本屋の価値から「意味変」を考えてみる
私事ではあるが、西野亮廣さんのオンラインサロンに2020年4月末に加入した。
今までも著作である「革命のファンファーレ」や「魔法のコンパス」などは読了し音声サービスも愛聴していたので、ようやくという感じだが、とても刺激を受けている。
さまざまな媒体で、西野さんがたびたびおっしゃっているのが「サービスの意味変」というもの。
サービスの意味変の例
AKB48のCD販売は「音楽を聞くもの」から「握手できたり投票する権利」へ。
ビックリマンチョコは「食べるもの」から「コレクションとしてシールを集めるため」へ。
これだけ多種多様なサービスが乱立し、「不足しているものがない余った時代」に突入している時代。サービス提供者に回るのであれば、意識的にいくつかの「意味変」を持っておく必要があるということだろう。
自分の頭の体操のためにも、今回は本屋の価値を再考してみようと思う。
意味変に成功した本屋の例
本屋のサービスで意味変に成功した最も有名な例。それは北海道にある、いわた書店だろう。一万円選書というサービスだ。
それぞれの人が本屋に足を運び各々の判断で購入するという形ではなく、個人の趣味や興味に合わせて、一万円分のおすすめ書籍をセレクトして郵送してくれるというもの。
・本に対する造詣の深い店主が、その人に合った本をセレクトする場所
・他の本屋とは違う陳列やラインナップを楽しみにする「一万円選書」のファンが訪れる、ある種の観光地
サービスを展開する「ハブ」のような場所として機能しているわけだ。
場所と空間提供としての本屋
蔦屋が提供しているT-SITEも従来の本屋とは違う価値提供を目的とした施設だ。豊かな生活を提案することを目的とした新しい小売業業態として、TSUTAYAを中心として、様々なショップと連動させている。
リラックスできる空間とおしゃれなインテリア。自然と滞在時間は長くなり、客単価は上がっていく。
気になる本を選んでもらい購入してもらうために訪問してもらう、という目的ではなく、
「何となく大好きでリラックスできる空間に行きたい」
というウォンツを作り、自然な形で購入につなげているわけだ。
もっと尖った専門性と空間提供もありでは
私はT-SITEのコンセプトが大好きだ。車で30分程度のT-SITEには暇さえあれば足を運ぶ。
本を全く買う気がなくても、大学ノートとペンを持ってこの施設内の喫茶店でコーヒーを飲む。そしてノートを広げながら、これからのキャリア戦略を考えたりする。
こんな利用をする人は、ものすごく多いのではないか。
今後はもっと尖った専門性を持った本屋を中心とした、集合ショッピング業態ができてくると思っている。
例えば、トレーニング関連の本に特化した本屋。当然だが関連飲食として、栄養価の高いスムージーやプロテインメーカーが入る。
シャワー付きのマイクロジム、ちょっとしたセミナーができるコワーキングスペース。
新型コロナウイルスの影響で、人が集まることに躊躇する部分もあるが、だからこそ人と人が対面する時間の価値は上がっていくはずだ。
人数の制限はしていく必要もあるが、そもそもこの空間に入るための「入場料をとる」という発想もありではないか。
毎回入場料を払うという実質的な苦痛を和らげるためにも、このスタイルであればサブスクリプション型課金がフィットするはずだ。
美術館や博物館のように、形は変えつつも入場料を取ったサービス。
今までの本屋という概念にとらわれることなく、意味変を考えて発想を飛ばしてみるのは、頭の体操になる。
同じような意味変が、自分が提供するサービスでもできないか。
この視点を持つことは、今後ビジネスを提供していく中小企業やフリーランサーにとっては特に必須になるはずだ。
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