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17歳で借りたボロアパートの話

私は逃げるように一人暮らしを始めた、

初めての一人暮らしは。

想像を絶する快適さだった。


今まで、毎日、父親に、寝るなと怒鳴られ、干渉されていた日々から抜けれた喜び。

羽が生えたように自由とは正にこの事。

ホームシックなんて言葉は私からしたら呆れるような言葉だった。

仕事をして、家に帰る。

怒られない毎日。

なんて幸せな日々。

だけど、

今でも覚えてるのが

のちに母親と会った時。

あんたは逃げれるからいいよね。

と、言われた。

耳を疑った。

散々一人では生きていけないから、
離婚して子供達を抱えて生きていくのが無理と言っていた母が。

私の辛さを知っていたはずの母に。

味方だと思っていた母に。

地面に叩きつけられる一言を言われたんだ。


私は母親を守ろうとした。

でも、母親は守ってくれなかった。

そう確信したから、

意を決して、17歳でバイト代を貯めて、ようやく家を借りたのに。


逃げたと?


悲しかった。

どこまで人の気持ちを踏みにじるの??

なんで産んだのよ。


人を信じれず、誰にも必要とされていない自分。


いなくてもいい存在と確信したのもこの頃。


うちの家は、小さい頃から両親の喧嘩が酷く、毎日辛い地獄の日々を送っていた。

頭がおかしくなるほど寝るまで怒鳴られる。

物が壊れたり、家がぐちゃぐちゃになることもあった。

母親に離婚する事を泣いて頼んだこともあるけど、その勇気がないと断られた。

精神崩壊していた。

寿命が縮む思いだった。

家を出ることを決意して、必死にバイトをしてお金を貯めて不動産屋に行き、未成年なので親に同意書を書いてもらうためだけに会って印鑑を押してもらった。

父親もすんなりと受け入れた。


遂に念願の一人暮らしを始め、職場からも近くなった。

六畳一間で、電気コンロ一つ、ユニットバス、いいところといったら大家さんが水道代を払ってくれることくらい。
隣の声はまる聞こえ。
ボロいアパートだったけど。

紛れもなく私のお城だった。

何年間も怖くて仕方なかった場所から解放されて、一人で生きていける。

何もかもが新鮮でとても幸せだった。

だけど、もう二度と帰りたくない実家のことを考えると本当に悲しかった。


それから二年更新のたびに家を引っ越して色々なところに住んだけど、やっぱり初めて借りたあの家は一番思い出がある部屋に違いない。


そして、現在、結婚して、たまたまそこの家の近くに住んでいる。

たまに昔の家の前を通るたびに懐かしさがある。

あの頃の心に傷を負いながらも凄くキラキラしていた自分。

希望に満ち溢れていた。

だけど、自分の子供にはそんな思いをして欲しくないと心から祈っている。

生きることに行き詰まった時、帰る場所、待っててくれる人がいると、また頑張れると思うから。

今は、どんな方がどんな気持ちであの部屋に住んで過ごしてるだろう。

またあの部屋を見たいなとたまに思ってしまう。

#はじめて借りたあの部屋

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