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2015年 夏 ハイキュー日記

大切なことは全てハイキュー!!が教えてくれた
 第1回
「仲良く」とコミュニケーション


別に「仲良しこよし」しようとしてるんじゃなくてさー『ハイキュー!!』第7巻/縁下 力

『ハイキュー!!』には人生の全てがつまっている、とさえ思っています。最近も「コミュニケーション」について色々考えていたのですが、そういえば縁下先輩、こんなこと言ってたな……と思い出し、このエントリを書いています。

小学校の時、学級目標に「みんな仲良く元気なクラス」というのがありまして、わたしはそれが嫌で嫌でたまりませんでした。
み んな仲良く……無理!! 「みんな」と「仲良く」するってどういうこと! 意味わからない! できない! という感じで、理解できないことを強要されるのが本当に苦痛だったのです。それで学校に行くのが死ぬほど嫌だった時に、バレエを習い始めて、その流れで子どもミュージカルの団体に入りました。下は小学2年生から上は高校2年生までの大所帯で、「社会性」のようなものが育まれたとしたらミュージカルのおかげです。
で、学校とミュージカル、何が 違ったか、っていったら、ミュージカルでは「みんな仲良く」がなかったのです。「よい作品(年に一回定期公演がある)をつくろう」っていう共通の目標があって、それに向ってそれぞれレッスンしてるだけで、その中で仲良くなる子もいるし、そんなに話さない子もいるけど、メンバー、っていうのが居心地が良かった。性格が合わない子もいたけど、それはそれだし、先生も「(作品を良くするために)助け合え」とは言うけど、意味なく「仲良くしろ」みたいなのはなかった。学校の「みんな仲良く」は意味がわからなかった。今となれば、クラスは仲良い方が雰囲気もいいから、そりゃその方がいいなーとは思うけど、それを目標にされて、そこだけ言われても、当時はプレッシャーでしかなかった(「仲良くなり方」がわからなかった)。


 大人になってからも「みんな仲良く」の呪いはつきまといます。仕事とかで「みんな仲良く」が目標になっちゃうのは違うだろ? と私は思うのだけど、「みんな仲良く」が好きな人って存在して、そういう人たちってそれを強要してくるんだけど、こっちはもう「みんな仲良く」って言われるだけで構えちゃうので、もう駄目、ってことが度々ありました。なんでだかなー、なんで「みんな仲良く」が嫌なんだろう……って考えたら、やっぱり意味がわかんないのが嫌だった。みんな仲良くしてどうするの? っ て。その先に建設的な目標がないのに「仲良く」だけを目指すのが意味わからん。「仲良く」できないとだめ、って何? 大人なのに……友だちにならないと仕 事できないの……? 
 そうじゃなくて、「コミュニケーションとりやすいようにしといてね」って言ってくれたら、できたかもしれないのに!! っ ていうことに、つい最近気がついたのです。というのも、井上裕朗さんのワークショップ(的なもの)に参加したときに、井上さんが「シーンのために、相手役 とはコミュニケーションがとれるようにしておいてくれると有難い」みたいなことを、言っていて。それが「仲良くなっててね」だったら私は絶対できなかったんだけど、「コミュニケーション」だったから、「ああ、そうだなー」と思って、なるべく相手役の子が話しやすいように、先に声かけにいったりとか、別にできたんですよ。それで「仲良く」ってのが、すごくハードル高かったんだ、わたし! 円滑に物事を進めるために、または良いものをつくるために、コミュニ ケーションとれってことなら理解できるぞ、って気がついた。今までも、「コミュニケーションとってね」っていう意味で「仲良くして」って言われてたのかもしれないけど、私が「仲良くだと?!」って受け取ってたのかもしれない、とも思ったり。


 そんなわけで、冒頭の台詞です。天才1年セッター・ 影山くんが、先輩セッター・菅原さんと交代になって、試合を外からみているときに、2年の縁下先輩に言われる台詞。影山くんは天才だから、ついつい「わがが、わがが」になりやすいんですけど(7巻当時)、菅原さんは、スパイク決めた選手をほめたり、まわりに声かけしてて、それは「仲良しこよし」しようとし てるんじゃなくて、周りの調子とかみてるんだよ、って。縁下先輩、いいこと言うよ! 頭ごなしに「声かけろ」「ほめろ」とかじゃ影山くんも「なんでだ!」 「そんなんせんくてもいいやろ!」ってなると思うんですけど、ちゃんと理由とか目的も言ってあげるの。縁下先輩! 影山くんはツッキーこと月島くんが苦手 (気が合わない)なんだけど、勝つためにはコミュニケーションとらなきゃ……って一所懸命話しかける影山も偉い。(そこで安易に「お前、案外いい奴だな!」みたいなざっくりした展開にもっていかず、その後も全然2人が(プライベートで)仲良くならないのも作者の古舘先生のすごいところ。ハイキュー!!  ってそこが本当にすごい。「俺たち、仲間だよな!」とか「友情パワーで勝つぞぉ!」とか一切言わないで、ひたすら練習をして、試合に臨んでいる……。)
別にべったり「仲良く」なくても、ちゃんとコミュニケーションがとれる状態でいられればいいんじゃん! そういうことか! っていうの、私が最近ようやっとたどりついたところ、すでにもうハイキューに描いてあった……というお話でした。

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*追記*2019/3/22
今、こうして読み返すと、30歳を過ぎてもまだまだ青臭いことでモヨモヨとしていて、でもそれを漫画の力で少しずつクリアにできていってる、という……なんというか、人はいくつになってもちょっとずつ成長できるものなのだなあ、と思いますね。週刊少年ジャンプ、編集部の人にバラツキがあるのか、いい漫画はすごくいいのに、一部ジェンダー観が化石みたいなところがあって、炎上するたびにいやあな気持ちになるんですけども、繰り返しますがいい漫画はすごくいいので!! ハイキュー、鬼滅の刃、呪術廻戦あたりが私は好きです。連載初期のほうは「少年漫画だから……」みたいなお色気クリシェがチラ見えすることもありますが、人気が出てきて漫画家さんの自由度が上がるとそういうのがなくなっていくので、どんどん読みやすくなります。滅びろ、お色気クリシェ!

*トップ画像はマーシーさんに描いてもらったハイキュー風似顔絵。

日記が好きなので書き続けているわけですが、読んで、面白がっていただけたら、それほど嬉しいことはありません。いつもありがとうございます。