「データによる先読みが勝利の鍵」エンジニア採用における最新トレンドを紹介
Findy(ファインディ)では定期的にエンジニアユーザー向けにアンケート調査を実施し、エンジニア転職のトレンドやCTO/エンジニアリングマネージャーの悩みをデータ化し、ユーザーやクライアント企業に共有してきました。
今回はそのデータを基に「データに基づくエンジニア採用のトレンド」と題して、2月に開催したイベント内容を中心にnoteの記事にしていきたいと思います。
エンジニア転職・採用の今
まずはエンジニア転職・採用の今についてです。
以下はもう見慣れているグラフかもしれませんが、経済産業省が出している調査結果で、エンジニア不足が今後2030年に向けてどんどん深刻になっていくという見込みデータです。2030年には実に70万人近くのエンジニアが不足すると言われており、国内での採用だけでは十分に満たせず、海外からどれだけ日本にエンジニアが来てくれるかが重要になってきそうである点は、このグラフから見ることができます。(今後のエンジニア不足を見据えて、Findyではエンジニア採用×Globalでサービスの展開も始めています。詳細はこちら)
直近でエンジニアの不足が深刻になってきている要因として、従来のITメガベンチャーやスタートアップ企業のエンジニア組織の大規模化だけでなく、大手企業が DX の文脈の中でエンジニア組織内製化を進めていることが挙げられます。
以下のスライドのように大手企業がメガベンチャーなどから CTO や CDO を招聘し、エンジニア組織を内製化していく動きも始まっています。
また、エンジニア不足のトレンドもあり、エンジニアの年収も徐々にではありますが、上昇してきています。例えば、以下のスライドを見て頂きたいのですが、2022年2月には600万円弱の平均年収だったところが、2020年9月の調査では20万円程度上がってきています。これは弊社のエンジニアユーザーに対するアンケートのため一定の偏りはありますが、ここ数年で見てもエンジニアの年収自体は徐々に上がってきていると考えても違和感のない状況です。
一方で、日本の大手企業、例えば商社や製造業の平均年収と比べるとまだまだ決して高いとは言えない状況です。従って、そういった大手企業に転職することでエンジニアの年収が上がるというケースは今後も継続的に発生すると考えています。
もちろんメガベンチャーや大規模調達スタートアップについては大手に負けない給与水準になってきていますが、エンジニア転職や給与全体で見るとまだまだ今後の伸び代がありそうな状況です。
エンジニアの転職時の動向(ニーズ)
次にエンジニアの働き方について触れていきたいと思います。
「転職活動やフリーランスの案件の選考過程で最も重要視すること」で挙げられているのは上から、自分のキャリアに有益と働き方というで、年収が一番重要ではないのが特徴的なところです。私の推測ではありますが、上述の通りエンジニアの平均年収が上がってくる中で、年収ではなく将来への成長や働きやすさが以前よりも相対的に重視されるようになってきているのではないかと考えています。
リモートワークに対する考え方についても、エンジニアの転職の重要なポイントになってきています。以下のスライドの通り、8割以上のエンジニアが現在リモートワーク、ないしは週1~2程度の出社と回答しており、リモートメインでの働き方が主流になっています。
また、今後もリモートないしは週1~2程度の出社と回答している方は、こちらも同様に8割を超えているため、経営者としてもエンジニア採用を強化するのであれば、リモートという選択を無視できない状況になってきています。逆に人事の視点としては経営サイドがリモートに対してネガティブであれば、ターゲット層がこれだけ少なる前提で、採用活動への投資が必要である点を伝えて、合意形成をすることが大切になってきます。
ちなみに、IoT や物流、店舗などリアルとの接点がビジネス上の競争源である業界は出社してソフトウェアとハードウェアとの連動性や実際にソフトウェアが使われている現場の状況なども確認しながら開発していく必要が出てきます。そうした場合は、フルリモートは当然難しくなるので、自社の働き方を決める際には、事業の成長性を踏まえた上で適切に判断していく必要があります。
またコロナな渦中において機会が減っていることもあってか、「海外勤務or海外の企業のリモートワークをしたい、してみたい」方も増えてきています。実際に、コロナ禍中でリモートワークが一般化した結果、「今現在海外の企業のリモートワークをしている」という方も増えてきました。身近にシリコンバレーやカナダなど海外の企業に所属しながらも、日本でリモートワークをしている方も増えてきています。
ただ、最近ではGoogleやAppleなどを中心に出社とリモートのハイブリッドが始まっており、 またどちらかと言うと海外はリストラモードに入っているため、その後加速度的に増えているわけではなさそうです。
したがって、大手DX内製化かつグローバルな展開を模索している企業は、英語を使ってグローバルに働けるというのは大きな差別化要素になりそうです。
人気業種・企業タイプ、キャリアパス
次にエンジニアに人気の企業群について話していきたいと思います。
まず以下のスライドを見ていただければと思いますが、「転職先として前向きに考える企業タイプ」として一番多いのが、上場ベンチャー企業、 次に未上場スタートアップ企業、3番目に大企業と並んでいます。これはあくまでWeb系のエンジニアに利用いただいている、Findyのサービスの特性を強く反映している前提です。
ただし、非常に興味深い点としては、この順番は景気の動向によっても変わっていきます。資金調達が活発な時期は未上場スタートアップ企業の方が、上場ベンチャー企業よりもニーズが強い時期もありました。
一方で、最近スタートアップの資金調達環境が難しくなっている傾向や上場ベンチャー企業の働く環境が整備されたこともあり、人気が出てきていると考えています。また、以前の調査と比較すると大企業に関心を持つ人の割合が上がっており、 DX内製化が進んで大手がエンジニアにとっての働く場所の選択肢になってきていると言えるのではないでしょうか。
また、働いてみたい企業についても定期的に調査をしています、その結果が以下の通りです。従来から人気のあった外資系やメガベンチャーはもちろんのこと、大規模調達スタートアップやクライアントサービスがメインでかつハイスキルなエンジニアが集まっている企業群も入ってきており、人気企業の多様化が起きていると言えそうです。
エンジニアに対する制度や待遇の改善に関する分析
次に、エンジニアの待遇についてです。「エンジニアに対する制度や待遇の改善」について直近の1年間での変化について調査をしています。
冒頭にエンジニアの給与水準が徐々に上がっているという調査結果について、紹介しましたが、実際に待遇についても良くなってきているというのがアンケート結果として出てきています。特に未上場企業の半分弱が改善されたと回答されており、資金調達の大規模化を受けてスタートアップの働く環境や給与水準も改善してきていそうです。
CTO/EMの悩み
最後にエンジニア組織作りを指導している CTOやEM(エンジニアリングマネージャー)向けの調査についてご紹介させていただきます。
まず、エンジニア採用についてですが、実に80%弱のエンジニア組織を率いるCTO/EMが「難しくなっている」と回答しています。逆に簡単になっていると答えている方は数パーセント程度でいかにエンジニア採用が難しいものかを見ることができます。ここ最近の資金調達の難易度向上でスタートアップ企業の採用枠は若干減っている印象ですが、一方でDX内製化企業やSIerのWeb領域強化などもあり、全体での難易度はそれほど変わっていない印象です。
次のスライドでは CTO/EMがどのテーマにどの程度悩んでるかについてもアンケートをとっています。前述の通りエンジニア採用が最も悩んでるマネージャー層が多いテーマになっていますが、その次に「生産性の向上」や「人材育成」、「マネジメントの負荷」などと続いています。意外と「離職防止」などに悩んでいる方は多くはないという結果も出ています。
以上、いかがでしたでしょうか?
本イベントで共有した資料全体についてご関心がある場合はDMもしくは以下のリンク先(現在準備中)からご連絡ください。
また、本日ご紹介したスライドをまとめたスライド集も追記する予定です。