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【11話】幼馴染みの想いで話(唯と梨紗ちゃん)

唯ちゃんは、「東雲(しののめ)」という苗字が、好きではありません、嫌いです。友達その他大勢の人に、「唯(ゆい)」と呼んで貰うことにしています。何と、その中には、学校の先生も含まれています。

東雲(しののめ)という苗字

東雲とは、「日本の古語で、闇から光へと移行する夜明け前に、茜色にそまる空」という意味のようです。
全国順位は10,650位、全国人数は約660人とのことで、めずらしい苗字と言えます。また、読まれにくい苗字でもあります

東雲は、おしゃれ、格好いい、憧れる、美しい、古風など良いイメージがあることから、苗字ランキングの上位に連ね、人気も高いようです。
また、「朝顔」のことを、別名「東雲草(しののめぐさ)」とも呼ばれ、和の風情が強く感じられます。

アニメキャラにも、東雲の苗字が使われていて、代表的なものに、「日常」のキャラに「東雲なの」という、東雲研究所に住んでいるロボット女子高校生がいます。

このように、人気度の高い苗字を、唯ちゃんが中学生を過ぎても嫌いなのには、小学校入学前後の体験が原因のようです。

「唯ちゃん 唯ちゃん」
「なあに」
「唯ちゃんの上の名前って 何て言うの」
「しののめ だよ」
「のののの・・・」
「違うよ しののめ だよ」
「のののめ・・・」
「違うよ しののめ だよ」
「しののの・・・」
「違うよ しののめ だよ」
「しめのの・・・」
「違うよ しののめ だよ」
「しののめ・・・」
「違うよ ののの・・・ そうだよ しののめだよ」

と、まあ、そんなことが度々ありました。
面倒くさがりの唯ちゃんですから、たまらなく面倒になってきました。
そこで、こうです。

「唯ちゃん 唯ちゃん」
「なあに」
「唯ちゃんの上の名前って 何て言うの」
「そんなの無いよ 唯だよ 唯だけだよ」

もう唯ちゃん、自分の苗字は捨てることにしました。
自分のことは「唯」で統一することにしたのです。
また、「とううん」や「ひがしくも」と呼ばれることも多く、学年が上がる連れて、意味を聞かれることも多くなり、ますます面倒になってきました。そこで唯ちゃんは、こうです。

「とううん さん」
「・・・・・・・」(唯)
「ひがしくも さん」
「・・・・・・・・」(唯)
「しののめ さん」
「・・・・・・・」(唯)

と、まあ、正確に呼ばれた苗字にも、反応しないことに決めたのです。
意味を聞かれたときは、こうです。

「東雲って どういう意味ですか」
「知らないよ」

これだけです。
東雲という苗字には、小さい頃から何かと悩まされていたようです。
気にしない唯ちゃんも、気にせざるを得ないことが、あったのです。
東雲に関しての話は、まだあるようです。
またいずれ語って貰いましょう。

では、また次回に、お会いしましょう。

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