【カリキュラム・テスト・先生・クラス分け無しの学校?】新田サドベリースクール訪問レポート②
サドベリースクールとは「先生・カリキュラム・評価づけ・テスト・クラス分け」が一切無い学校である。アメリカの「サドベリー・バレー・スクール」をモデルとし、その理念に共感した方々が設立しているため、"サドベリー"という言葉が使われている。先生に代わってスタッフと呼ばれる大人が働いており、子供たちとスタッフが同じ立場で学校運営を行う。子供と大人が民主的に運営をしていくため、「デモクラティックスクール」とも呼ばれている。
いったいどんな学校なのか、2020年12月11日に現地まで視察に伺ったので、立ち上げに関わった方のストーリーや子供たちの変化や様子、保護者の声などを数回に分けてレポートします!
表紙に使っている写真は、新田サドベリースクールの皆さんが主に学んでいるロッジです。
中に入ると、広々としたスペースがあり、コタツやテーブル・椅子・キーボード・パソコンなどがあり、壁にはスクールで決められているルールの紙や様々な掲示物が貼ってあります。ルールも子供たちが主体的に考え、話し合って決められています。
子供たち自身が書いた文字で、ルールもひとつひとつ書かれていました。
どこからどこまでが自由?スケジュールはある?
新田サドベリースクールで、唯一全員参加が決まっているのは、15時からの「掃除・片付け」タイムです。
時間になると、皆さんがテキパキと動いて物を片付けたり机を拭いている様子が見えました。
朝の会が9時半から行われるということですが、参加は自由となっています。
私が伺った時間がちょうどお昼時で、数名がご飯を食べている光景が見えました。お昼ご飯の時間も自由です。給食がないため、弁当持参・近くのパン屋さんへ行って買う・自分で作る等、食べ物の調達方法は様々です。お腹が空かなかったら、無理してお昼に食べなくたっていいのです。その日、スクールでご飯を食べるのか食べないのかも、本人が決められます。
他には、週に2回程度、新田サドベリースクール会議(新サ会)が開かれていて、スクールミーティングが行われています、これも自由参加です。
要するに、「掃除・片付け」の時間以外は、全てが自由にやりたいことを選択できます。
外でトランポリンを飛んでいたり、建物の中でゲームをしたり、パソコンをしたり、全員取り組むことは様々でした。
リラックスしている状態というのでしょうか。子供たちは安心感に満ちている表情だったように思います。
自由だからこそ、自分と向き合わざるをえない
「サドベリーのように自由すぎる環境にいると、今何をしたいのか、したくないのかとか、自分に向き合わざるを得なくなるんです。」と、長谷さんは仰ります。
「さっきも、暇だなと呟いてる子がいたじゃないですか。その時間をどう使って何をするのかは、一人ひとりに任されているので、自分で考えるしかない。自由な時間が何ヶ月も続いていくと、何をしている時が一番楽しいかな?これなら没頭して良い時間を過ごせるぞ!と、子供自身が問をたてたり発見をしていくため、自分の意思を持って行動に移せる力が身につきやすいと思います。」
例えばどこにでもある公立の学校などで、「今日は1日中好きなことしててもいいよ。お掃除の時間だけは必ず全員でやりましょう。」と言われたら、
「やったー!!」と大喜びする子どもたちは多いのかなと想像します。でもそれが2日、3日、1週間、1ヶ月と続いていくうちに、やっていることに飽きたりもしてくることもあるでしょう。
毎日毎日自由だなんて、全ての子が望むことでは?と、一瞬考えがちですが、自由が苦痛に感じる子も存在します。
これは大人にも当てはまること。今まで誰かに言われた通りに毎日生きてきたのに、急に有り余る時間とお金を手に入れて自由な生活をできることになったら、皆さんは何をしますか?最初は楽しいかもしれないけれど、1年後も楽しめているでしょうか?
サドベリースクールが合わないと感じる子の理由の一つに、この「自由」な環境があげられます。
コロナショックが世界中で起こり、今までの考え方が根底から覆されているのを人類は目の当たりにしています。正解などどこにもないと思い知らされる状況で、サドベリースクールで培われやすいとされている「主体性」「自分に自分で責任を持つ生き方」は、とても大きな学びに繋がるのではないかと感じています。
親はついつい子供へ舗装された一本道を案内してしまいがちですが、子供が自分で考えて動く力を身につけるためには、あえて何もせずに見守ることの必要性を感じました。