『サンマデモクラシー』『MINAMATA-ミナマタ-』を上映するにあたって
「この2作を選んだ理由を発表した方がいい」とアドバイスいただき、正直に書こうと思います。リクエストが多かったからです!そして昨年どちらも劇場で観て心が動いたからです。
先日のnote記事で「昨年石垣島は静かな夏を迎えた」というふうなことを書きましたが、実は2021年の夏、家族の引越しを手伝うためほぼ東京に滞在していました。ちょっと大変だったので、疲れた時は歩いて行ける近所の映画館へ逃げ込んで映画を観ることにしました。ちょうどその頃『ジム・シャームッシュ レトロスペクティブ2021』を開催していて、6作観たらポストカードセットがもらえたのでうれしかったです。
8月には引越し作業の目処もつき、ポレポレ東中野で上映中だった『サンマ・デモクラシー』を観に行きました。配給されている太秦さんには劇場時代からお世話になっていて、閉館してからも当会を応援してくださり作品案内をメールしてくださっていました。こんな小さな活動にまで心を寄せてくださること、そして「とにかく日本の隅々にまで映画を届けたい」という姿勢に大変励まされました。沖縄の伝説的裁判についてのドキュメンタリーであるという『サンマ・デモクラシー』についてもおしらせをいただいていて、ぜひ拝見したいと思っていたのです。
JR東中野の駅から歩いてすぐのポレポレさん。
実は2020年冬に宮良さんと関東のミニシアターを数カ所視察して回っていた際、アポも取らず突然立ち寄らせていただいたことがありました。支配人の大槻貴宏さんはじめスタッフのみなさんであたたかく事務所に迎え入れてくださり、我々の始まったばかりの活動についての話を聞いてくださいました。
その際、みなさんが口を揃えて「活動はすばらしいと思うけど、〇〇のためってのはよくないです。文化は後からついてくる」とおっしゃっていて、しみじみ「ほんとうにそうだなあ、そうあってほしいなあ」と共感し、何か強い気持ちに引っ張られたり傾きそうになったりした時は思い出すようにしています。文化は後からついてくる。
『サンマ・デモクラシー』の感想についてはみなさんの鑑賞後に共有したいと思っています。フーム、八重山のみなさんはどんなふうに感じるかなあ…とぐるぐる考えながら総武線に揺られて帰宅しました。
『MINAMATA-ミナマタ-』を観たのは秋、10月でした。この作品に関わっている方にゆかりのある方(遠回りな言い方…)から作品についてお話を聞いていたこともあり、スクリーンで見たいとずっと考えていました。引越しに関しての残務あり再度上京することになり叶いました。吉祥寺プラザは雰囲気があって広々していて大好きです。テーマの重さから少し気負って挑んだのですが、泊めてくれていた若き友人も同席してくれたので心強かったです。
正直なところ、水俣病については教科書に載ってたなあくらいの知識しかありませんでした。石垣島で暮らし始めてからとくに「無知は人を傷つける」ということを身に染みていて感じていたのに、反省しました。
事実と違う部分が多いと評されてもいましたが、「水俣病について、ユージンについて知るところから」の自分にとっては本当に観てよかった作品になりました。こちらも是非、観た後にお話しできたらうれしいです。
別の日に観たという映画好きの友達に感想を聞いたら「デップがかっこよすぎて物語が頭に入ってこなかった」と言ってました。映画の見方は自由ですね!
それから…色々なご縁重なり、この2作を上映できる運びになりました。前述の通りとてもリクエストの多かった2作です。
ゆいシネマをいつも応援してくださるとあるご支援者のご協力のもと、『MINAMATA-ミナマタ-』で水俣病の原因となる企業チッソのノジマ社長を演じられた國村隼さんから八重山のみなさまへのビデオメッセージもお預かりしております。お運びいただいたお客さまへだけの特典となります。
第5回ゆいシネマ上映会、いよいよ今週末となりました。楽しみ〜。それでは石垣市公設市場の最上階でお待ちしております。
おまけ
●昨年〜今年映画館で観た映画:
『はちどり』『82年生まれ、キム・ジヨン』『ストーリー・オブ・マイライフ』『ブックスマート』『シン・エヴァンゲリオン劇場版』『すばらしき世界』『サンドラの小さな家』『JUNK HEAD』『ミナリ』『ノマドランド』『パーム・スプリングス』『異端の鳥』『バクラウ』『パーマネント・バケーション』『ストレンジャー・ザン・パラダイス』『ダウン・バイ・ロー』『ナイト・オン・ザ・プラネット』『コーヒー&シガレッツ』『アメリカン・ユートピア』『街の上で』『映画:フィッシュマンズ』『ドライブ・マイ・カー』
●上映中の観たい映画:
『TITANE/チタン』『ニトラム/NITRAM』『アネット』『ハッチング-孵化-』
あと国立映画アーカイブの「1990年代日本映画」特集に『鬼畜大宴会』が入っててやばい〜!熊切監督の卒制で、役者の先輩が出てたので扇町ミュージアムスクエアへ仕方なく観に行って仰天した作品。