「理想のまちとは何か?」について、みんなに聞いてみた
こんにちは。ゆいきです。
(トップ画像は出身地のとあるお気に入りスポットを写真撮影してアプリで水彩画風に加工しました)
月1回のペースでまちづくりに興味のある学生や若手社会人を集めて、Zoomでお話しています。都市計画を専門に学んでいる学生や、地域の活動に関わっている学生など、バックグラウンドは様々です。
今回は、「理想のまちとは何か?」というテーマについて、それぞれ自由に考え、それを共有しました。「誰の視点から考えるか」や発表形式は自由にしました。
ここからは、実際に参加者のみなさんが考えた理想のまちを紹介していきたいと思います!
参加者の皆様には、note化の許可は取得済みです!
私の理想のまち
「白い紙があればなんか書けそうだ」ととりあえずやってみたのですが全然ペンが進まず…。今まで住んだ/行ったことのある街の中から、「自分が住みたいと思った街」をリストアップしました。そして、その街の中から共通点を探し、それを理想的な街の要素としました。理想の街を考える目線として、「自分」を軸にしたのは、きちんと言語化したことがなかったのでまずは自分からじゃないか、という単純な理由です。
私が挙げた要素は以下の通り。
ここには公開していない街のリストについては、「城下町ばっかだね」というコメントをもらいました。自分では全く気づいておらずだったのですが、確かにお城があるまちばかり…。都市計画上優等生と言われているニュータウン系が入っていないのも、街の中でのバリエーションに面白みを感じているのではないか?という意見をもらいました。
Aさんの理想:余白と継承
Aさんは「余白」と「継承」を理想のまちの要素に挙げてくれました。小学生時代、空き地で「秘密基地作ろうぜ!」と想像力を活かして、いろんな楽しみを見出していた経験が、「余白」という言葉につながったそうです。また他の街での活動なども含めて振り返った時に、継承や何かを受け渡せる街も良いと感じたそうです。
また、「理想のまち」を考えてみて、「あくまで今まで自分の経験からしか考えられないことに気づいた」とも教えてくれました。
他の参加者も「余白」というキーワードが気になったみたいで、都市と田舎における「余白」の違いや、余白の活用の方法など「余白」というキーワードだけでたくさん議論できそうだと感じました。
Bさんの理想:持続可能と納得感。二地域居住も
Bさんから出てきたのは、「持続可能」と「納得感」というキーワード。「持続可能」は広い概念ですが、Bさんが言うには「人が減ってもそのまちで生活が続けられる」ことが持続可能であることだそうです。また、他の参加者にも刺さったのが「納得感」という言葉のチョイスです。住民に「なんでこんなところに住んでいるんだろう」と思ってほしくないという思いから来ているそう。
また、自分が住みたい場所については、「仕事を考えると農山村でずっと住むのは現実的ではないと思う。そう考えると二地域居住もありかも。」と関係人口を学んでいるBさんらしい視点で語ってくれました。
「自分が住むとしたら」だけでなく、より広い視点で考えてくれたBさん。また「納得感」という言葉に他の参加者も納得していました。今回は「納得感をどう生み出すか?」についてはそこまで話すことができなかったので、今度話してみたいと思います!
(納得感はシビックプライドに近いのかなあと思いました)
Cさん:こどもを育てたいと思うまち
Cさんが挙げてくれたのは、「こどもを育てたいと思うまち」。そのための要素として、「いろんな価値観に触れられる」「いろんな街に接続している」 「いろんな風景がある」「いろんな人がいる」「近所の人の声掛けがある」を挙げてくれました。Cさんが多様性を重視する背景には、中高女子校育ちで、大学に入ったときにいろんな人と関わるようになって衝撃を受けた経験があるからだそうです。
家族という視点を入れてくれているところが特徴的です。そのテーマから派生して、「学校の統廃合、自分が親なら賛成か反対か」という議論にも発展しました。Cさんの話を聞いて、自分の経験が、描く理想の街に大きく影響することを実感しました。
Dさん:好奇心が満たされるまち
Dさんは、私と結構似ていて、「好奇心が満たされるまち」と一言でまとめてくれました。Dさんにとって好奇心が満たされるまちとは、博物館や建物など知的好奇心が刺激されて毎日外に出るのが楽しみになるようなまちだったり、そういう施設が少なくてもイベントなどの魅力があるまちだそうです。逆に、好奇心が満たされないまちの例として、チェーン店ばっかりのまちを紹介してくれました。チェーン店については、「味やクオリティを知ってしまっている。チェーンじゃないお店で、あまりおいしくなかったとしてもそれはそれで発見がある方が良い」とのこと。一通りシェアし終わって、「これって私だけですか!?好奇心と行動力が特に強いタイプなので、みなさんはどうかなと思いました!」とみんなに問いかけてくれました。
「これって私だけですか!?」に対する回答は結構割れました。同じく好奇心と行動力が高めで、お店探しを生きがいにしている私はめちゃくちゃ同意ですし、他のメンバーから「ネットに載っていないお店を開拓したい」との意見もありました。一方で開拓することにそんなに好奇心を感じない(むしろ歩くことの方が好きでチェーン店は確かに寂しいけど見た目を変えると変わりそう!)、という意見や、「どこに何があるかわかりづらいまち」は好奇心をくすぐる一方、不便にもなり得るという意見もありました。
一通りシェアしてみて
参加者の皆さんからは、
のような感想をいただきました。
メンターより
この会には、実はまちづくりのひよこたちだけでなく、仕事として携われているプロの方も参加していただいていました。
その方からは、マズローの欲求五段階説でいう生理的欲求や安全の欲求はまず日本では言葉に出てこない(だが重要である)こと、自分の欲求がどこに位置するか考えてみると面白いというアドバイスをいただきました。
さらに、まちづくりにおいて、多様な意見を集約していくことが重要で、だからこそ、いろんな考え方を聞く姿勢をこれからも持っていてほしいことや、いろんな人がいる中で、うまく言語化できないものも取り入れていくにはどうすれば良いか?(アート系人財がそれを担うべきだという意見もあるそうです)という視点を教えてくださいました。一方で、集合知だけがすべてではないともおっしゃいました。
「アート」と聞いて真っ先に思い出したのが、柏の葉スマートシティで行われたまちづくりイベント(ごめんなさい、イベント詳細リンク見つからず…)でした。
まちの理想を考える際に、「いったい何枚あるんだろう…」というものすごい数の写真の中から、心が動いたものを数枚選んで、その写真から得られたインスピレーションをアイデアにして紹介するという取組を行いました。当時、「こんなやり方あるんだ…!」と感動したのをよく覚えています。今回はその意図までより深く知ることができました。
ちなみにその方にとっては、「家族の幸福が最大化される空間と環境」が理想だそうです。「そんなまちや社会を創っていきたい」という言葉に、心動かされました。
感想と、気になったキーワード
「クオリティオブライフについて考えるには、まずは他の人にとっての理想を知るべきだ!」と最初はそんなきっかけで開催しましたが、実際やると想像以上に学びがありました。
そして新たな問いやこれからやりたいことがたくさん出てきました。
以下は脈略のない箇条書きですが、自分用にメモしておきます。
・多様な人の意見を集約してひとつの「理想」を描くにはどうすれば良いか
→アートが一つの切り口だとして、具体的にどうすれば良い?
→そのファシリテーション的なスキル身に着けたい
・コロナで二拠点居住は増えるのか?二拠点居住のより良いあり方とは?
・個人の意見を聞くことも大事だが、幸福論のような一般論も学びたい
・理想を定義したとしてもそれをどうやって効果測定していけば良いのか?(全体的に人口減少する中で、単に移住者の数で判定するのは限界があるのでは)スマートシティのようなデータテクノロジーを使えば、どんな効果測定ができるのか?
・「居心地の良い空間」に興味があることがわかったが、まだ全然言語化できていない。とにかく写真を集めてみよう
・まちの多様性は、まちの魅力につながると思う。だからこそ、多様な人の欲求を受け止めるために、多様な創り手が必要なのでは?
・シビックプライドについてと、その高め方学びたい
こういうイベントをやると大抵より知りたいことが増えるのですが、むしろそれが楽しいのでやめられなくなるというのは余談です。
おわりに
ここまでお読みくださってありがとうございました!
これからも発信続けていきたいので、ぜひフォローしていただけると嬉しいです。
また、まちに限らずリサーチと冒険が大好きなため、最近はキリマンジャロに登ったり、富士山に9回、のべ29人と一緒に登った経験をまとめたりしています。
「人生で1回は登ってみたい!」という方も多いのではないでしょうか?ぜひ、こちらも併せてご覧いただけますと幸いです!
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