不機嫌なお年寄りにかけると喜ぶ言葉②
サービス高齢者住宅で働いていた時のこと。
精神的不安定なおばあちゃんがいた。
顔つきは、風神雷神のような、いかつい顔つき。
用事があると、ナースコールを鬼のように連打する。
職員いわく、「甘やかすと、図に乗る」そんなおばあちゃんとのこと。
どこか、近寄りがたい雰囲気を醸し出している
このおばあちゃんも、不機嫌な時が多い。
オムツ交換の時に、「あんたが昨日、おむつ交換したら、朝、おしっこが漏れてた!気をつけてよ!」と怒られた。
ちなみに、このおばあちゃんが言う、昨日のオムツ交換は、私はしていない。
いわゆる、「言いがかり」だった( ;∀;)
とりあえず、精神的不安定なので、優しく接するように努めた。
そしたら、私の顔が見えたら、名指しで読んで、おむつ交換をするように指名された。
とりあえず、嫌われてはいないことに胸をなでおろす。
あと、おむつ交換する時に、必ず言う言葉があった。
このおばあちゃんは、自分で体を横向けたり、お尻を上げたりできる。
その時に、「お尻を上げてくれたり、体を横に向けたり、助かります!自分で体を動かしてくれたら、すごい楽です!(*´ω`)」と言う。すると、全力でお尻を上げてくれる。そして、タイミングよく自分で横に向いてくれる。
「助かります!」という言葉。
オムツ交換の時に、利用者さんの膝を曲げて、お尻を上げてもらう。
これは、ズボンを上げるときに、結構上まで上がるので、介護する方も楽。
そして、利用者さんも数秒だけど、お尻を上げることで、ほんの少しのエクササイズが出来る。
「助かります!」と言う言葉だけで、頑張ってこのおばあちゃんは、あげてくれる。そして、この言葉を言い出してから、おむつ交換が終わった後は、「ありがとう」と言ってくれるようになった。
すごい、win winな効果だ。
と言うわけで、精神不安定なおばあちゃんが、喜んでお尻を上げてくれた言葉。「助かります!」という言葉で、別のおばあちゃんのオムツ交換する時にも、言ってみた。
認知症がない寝たきりでも、頭がしっかりとした人であれば、大体がみんな、お尻を上げてくれた。
でも、ふと思った。
オムツ交換する時に、お年寄りが、お尻をあげるのは、どれくらい
しんどいんだろう・・・と。
自分でも寝ながらお尻をあげてみた。
膝を曲げてお尻をあげてみたら、しんどくはないけど、これが80代だったら、どうだろう?
なかには、膝をまっすぐしたまま、お尻を上げてみた。
これは、きつかった((+_+))
でも、中には、膝をまっすぐしたまま、お尻を上げてくれるおばあちゃんもいる。
オムツ交換の時に、ささいなことだけど、お尻を上げてくれることを感謝しようと思った。
人は、自分の存在を認められるとうれしい。
そして、誰かの役に立ってると思うと、なおのこと嬉しい。
「助かりました」と言う言葉には、そんな力があるのかもしれない。
この言葉を言う時は、まぎれもなく助けてもらった時だから、
どんな小さなことでも、助けられている瞬間を逃さずに、キャッチして、「助かりました」と言うと、笑ってくれる。
オムツ交換の時に限らず、利用者さんや、職場の人に助けてもらったときに、この言葉をちょっと言うだけで、みんな嬉しそうにしてくれる。最近、そんな気がする。
この言葉で、誰かが喜んでくれるなら、何度でも言おうと思った。