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恩師なかりせば by岩渕健二

 高校生の時、映画研究部で8mm映画を作ってた。卒業の時、社会科の粟屋先生が「芝居も面白いぞ」と、教えてくださった。先生が面白いといったのはアングラ芝居だった。関西大学に入って、その言葉を思い出し、演劇研究部学園座に1年の冬に入った。そこから芝居屋人生が始まった。

粟屋先生が貸してくれた漫画『ガラスの仮面』(画像はイメージ)

 卒業して、あこがれのアングラ劇団に飛び込む勇気もなく、「劇団員の生活は保障する」という東京の新劇の旅劇団に潜り込んだ。そこで11年。
 普段から関西弁なので大阪出身の兵隊の幽霊役を頂戴できたが、体グセが直らないから動きはいっさいなし、へたに動くと怒られた。でも評判は良かった。が、3年で制作に廻された。会社で言ったら営業職。公演を打ちに行く各地方で、地元の協力者の方々にチケットを売っていただくため自分の出ていた芝居を売り込む。作品説明ばかりがどんどん上手くなって、実際に芝居を見てくださった方々から「あんたの説明のほうがおもしろかった、芝居はたいしたことなかった」といわれ、あせったことも今ではなつかしい、思い出。

 1997年、群馬に住む劇団関係者のところへ転がり込み、小学校を巡演する劇団に移籍。背が低いから、宮澤賢治の『雪渡り』の小学生やら、鬼の子ども役やらをもらって、9年。

 退団してフリーになって、よし!紙芝居屋のおやじになって、子供の現場で生きて行こうと志すも、あんまりうまくいかず、生活のためのアルバイトが本業になって、それでもなんとか人前で何かを表現することを、ほそぼそと続けてきた。

 気がつけば、還暦を越えた!

 京都公演が決まって、芝居を勧めてくれた粟屋先生にようやく見てもらえると思ったのに、2023年に亡くなられていた。

 先生、すみません。間に合いませんでした。でも、京都で、学園座の仲間たちが集めてくださる人たちに見てもらいます。

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芝居屋ゆいまの京都公演「読み語り『父と暮せば』」
2024年4月6日(土)17:00~ /4月7日(日)14:00~
会場:法光寺(京都市上京区中長者町通西洞院西入中橋詰町172)
全席自由 料金:1,000円 中高生500円  上演時間:約1時間40分
お申し込みはこちら↓↓↓Googleフォーム
https://docs.google.com/forms/d/1RVxRqe0vhlkBj4QukslMQ-JEZBjr3O3Yu84EHwB_l78/edit?pli=1



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