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生涯猫派 犬を飼う ②
ジンジャーがうちにやってきたのは夏休みの終わりの頃だった。
なぜジンジャーという名前にしたの?と聞かれるたびに、
「ジンジャーとガーリックって、味の豊かさを広げてくれるスパイスであり、体調悪いときには薬にもなるでしょ。だから、ジンジャーが人生を豊かに、そして時には助けてくれるかなと思って。」
と答えているが、これは完全な後付けだ。
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実際は、数個の候補をAIルーレットにかけたら最後まで残った名前だったというだけなのだが、後付けにしてはなかなか的を得てるかも。と犬との暮らしが始まってみて思ったりもする。
さて、生涯猫派のわたしにとって、「犬を飼う」はこれが最初で最後になると思っている。
だから、保護犬ではなく、家族みんなで選んだ犬種を迎えることにした。
*
しかし時は折しもコロナ禍。
紆余曲折あって、2年間待ったのちにその子はやってきた。
去年の夏の終りにブリーダーが住んでいる山奥まで5時間かけて車を走らせた。
緊張と興奮であがってくる胃酸を鎮めながら、街のはずれのさびれたガソリンスタンドで待っていると、1台のトラックが止まった。
片手におさまるほど小さく、
クリスマス映画に出てくるぬいぐるみのような子犬を連れてきたのは、
「天空の城ラピュタ」に出てくるドーラばあさんの実写版だった。
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ハスキーな声も、ところどころ歯が欠けているところまで似ている。
子犬のハンドリングを教えてもらったのだが、緊張とドーラばあさんのインパクトが強烈で、何を話したのかあんまり覚えていない。
だか、帰路につき、景色が流れるにつれドーラばあさんの面影も薄まってきた。と同時に、じわじわと実感が湧いてきた。
ふわふわで温かくて、ぬいぐるみみたいなのに生きている。
なんなの、このかわいすぎる物体は。
コロコロポテポテとしていて、純粋無垢で。
守ってあげなくちゃという気持ちがこんこんと湧いてくる。
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子どもたちも腕の中にある小さな命を愛おしそうに、
そして優しくみまもる。
ぼくたちが絶対守ってあげるからね。って。
なんとも温かく、幸せな空気だろう。
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子どもたちも大きくなり、それぞれの好きなことがわかってきた。
その分、家族みんなで何かをする、という機会が減っていた。
だけど、ジンジャーはそんな私達を一瞬でつなげてしまった。
ジンジャーという磁石は強力で、
わたしたち家族はまた一致団結することになる。
*
*
予想はしていたし、予習もたくさんしたつもりだ。
が、子犬の世話は、控えめに言って猫より10倍は大変だ。
守るものが増えたこと、そして新しい暮らしの変化に、このあとわたしはパピーブルーに陥ってしまうのだった。
つづく。
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