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既婚者男(30)、推しの香水を作る
「推しの香水」という単語を耳にしたことがあるでしょうか。
3~4年程前に耳にしたのですが、「調香師の方が自分の好きなキャラクター等のイメージした香水を作ってくれる」というサービスとのことで、当時興味を持った記憶があります。
しかし僕自身香水を自分で買うということはあまりなく、プレゼントしたことはあれど、プレゼントされたものなどをたまに使う程度であり、知識もほぼありません。
ただ、Twitterでその単語を検索してみると
「あたまおかしくなる トんでしまう」だの
「推しのぬい(ぬいぐるみ)に吹きかけて一緒に寝ると添い寝の感覚を味わえる」だの
「完全に解釈一致のガチでヤベェやつ届いてもう脳汁ビッチャビチャ状態で香水ぶっかけた自分の手首の匂いひたすらスーハースーハー嗅いでる」だの
おおよそ正気の沙汰ではないツイートも垣間見えます。大丈夫かこの国。
とはいえ、自分でイメージした推しの香りを嗅げるというのはとても魅力的であり、折角だし考えてみよう! と思うに至り記事に残します。
1. イメージの決定と訪店まで
まず作る香水のイメージキャラクターです。ここを決めないことには始まらないですからね。
これは満場一致で「To Loveるダークネス」にて正ヒロインを務めたデビルーク星第三王女、モモ・ベリア・デビルークに決定です。
![](https://assets.st-note.com/img/1671111335389-iu1XCIPIiv.jpg?width=1200)
問題は次です。
それは、齢30歳の子持ち既婚男性が作る香水にしてはあまりにキツいのではないかという社会的な壁です。
![](https://assets.st-note.com/img/1671111627269-szOvHJODxb.png)
ふわっとしたイメージでしかないのですが、いくらなんでも自分用で使うにはキツい。
しかし香りは嗅ぎたい。
その香りを感じ一瞬でもその空間にモモがいた雰囲気を錯覚したい。
布団とか枕に吹きかけてモモの残り香アアアアアフンフンフンてやりたい!!!
ただ調香師の方に「モモ・ベリア・デビルークという超絶可愛い(以下略)」という説明をしながら香りを考えるのは正直恥ずかしい!
妻「でもユイくんが作るならモモちゃん一択でしょ、何恥ずかしがってるの」
辛辣だが正しい。
だが香水ショップとかいうキラキラ女子が集う場でデュフデュフとモモについて語るのはやはり
妻「私も言って上手くアシストするよ」
我が妻は神である。やはり三次元では妻を推すに限る。
2. インタビューシートへの記入
そんな訳で。
今回は、「FINCA」さんという香水ショップへ伺いました。
オーダーメイド時には1対1でお客様の希望を聞きながら香りを色々試していただく、とのことで不安もありますが期待が高まります。
まず、「インタビューシート」なるものにイメージしている香水像を記載するとの説明がありました。
![](https://assets.st-note.com/img/1671112720991-pxNnq9kHnI.png)
Q. 本日の目的は?
A. 自分用、オリジナルイメージの調香(マジでこう書いた)
Q. 香りのイメージを教えてください
A. 甘い香りや花の香りを基調に、わずかな苦みのような残り香。
茶葉の香りや柑橘系などの爽やかさがほのかにしても解釈一致で良い。
→基本的にクラスの高嶺の花で話しかけるのも躊躇われれる可愛さ、しかし非公式ファンクラブができても表面上それを否定することもないが時に見せる腹黒さをイメージしたため。茶葉は彼女の好きなもの=紅茶に由来。
などなどを記載。
具体的なキャラクター像などを書くのはさすがに気持ち悪いのでやめました。調香師のお姉さんめっちゃキラキラしてたし辟易した。
3. 調香へ
さて、インタビューシートを提出し調香師のお姉さんと調香へ。
だいぶ濁して記載したとはいえ、シートを一瞥し「ふむ、なるほど!」とめちゃ笑顔で対応されたの、なぜか心に刺さります。
まずここで、前提とした説明がありました。
・こちらの店舗の香水は、香水同士をブレンドするのではなく重ね掛けするもの。1本¥2,400- からで、1本ごとにその値段が加算される。
・プッシュする回数、重ねる順番によって香りが変わるため、それが少しでも変わると別の代わりになる。
「まず、サンプルがいくつかあったと思われるのですが、気になるものはありました?」
実は最初に店舗に訪れたとき、約60種類という様々な香水が展示されており、いくつか香りを試していました。
GALLERY | 新宿でオリジナルの香水を扱うお店 FINCA (kaoribarfinca.jp)
↑ のリンク先にあるような様々な名前だけではイメージし辛い香りがあったのですが、その中で特に気になったのは「ANGEL PEACH」という香水。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/93730534/picture_pc_6b2d6b567892b901307a7e5dff93f794.gif)
とにかく桃の果実のフルーティさが凄い! 甘い香りだが甘すぎない、すっきりとした爽やかさも含んだ香りです。
嗅いだ瞬間に感じた率直な感想ですが、
![](https://assets.st-note.com/img/1671540336255-YXbJ3QgCdQ.jpg?width=1200)
以後、香りを嗅ぐたびにモモを想像しました。香り嗅ぐたび、解釈が少しでも合うとマスクの下がニヤァってなるのマジでヤバかった。
絶対この姿とすれ違ったときに襟足あたりからフワッ……と香るやつ!!! としか思わなかった。これ、完成したらトリップするんじゃないか?
そこに、「華やかさの増強」「残り香に感じるほろ苦さ」をどうプラスしていくか……
そこで、調香師のお姉さんにその旨を伝え様々な香りの重ね掛けを体感します。藤の花の香り、バニラの香り、ダージリンの香り、メンズ向けの香り……
アカン、全部いい香りする。
というか全部好みの香りです。「めっちゃいい香りですね!」しか言ってないもん。食レポ下手な芸能人の香りver.みたいになってる。
妻には「なんかもう軸がブレてない?」とダメだしされる始末です。
「室内だけでなく、外で嗅ぐとまた違う感じ方ありますよ!」
と勧められ、店外に出て嗅いでみます。
確かに嗅いでみると、店内では強く感じたけれど外だと微妙、とかもありその奥深さが垣間見える。悩みが深まります。
ただ、どれも決定打に欠けていました。
ここはいいけどここが違う! の繰り返し。ここまで既に10を超えるサンプルを作成して頂いていますが、嫌な顔せずにサンプルを作ってくれるので本当にありがたくも申し訳ない限りです。
「では、3つ重ね掛けはどうでしょう?」
と、3つの種類の重ね掛けを提案されました。
4. 完成
結果から。完成品がこちらです。
![](https://assets.st-note.com/img/1671541577898-JS8dKAeOdQ.jpg?width=1200)
左から「ハーネラ」「シャイ・ガイ」「エンジェルピーチ」です。
今このnoteを書くために左腕に吹きかけたのですが、左腕に推しが降臨して集中できない助けて。
![](https://assets.st-note.com/img/1671543183570-jKR7J9zWtG.jpg)
甘さよりは爽やかな香りだけど後味がほのかな苦みに似た香り。
何より「シャイ・ガイ」=「結城リト(ToLoveるの主人公)」を想起させる香りが自然に取り込めてしまったことで、彼女がToLoveるという作品の中で彼にどれだけの想いを馳せて自分の考えが少しずつ変わり、自分の気持ちに正直になってあの最高の笑顔を見せた(略)好きな男の香りすら取り込む最強の香り爆誕です。
完成した瞬間、隣の妻にめちゃ気持ち悪い表情見せちゃったの申し訳なく思ってます。
というかこの香り、マジで無限に据えるんですよね。
今マジで集中できてません。無限に左腕嗅いでる狂人になってる。
余談ですが決定後、店員さんに「せっかくなら映えるように写真撮りませんか!」とおススメされ、
![](https://assets.st-note.com/img/1671541594123-Qi86rc6PqB.jpg?width=1200)
撮らせて頂きました。
「モモのイメージ香水を調香師の方にデュフデュフ言いながら」のツイートから、こんなオシャレ写真にまで辿り着くとは思うめえよ。
5. その後
その夜、寝る前に妻に試用して貰い、その香りを布団の中で嗅ぎました。
妻「どう?」
ぼく「
![](https://assets.st-note.com/img/1671543361821-OiaEYRRDL6.jpg)
推しが推しになった……
寝床で横から推しの香りがする……
ふと目を閉じて、想像しました。
自分の寝る布団の隣で、モモが寝ています。
微笑んでいます。
むずかゆそうにも見えます。
きっと今、リトに振り向いてもらうにはどうすればいいか考えているのかもしれません。
そんな気持ちをよそに、僕は彼女の匂いを再度感じます。
ah
![](https://assets.st-note.com/img/1671543530160-474cRJa3AI.jpg)
作って……よかった……
ふと目を開けます。
満足そうにいい感じにニヤニヤしている僕を前に、妻が苦笑しつつも「幸せそうだねえ」と言いました。
最高です、と言いました。
最後に妻は言いました。
妻「勃った?」
僕は微笑みました。