ギターの人との確執
今日の練習曲は、初見のセッションの時の、ディープ・パープル(Deep Purple)のレイジー(Lazy)と、同じくディープ・パープル(Deep Purple)のバーン(Burn)、それとクイーン(Queen)のボヘミアン・ラプソディ(Bohemian Rhapsody)です。
梨紗ちゃんの心の声 (1)
「(あっ 音デカッ)」
「(えっ テンポ速っ)」
「(あー 歪みすぎ)」
「(えっ ここでこれ)」
「(えっ またこれ)」
「(えっ 今度はこれ)」
「(えっ まだソロ回してこない)」
「(あー まだ続けるんだ)」
「(あー やっとソロ回してきた)」
「(ちょっとー 音下げてよ)」
「(えー ここでもこれ)」
「(えー 単音リフばっかり)」
「(あーあ こればっかり)」
「(この人って)」
唯ちゃんビックリ
「ひゃーーー 梨紗ちゃーん」
「ちょっと止めて下さい 止めて下さい ギターの音大きすぎます それに唯が驚いていますので」
「こんなもんだろう 特にイントロなんか ディープ・パープルなんだから これ位でちょうどいいよ」
「そんなことはありません 音が大きければいいなんてことは それに ベースとドラムとのバランスも考えて下さい これではリズムセクションが聞き取り難いですから」
「ゴチャゴチャうるさいなあ」
梨紗ちゃんの心の声 (2)
「(まだ 音デカッ)」
「(やっぱり これ多すぎ)」
「(これも 単音リフばっかり)」
「(あー ここ省略してる)」
「(もう アーミング長過ぎ)」
「(チョットー ソロほとんどアドリブじゃないのよー)」
「(わっ 私のソロの時これ入れないでよー)」
「(唯 歌いづらそうじゃないのよー)」
「一から十までとは言いませんが 練習ですからオリジナル通りにやって貰えますか」
「そんなの面白くないよ」
「ベースもドラムも オリジナルに沿ってやって貰ってます 唯は言いませんが歌いづらいのは分ります」
「そんなの知らねえよ」
渚先輩だよ!
「ゴメンだよ 渚先輩 唯が悪かったよ」
「どっ どうして謝る」
「だってー コラって 怒ったじゃない だからだよ」
「で 唯は何をした」
「それが分らないんだよ でも唯が気付いてないだけだと思うんだよ」
「いや そうではなくて これは呼び方で 涼でも おい涼と 呼ぶから」
「じゃあ なんで唯だけコラなの」
「うーーーん なんかコラって感じだからだ」
「じゃあ 分ったんだよ」
梨紗ちゃんキレる?(1)
「オリジナルは弾けないんですね」
「弾けないんじゃない 弾かないだけだ コピーしないだけだ 自分なりに変えてるだけだ それも難しい方に」
「確かにタッピングや速弾きなど一つ一つを見ると上手なのかもしれません 失礼を承知で言います 私からしてみれば上手だとは思えません むしろ下手だと思います」
「なんだその言い方は どこが下手なんだ」
アタフタ唯ちゃん
「ひやー なんだよなんだよ これどうすればいいんだよ わー どうしようどうしよう」
「ありがとうだよ 涼先輩」
「あっ・・・・・・・・・・・うん」
梨紗ちゃんキレる?(2)
「自分だけ目立とうとして、全体のバランスを考えられないことです 唯が歌いづらい事など分っていませんよね」
「そんなの合わせられないのがダメなんじゃないか だから女のボーカルはダメなんだ 迫力もないし」
「唯を侮辱するのはやめて下さい 唯のボーカルを活かすように演奏するのがこのバンドの主旨の一つなんです 涼先輩も 渚先輩も それを理解した上で入っていただきました 初めから女性ボーカルのバンドだと分っていましたよね」
「女のボーカルはハードロックに向かないことがよく分ったよ それを補おうとしてやったのに」
「いま言ってる問題はボーカルじゃありません そちらの問題です」
梨紗ちゃんキレる?(3)
「初めから入る気はなかったよ」
「そうですか 分りました」
「つまらんバンドだ 渚も涼もよくこんなのに入ったな 落ちたもんだ」
「涼先輩と渚先輩を侮辱するのもやめて下さい 大切なメンバーですから そちらとはもう関係がないはずです」
「お前が一番つまらんよ 型にはまったことばかり言いやがって」
「そうですか そう思うのはそちらの自由ですから 何なりとおっしゃっていただいて結構です 最後に一つ言わせてもらうと ギターを大切に扱って下さい まずは基本的なことから始めたらどうでしょうか」
ギターリスト探し始動
「涼先輩 渚先輩 すみませんでした せっかく連れてきて頂いたのに こんなことになってしまって 本当にすみませんでした」
「梨紗ちゃん・・・・・唯はそれでよかったと思ってるんだよ」
「でも 唯・・・・・」
「おい 梨紗 謝る必要ないぞ 梨紗がキレなかったら 俺がキレれて蹴飛ばして追出していたからな」
「い いえ 私は何も切れたわけでは・・・・・」
「アハハ キレてたキレてた なあ涼」
「あっ・・・・・・うん・・・・あっ」(渚さんにしか聞こえていません)
「キレていません!!! あっ ごめんなさい でも どうしましょう また募集かけましょうか」
「まあ 俺たちが変なの連れてきたから 悪かったと思ってるよ 前はあんなんじゃなかったんだけどな だからギタリストは俺たちで探すよ いろいろ伝手もあるから 任せてくれよ なあ涼」
「あっ・・・・・・うん・・・・うん」(渚さんにしか聞こえていません)
「それでは よろしくお願いします ご足労掛けます」
「お願いだよ 渚先輩 涼先輩」
#幼馴染み #想いで話 #思いで話 #小説
#バンド #ベース #ドラム #ギター #ハードロック
#ディープパープル #リッチーブラックモア