星芒鬼譚 前日譚・壱 ケサランパサラン

昔から変なものをよく見た。

それが何なのか子供の俺にはわからなかったけど、 あるとき本を読んでいてそっくりな絵を見つけた。
俺がよく見ていたそれらは、妖怪だったらしい。
こうして絵を描く人がいるくらいだから
みんなにも当たり前に見えるものだと思っていたけど、
どうやらそうじゃないらしいと気づいたのは小学校に上がったくらいの頃だった。
みんなと違うということが知れた途端、いじめの標的になった。

大きくなってからはいじめられはしないにせよ、仲間はずれにされることが多くなった。
まぁ、そりゃそうだよなとどこかで諦めていた。
俺だって逆の立場なら、近づかないようにするに違いない。
周りと違うものは、誰だって怖い。

…そうしていくつめかのバイトも、妖怪の類いを見てしまってから
店に近づけなくなって、退職をすすめられた。
おとなしくそれを受け入れてしまう自分にも問題はあると思うけど、
それ以外どうしていいかよくわからなかった。

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