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【演劇】 『背信』 本番フィルターってなんなんだ?

#戯曲を稽古して通してみようの会 最終日の記録は #全員稽古場日記に書いたが、最後に少し付け加えようと思う。



2月13日(月)全稽古と発表を終えて
3場エマ役小川結子


 「愛は自立とリスペクトで成立する」とすると切なすぎるよと感傷的になっている。ほぼ涙目でこんなことを真面目に考えているなんてすれ違う人たちに知られたくない。けどさ、私はめっちゃくちゃ人に寄りかかりたいし、以下省略。やっぱり愛と欲って相性悪いじゃないか。
…今日映画をみたのだ。この映画は稽古期間中に見たかったのだけど以前は満席で見られなかった。映画を見てもまだ『背信』に引き寄せて考えてしまう。1場のエマ&ジェリーはどんなに物理的距離が近くてもそれぞれ1人と1人の個に見えるのではないか。2人の間に境界線がみえるような。そういえば昨日の発表の時もそう見えていたような。それ以降のシーンは2人で1つの空間という感じが強まり、境界線が甘くなっていくような。とかとか…。そして私が演じた3場のエマは自立し始まっていると思うので、たまたまだけれど、ジェリーと同じ空間に居ながらも見えない境界線を肌で意識しながら演じたのは良かったかもしれない。

 今回、声のアプローチも意識した。空間と時間をおし広げるような発声や、身体のどの部分から声を出すか、相手のどこに声を当てるか、自分の内側に飲み込むか自分の外枠に纏うかなどだ。上手くいかないといつも語尾で調整した。準備していたのに入りきらなかった部分を全部語尾に込めるのだ。なんだかDJになったみたい。こんなに声を考えて芝居を作ったのは初めてだ。

 さて今回の稽古会の最終日である本番前、稽古は足りていると思っていた。シーン初めのエマは何をしようとしているのか軸を決めてからはブレが少なくなったから。そうすると緩急も作りやすくなった。そして、読み合わせの時に目標にしていた不在の人=夫ロバートを意識することもそのまま強めることにした。(別のシーン稽古を拝見してそうしようと決めることができた。)

ところが本番。緊張した!

開始からとてもいい流れでシーンが続いていて重かった。バトンってこういうことだ。私は開口一番から出したい音は出ず、あれ?。その後も狙ったことがいつも通りにできなかった。
緊張していてよかったことは集中が増したこと。そして言葉を交わしている相手がよく見えたことだ。今日はこのテンポなのだとかこういう気持ちなのだと割り切ることができたと思う。稽古より発信が減って受信が増えたような感覚もある。結局頼れるのは、役が持つ目的と相手役で、自分の言いたいようになんて進んでいかないんだなあ。(できる人もいると思う!!!)振り返ると、役の中に生まれる「気持ちのやり取り」と「表現する技術」を天秤にかけた時、技術を高めるようにやってみたいと思って今回は挑んでいた。本番でそれが反転したのが面白かった。
自分の反省としては小道具の扱い方がーーーーーっていうのと、エマの狡さや恋人のムードを出そうと思って本番だけ座る位置を変えてみたら、椅子と椅子のつなぎ目に座って落ちそになったこと。ダサっ。緊張も含めて本番フィルターがかかってしまうので、それとどう付き合っていくか今後探っていきたい。

 稽古初日からかなり自由にアイデアを持ち込ませてもらったし、現場で話し合いながらチャレンジできた。演出家からその都度オーダーやどう見えているかの提示していただき、次のテイクで瞬時に芝居を変えられるか訓練になってありがたかった。俳優の皆さまに準備の仕方や普段の芝居の作り方などもお聞きできて楽しかった。おもしろいもの、素敵な人たちに出会えました。本当にありがとうございました!また!



ここから付け足しだよ
なんで技術重視で取り組みたかったかと言うと、再現率と個性というクエスチョンマークにひっかかっていたからなのだ。
私は同じ演目でも毎回同じ芝居ができるタイプではない。同じゴールに辿り着くことができて、同じ強度を持っていれば途中の道は毎回違くても良いじゃないかと思ってしまうのだが、でも毎回同じ芝居ができる人ってどうやっているのだろうと思ってもいる。それが知りたかった。
そして、私はいわゆる個性的な役者ではないなと、改めて思っていた。それでも癖は発見したいし、個性が見つからないなら表現の引き出しを増やしたかった。
そんなこんなで特に発声においてはかなり頭を使って稽古した。本番どうなったかは前述した通り!演劇の再現性についてはまだまだまだまだ探っていくんだろうな。

ちなみにみた映画は『コンパートメントNO.6』。寝台特急の同室に異国の異性と乗り合わせる恋愛ロードムービー。


芝居の上達のためには言語化!も、SNSの居心地の悪さ😂も、私が文章を書く言い訳のような理由になってくれた。特に演劇に拘らずちょうどいい頻度で書いてみるよ。小学校の六年間には勝てない気がするけれど。

2023.2.23 yuiko

おしまい。


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