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最近、一般大学からデザイナーを目指す学生が増えている、という話。デザイナーになるための近道について考えてみた。

はじめに

こんにちは、アドウェイズの遠藤です。

職業柄、私は大学生向けの会社説明会によく顔を出しています。またここ数年、デザイナー職の新卒採用の最終面接も担当しています。そうした場で、美大や芸大などではない、いわゆる"一般の四年制大学"に通っている学生から、毎回このような質問をいただいています。

「デザイナーになるためには、何を勉強したら良いですか?」

「デザイン未経験者が、デザイナーになれるのでしょうか」

質問をもらう数は年々増えていて、またここ数年、私が所属しているデザインチームでも、一般大学に通っている方からのエントリーが増加しており、その分内定者の割合も上がっています。

でもどうして「デザイナーになりたい」と考える学生が、いま増えているのでしょうか。

その理由を考えるととも共に、また一般大学出身でもデザイナーになるために行うための準備の仕方や、ポイントなどをお話ししていけたらなと思います。

いま、デザインは価値観の転換期?

10年以上前、私が高校生の頃は、将来デザインやアートなどに関わる仕事をしたいのならば、美大や芸大、専門学校などに入って勉強をするのが一般的であるという風潮がありました。かくいう私も、将来は写真家になりたいと思い、芸術系の大学に入学した口です。

しかしここ数年、それらの勉強や仕事をするためのハードルは低くなりました。もちろん、学校での勉強は、自分がなりたい職業に就くための近道にはなり、経験や実績を積むには申し分ないと思います。

ただ、昔は高額だった「Adobe」も、今はサブスクリプションで利用できるようになったし(10万円くらいしたんです…)Adobeでなくても、撮った写真や動画を簡単に加工することができるスマートフォンアプリもたくさん存在します。また「figma」のようなブラウザ上で利用できる無料ツールも、大きく進化しています。

その上、YouTubeには技術を教えてくれる講師もたくさんいて、作った作品をポートフォリオとしてWeb上に公開することもとても簡単になりました。つまり、昔に比べると“身近で手が出しやすい領域”にどんどん変わっていったのです

そのため、中高生の頃は一切考えていなくても、大学生や社会人になってからデザインに触れたる機会を持ったことをきっかけに、「クリエイティブなに関わる仕事をしてみたい」と思い立つ人が増えているように私は感じています。特にデザインは、付加価値として後からついて回るものです。例えば「新しいサービスを作りたいんだ!」と考えて経営学部に入った学生がいたとします。でも、どんなサービスを作ろうと思ったとしても、そこにはデザインが絶対に必要になってくるんですよね。

最近は「なんなら、自分で作っちゃおう」と実際に行動に移す学生さんも多い印象です。そういったタイミングで「自分はデザインの仕事が向いているかも」と気が付いたり、将来はマーケティングの仕事をしたかったけれど、デザインの知識を取り入れて、クリエイティブディレクター職や、UXデザイナー職などの“企画開発職”を目指していきたいと思う人も増えています。

そしてここ数年、実は企業側も、そういった幅広い価値観を持つ人材を求めている節があります。これはどういう意味かと言うと……簡単に言えば「デザインの幅」が変化しているんです。

例えば、ちょっと昔までは、インターネット広告業界では特に、デザイナーは“主体性”を求められていませんでした。それよりも高度なスキルやスピード感を持ち、指示された仕事をそつなくこなす人が、とても重宝されていたんです。

しかし近年、前述した「デザインの幅」が、大きく広がり始めました。簡単に言えば、これまでの「デザイン」という概念は、サービス開発や広告制作においてイメージされていた表面的なものばかりでした。しかし現在はそれだけではなく、コミュニケーション設計や、先端技術を利用したビジュアルデザインなど、さまざまな視点からのアプローチを用い、クライアントやユーザーが抱えている多種多様な課題を解決していく「深層的なデザイン」が重要視されるようになったんです。

そのため、ビジネスの上流からデザイナーが深く関わるようになり、マーケティングやビジネス視点を合わせ持つデザイナーが、以前よりも企業側から求められるようになりました。その結果、職種・職能の細分化とともにスキルの最適化が進み、学生にとっても選択肢が大いにどんどん増えています。

私が働くアドウェイズでも、ビジュアライズ能力を最重要視するのではなく、コミュニケーション力や課題解決力、ロジカルシンキングにも注目をして、学生の面接をするように変化しています。おそらく、そのような考え方を持つ企業は、最近は徐々に増えてきているのではないでしょうか。

じゃあ、どうしたらデザイナーになれるの?

最初の質問に戻ります。

一つ目の「デザイナーになるためには、何を勉強したら良いですか?」という質問に対して、私が答えられる範囲でお話ししていきます。

ただ、どの領域で、どんなデザインの仕事をしたいのかによって、考え方は変わるのかなと思うのですが……ここでは「広告デザイナーになりたい!」と思っている方からの質問だと想定させていただきます。

私の答えとしては、まずは技術力を磨くよりも、世の中にあるたくさんの広告をとにかく見て、「作り手は何を意図してこの広告を作ったのか」と考えることが大事だと思っています。

例えば、電車に乗っていると、車内にあるビジョンや中吊りに、多くの広告が掲載されていますよね。そこで、緊急の用事がない限り、手元のスマートフォンをポケットに閉まって、広告に注目をしてみてください。

広告を考案した担当者は、なぜこのタレントを起用し、このデザインのパッケージを作ったのか。ターゲットは誰で、広告を見たユーザーにどのように思って欲しいのか。これをデコンストラクションと言いますが、時間の許す限り、目の前のプロが作った本物の広告を見て分解し、考察をしてみてほしいんです。そうすれば自然に、根拠のあるデザインが作れるようになり、作った理由を説明することもできるようにもなると思います。

二つ目の質問の、わたしなりの回答です。

「デザイン未経験者が、デザイナーになれるのでしょうか」

この疑問は、私も学生の頃に抱いていました。大学生の頃は写真の勉強に励んでいたため、Adobeのソフトも写真の加工くらいにしか使ったことがなかったんです。

プロのデザイナーになるためには、仕事を円滑に進めるためのスキルが必要です。簡単に言えば、自分の頭のイメージを、デザインツールを利用して形にするという技術です。ただ、前述しましたが、ツールを使うハードルは年々下がっており、時間とやる気があれば誰でもある一定のスキルを習得することは可能です。

ひいては、質問の答えとしては、デザイン未経験者でもデザイナーにはなれます。

しかし昨今は、職種・職能が細分化されているため、単に技術だけを得たからといって、企業側から必要とされるとは限りません。デザイナーを目指す人も多くなっているため、飽和状態になりつつもあります。

また、機械学習の技術がどんどん発達し、ある程度の簡単なデザインは、自動で作ることができるようにもなりました。

そのため、これからの未来、企業やクライアントから“選ばれるデザイナー”になるためには、ツールを使うことだけにフォーカスをせずに「なぜそのデザインを行なったのか」を、論理的思考を持って、言語化力を鍛え、自分の言葉で伝えていく必要があると感じています。誰でもデザイナーになれる時代だからこそ、誰にも真似できない「創造力」を大切にする。それがプロとして活躍するデザイナーになるための、近道かもしれません。

一般大学からでもデザイナーになれます

結論です。どこの大学に通っていても、その人の向き合い方次第で、プロのデザイナーになることは可能です。

例え、デザイン未経験者であっても、技術は1人で自宅で勉強することもできるし、明日からでも始められます。今から就職活動を始めようと思っている人でも、全然間に合います。

そして、「デザインの幅」が変化していることにより、大学や社会で学んださまざまな経験(プレゼンや市場調査、マーケティング、経営、経済、文学、コミュニケーションなど)が、デザイナーとして働き始めた際に、大きな強みに変換されると思います。

なので、一般大学出身でも、デザイナーになりたいという強い意思があるのであれば、自信を持って、デザイナーを目指して欲しいなと思います!
ぜひ、業界でお待ちしています。

このnoteでは、私が考えるデザインにまつわるさまざまなコンテンツをお届けできればと思います。ぜひ、今後の更新もチェックしてみてください。


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