「ずっと変わらないこと」を追いかける
私の前を走るのは、息子だ。
「晴れ+降雪+全リフト稼働+平日」
いくらスキー場の近くに住んでいるからといって、しょっちゅう好条件で滑れるわけではない。
リゾートの神様は週末に雪を降らすのが好きだ。
ゴンドラやリフトは同じバブルの人としか乗れないので、週末はゴンドラ2時間待ちなんてこともザラだ。
だから、この日が晴れると知って、特に用事がなかった私は、息子を連れて山に上がることにした。
この日は、雲もなく、周囲の山全体が見渡せるほど全てが抜けていた。
自然は人間の都合には合わせてくれない。
だから、山のてっぺんでこの雄大な景色を見れることはある意味ミラクルなのだ。
「そんな日にそんな場所で息子と時間を過ごすこと」と「学校」を天秤にかけたらもちろん山を選ぶ。なんと言われても構わない。
実際、息子も「今日はほんとうにきれいだね!!」と何度も口にした。
同じく私も「きれいだなあ〜」と何度もつぶやいてしまう。
私は、この写真の手前に見える、小さな山を、板を抱えたまま30分程度ハイクアップして、圧雪されていない、もこもこのパウダーバーンを尾根伝いに降りてくるコースが好きだ。ただ、このエリアは天気に左右されるため、私が行けるタイミングでリフトが動いていることが少ない。
だから今日、息子を連れて来れて嬉しかった。
ハイクアップしないと体験できない良さがある、と息子に話しながらも、一緒に行ける日がそう遠くないことを感じる。
「今はまだ無理だよ」と思っていたことが、どんどん「もうすぐ一緒にできるね」に変わってくる。
その舞台となる遊び場は、厳しくも優しい「自然」だ。
これはもう、私たち家族にとって一生変わらない舞台だろう。
いづれ、彼の背中を頑張って追いかける日がくるのだろう。
助けてもらうことも出てくるのかもしれない。
そんなことをフッと思う。
この15年間、自然に対する想いと私を育ててくれたこのスキー場。
世の中は変わってきたけれど、見える景色は変わらない。
感じることも変わらない。
15年前は仲間と、そして今は息子と、同じ場所に立つ。
どんなに世の中や生活に心が囚われてしまう時も、この場所に立つとハッとする。
「自然に感謝、楽しいをいつも心に」と。