取り下げるのを忘れていましたごめんなさい、という旨のメールがきたそうだ。
　カードはもう決済が完了していた。更に彼女が何年もためていたカードのポイントも使用していたので、それが戻ってくるかも分からない。
　すぐに出品者に連絡するが、またもや連絡は無視された。
　様子をみるしかない状況が続いた。
　相変わらず出品者からは連絡がなく、カード会社とそのサイトの問い合わせに何度かチャットとメールで解決方法を尋ねたが、どちらの回答も本人かまたは出品者に直接言って頂かないとどうしようもできいないと言われるだけだった。
　彼は憤慨した。そして愚かな自分を悔いた。
　もしお金が返ってこなかったらどうしようか。こうなったら自分が彼女に返すしかない。
　しかしその前に警察と消費者センターに連絡しようと彼が思っていた矢先にメールが届いた。
　それは無事にキャンセルができたという連絡だった。
　安堵する彼。
　そして彼女。

　貧乏は泥棒に遭うことはないが、少しの損失で混乱をきたす。
　お金がほしいなぁ、と素直に思う彼なのであった。

　後日、彼はその財布をちゃんとしたところで買ってあげようと、そのための貯金を始めた。
　貧乏もいい。
　ただ金持ちもいい。
　お金は汚くない。
　汚いのはいつだって誰かを騙してでもお金を搾取しようとする人たちだろう。

　貧乏は泥棒に遭わないが、心をよく見失ってしまうのが欠点だ。

☆

　きっとあの出品者は、あの商品を釣りとして使っていたんだろうね。あくまで予想だけど、どう考えても安すぎたもん。
　
　安いものには訳があるね！笑

　今度からはきちんとした業者から買おう。

　多少高くても。

　そして今日、ぼくがFacebookで流れてきた無料のアフェリエイト講座に申し込もうとしていたのを止めてくれてありがとう。
　きちんと中身を見てみたら、なんだかとんでもな感じのセミナーだったわ。
　あぶねー。
　それにしても反省しないな。
　よく考えたら、数万円の商品がいきなりタダになるわけないもんね。

　タダは怖い。
　でもタダが好きなんだ。

　ダメダメだね、俺は。

　でも、

　こんな俺を、愛してくれてありがとう。
　（突然のエース！）

　今日も一日お疲れ様。
　頑張ったね。
　よっくり休んでね。

　愛しているよ。

　おやすみなさい。

☆

　初めての人生で騙されることも、

　騙してしまうこともきっとある。

　それは意識的だったり、

　無意識だったり。

　ただ一つ言えることは、

　人はお金のためには生きてはいないということだ。

　お金は時間を買うためにある。

　時間は好きなことをするためにある。

　人は好きなことをするために生まれてきた。

　だからお金は大切だ。

　好きなことをやるための道具だから。

　野球で言ったらバットとグローブ。

　サッカーで言ったらボールとスパイク。

　将棋で言ったら駒と将棋盤。

　冷蔵庫で言ったら冷たい空気と冷やしたい食べ物。

　真夜中の無料マンガでつい読んでしまうものと言ったら、こち亀と漫☆画太郎。

　堂々と稼ごう。

　堂々と使おう。

　今日もありがとう。

　あなたは明日、
　もし好きに使っていいよと言われてお金と時間を貰ったら、
　どんなことをどこで誰とやりますか？

　またね。

　今年も、残り234日あるよ。

　明日も一日あなたは信じられないぐらい、
　ありえない幸せをたくさん受け取る自分を受け入れ、
　認め、許し、愛します。

　おめでとう。

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