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おいしい和食屋さん(4)
ついに営みを始める
やよいだよ。今、『茶葉』っていうお店にいるんだけど、ねずみの五郎がニヤニヤしてて、みちるんは、このは殿って言われてる、このはさんに見惚れてる?みたい。私は普通。何も感じてない。
「ふああ。ねえ、ねずみの五郎さん、お家に帰ろうよ〜。」
みちるんが眠そうに言った。昨日の夜なんて、『あたしのベットはね、ふかふかで気持ちいいの。寝心地最高だもん。でもこの敷布団、硬いし、絶対眠れないよ。』って言ってたぐらいだから、相当眠れなかったんだろうな。
「ああ。行こうか。やよい殿もついてくるんじゃぞ。」
偉そうにねずみの五郎が言った。
『和の心』についたよ。だけど『和の心』の入り口の前で、豪華な着物を着ている女の人と、別の女の人が立っていた。どうやら、待っていたらしい。
「あら、やっといらっしゃったのね。わたくし、『里山久美』と申します。
こっちはお手伝いさんの、『如月さん』よ。」
えっ、『里山久美』って私と同じクラスの、運動好きな女の子の名前だ・・
みちるんと仲が良いんだよ。で、『如月さん』は違うクラスだけど名前だけ知っている。『如月 亜沙』って名前。不思議。『里山久美』さんも『如月さん』も知っているんだよなあ。
「久美様とずっと待っていたのですよ。中に入らせてください。それにお腹が空いておりますので、久美様が疲れてしまいます。」
如月さんて人、私苦手。だって、『私たちは頑張っていた』って自慢してるみたいだから。
「そうね。如月さんがおっしゃる通り、店内に入ってもいいわよね。わたくし、疲れちゃうわ。あと、食事は『秘伝の味噌汁』を。」
久美様って疲れやすいのかなあ。あと、『秘伝の味噌汁』ってなんだろう?
「久美殿、すまんかった。どうぞ中へ。お好きな場所にお座りください。」
ねずみの五郎、豪華な着物着ているからってそんな気を使わなくてもいいじゃん。てか、私たちは何をすればいいの!?ねずみの五郎は接客・調理、久美様たちはお客さんとして・・
「あたしも味噌汁食べるー!おにぎりしか食べてないもんね!やよい!」
ニコニコでみちるが笑いかけてくれた。同い年だけど年下みたいに可愛い。
「残念じゃが、みちる殿とやよい殿には店側として手伝ってもらうぞい。」
は、はあ!?私たち、ねずみの五郎に渡された手紙通り、営むの!?
無理無理無理。ほんとになっちゃったよ・・困る。
「てことはあたしたち味噌汁を作るんだよね!」
「そうなるなあ。よろしく頼むぞい。」
そう言ってねずみの五郎は店の裏に・・・
っておかしいでしょう!私たちまだ子供なのに、営みを頼むとか、あり得ない!
急いで、ねずみの五郎を引き留めた。
「味噌をとりに行くだけじゃが、どうした。なんか困ったことでもあったかい?」
なあんだ。取りに行くだけか。私はホッとしてその場に座り込んだ。