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ケトルベル、あのオスマントルコ皇帝も愛したトレーニング法

かつてオスマン帝国という国があったのをご存じでしょうか。
13~14世紀頃に小アジアから始まり、各地へと勢力を伸ばし、最盛期の版図はアフリカ、アジア、ヨーロッパに跨ったという巨大な帝国です。

世界史の授業などでも聞いたことがあると思います。

なんと、今回はその皇帝も行っていたとされるトレーニング法の紹介です。

ケトルベルという名前を聞いたことがあるでしょうか。
文字どおり、ヤカン(ケトル)みたいな形の、取っ手がついた重りです。


このケトルベルで、オスマン帝国の皇帝が体を鍛えていたという伝承があります。
あくまでも伝承ですが。

トルコの、というよりユーラシア大陸の各地に伝わった鍛錬法のようで、その歴史は400年以上になるといいます。

バーベルやダンベルといった器具の発明が19世紀なので、それよりもだいぶ古いですね。

他にも、近年では旧ソ連の特殊部隊、つまりスペツナズなどでも訓練で用いられていたそうです。

アメリカでは、そのスペツナズ(特殊部隊)出身のパベル・サッソーリン(もしくはツァツーリン)という人が一般に広めて、一躍メジャーな器具になりました。

日本国内でも、ジムなどに置かれているのを、見たことがあるでしょう。
ただ、実際に使ったことがあるかというと、どうでしょうか?

このケトルベル、独特な形状が生む特性として、以下の2点があげられます。

  • 持ち手があるので、振り回して使うことができる

  • ダンベルやバーベルに比べると、重りの重心からズレた位置で保持しないといけない

「振り回す」ついては説明不要でしょう。重心について少し説明します。

バーベルやダンベルは、両側の重りが釣り合っていれば、持ち手の真ん中に重心が来ます。
そして、そこを直接握ることができます。
なので非常に取り回しやすいです。

しかし、ケトルベルは見ての通り、重心から少し離れた位置に持ち手があります。
その分だけ重量のバランスが悪く、ケトルベルは保持するのが難しいのです。

つまり、ケトルベルというのは、バーベルやダンベルと全く同じように扱ってしまうと、ただの「効率の悪い器具」になりかねません。

そこで、ケトルベルにはバーベルやダンベルとは異なる、独自のメニューが存在するのです。
また、それによって向上するのは筋力だけでなく、通常鍛えにくいとされるインナーマッスルの強化、関節の柔軟性、コーディネーション(身体を巧みに動かす能力)、心肺機能など、多岐にわたると言われています。

なので、普段バーベルやマシントレーニングで筋力を高めている人にも、ケトルベルはおすすめです。

筋力トレーニングで培った基礎的筋力に加えて、インナーマッスルを強化しすることでより怪我しにくい体になり、また関節の可動域やコーディネーションが向上することで、筋力をより「ファンクショナル」に用いることができるからです。

ということで、この記事ではケトルベルの2大基礎種目とされる、スイングとゲットアップを解説します。

たとえばバーベルではBIG3と言われる基礎種目が存在しますが、このスイングとゲットアップはケトルベル界のBIG2といえるでしょう。

①スイング

ケトルベルスイング、とも呼ばれます。
下半身を中心に、全身を刺激する種目です。

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