【先日、研究施設の被検体が逃走しました。】
私は生まれた時から記憶がない。具体的には年齢を覚えてもいないし、名前もわからない。よく人からは17歳ぐらいだと言われる。ただ毎日生きている。もちろん、こんなやつなので、学校にも行っていない。親がいたかどうかも知らない。ただ、ずっと一人のままである。
自分は生活は保護されていて、衣食住には困っていない。ただ、他人任せの生活ではあるが。自分は今の現状に不満を抱いてなどいない。だって本当の幸せを知らないから。こんな生活で毎日【死ぬ】まで過ごせばいいんだ、と思っていた。
そんなある日、自分を保護してくれている施設で何かが変わった。それは、髪を切ったとかいうものではない。生活が変わってしまった。
保護施設が何者かに襲われた
自分は夜中だったので寝ていた。あれは月がちょうど自分の真上にある時だった。ある物音がしていたので目が覚めた。でも、気にせずに寝続けた。
朝になった。
いつものルーティンはまずトイレに行き、食堂に行くのだが、いつも通りの雰囲気ではないことに気づいたのは食堂に行く最中のことであった。
何かが足の裏に着いた。
心地よい暖かさだと思った、その瞬間、
心地よさは心地悪さに変わった。
血が流れていた。
自分は食堂に着いて【懐かしさ】を感じた。
職員の人たちや子供たちの四肢がなぜか分かれていた。
自分は【血】に反応してしまった。
なかったはずの記憶の断片が思い出されてきた。よくないことは確かだった。気持ち悪いおじさんの声である。
その日、保護施設は跡形もなく消えた。
私は生まれた時から記憶がない。具体的には年齢を覚えてもいないし、名前もわからない。よく人からは17歳ぐらいだと言われる。ただ毎日生きている。もちろん、こんなやつなので、学校にも行っていない。親がいたかどうかも知らない。
ただ、ずっと一人のままである。