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元気でいろとは言わないが、日常は案外面白い

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作家による日記風エッセイ
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2023年12月の記事一覧

なんて、しょうもない日々に告げる。

泣いたふりをした 最後に泣き真似をしたのはいつだろう。多分子供の頃だと思う。遡る事20年前くらいだろうか、嘘泣きで人の関心を得られる時間はそう長く続かなかった。 どれだけ泣き真似をしても構ってはもらえない事に気づくのは随分と速かった。それが良いか悪いかは未だに分からない。ただ泣き真似をしようがしなかろうが、変わらないと気づいたのだろう。 平々凡々な人生、愛は平等に与えられず、嘘をついて関心を得ても欲しかった物は手に入らない。人間なんぞそんなものである。 それなりに大き

私の一番幸運な所は、

まだ遠くへ 数年前の事だったと思う。実家のベッドで目が覚めた。妙にすっきりしたような、納得がいったような気分だった。 見覚えのない氷山だった。入口には何故か鳥居。雲で隠れた頂上は見えない。ただ装備もまばらの人間たちが一心不乱に登っている。途中で足を止めた人、落ちる人、引き返す人。私は鳥居の前でそれを見ていた。 隣には母がいて、入口に立っていた住職らしき人が声をかけてくる。これを見てから登るか決めたらどうかと言われ史料館のような所に通される。私はそこを眺めてから一人で鳥居