13年を経て想うこと
わたしは、エイトシークエンスのみんなが好きです。
昔は、社長が社員のことを好きだと朝礼などで言っている姿をみて、「たいして話したこともないのに、自分のなにをみてそんな風に思うんだろう」と斜に構えていましたが、
今になって、「社長は自分のことを無条件に仲間だと思ってくださっていたのだろうな。」と、申し訳なさと共に感謝の気持ちが湧いてきます。
わたしは昔から損得勘定で考えることが多い人間で、今もそんなところは多分にあります。
「損して得とれ」ではないですが、何をするにも「これが一体何になるだろうか」となにかしら考えてしまい、意味や意義が得られないとやる気にならなかったし、得られなかった時には、「それでも自分にとって意味があったはず」と無理矢理でも得られたことを考えないとやってられない気持ちになりました。
特にお金のことではたくさん苦しみました。
エイトシークエンスを創業してはじめてつくった人事制度は“稼いだ分だけもらえる“というわかりやすい制度でした。
これはこれで自分なりには納得感がありました。
フェリシモもリクルートもビルケンシュトックも、これまで所属した組織では、いつも報酬のロジックが不透明で納得感がありませんでした。
リクルート時代はよく、「億単位で売上上げてるのに年収差が数百万単位ってなんかおかしくないか」と居酒屋で愚痴っていました。
だから、わかりやすさは大事だと納得した結果の人事制度でした。
ただ、実際に運用してみると思ったようにはいきませんでした。
結局、お金を稼ぐための場としての会社になってしまい、当時のメンバーから、
「エイトシークエンスのお金なら、タダ酒が飲めるから嬉しい」
などと言われたり、
「この会社にはミッションもビジョンもなくて、自由とお金だけで好き勝手やってる。小山さんはみんなを騙してますよね。詐欺ですね」
と言われ、酒の場とはいえ、笑顔がひきつり、店を出た後、激しく傷ついて涙が止まらなくなりました。
自分はなにがしたいのか。
一体なんのために会社を起こしたのか。
なんのためにメンバーと時間を共にしているのか。
本質的な人材紹介をやりたいという思いは、個人的なこだわりに過ぎないのか。
そんな問いを自らに投げかけ、答えが出ないヤキモキに情けなさを感じながら、
それでも目の前のお客様に向き合うんだ。
エイトシークエンスを続けたいんだ。
自分を鼓舞しながら答えを探してきました。
違うとは言えますが、「こうなんだ」と力強く言えない自分に情けなさと虚しさを感じながら、言葉にしたいという強い欲求が自分を奮い立たせていました。
そんな日々でしたが、辛かったことだけではななく、楽しい時間もたくさんありました。
自由を謳歌したいと集まったメンバーは、自分たちのこだわりを強く持っていて、会社に依存することなく自走していました。
また、自立した個人同士だったからこそ、プライベート的な関係もあり、ゴルフ、飲みも頻繁に一緒にしており、週末も一緒にいたり家族づきあいも行っていました。
だから互いの価値観の違いはとても理解しあっていたのだと今となっても思います。
今のエイトシークエンスは変わったのかというと、変わった部分と変わらない部分が多分にあるように思います。
変わらないのは、自分の人生を生きたい、謳歌したいと、自由と責任を享受する人たちが集まっているところだと思います。
そしてなにより、相手を主体的に信頼しようとする姿勢です。
私自身でいえば、好きな誰かといることで自分にエネルギーが湧いてくるなら、それで十分と思えるようになってきました。
朝起きてテンションが上がらない時、思ったとおりに物事が進まずヤキモキする時、昔はよく文句を言ったりして不機嫌さを撒き散らしていました。
自分が社長という立場だから、誰もなにも言ってきません。それにかこつけて偉そうに自論を展開してきたこともあります。
そのくせ、経営者は孤独だとか言って自分で自分を追い込んでることをヒーローのように扱って慰めていました。
そんな時はいつだって後味は悪いもので、悩んで本を読み漁って、それっぽい理論を見つけては自分を納得させて瞬間的に満足する。
そんな繰り返しがたくさんありました。
苦しんでいる自分に酔って、他人のせいにして、後味の悪い思いを何度も何度も繰り返した結果いきついたのが、
それでも、いつもそばにいてわかってくれようと努力してくれるみんながいたから、自分が今ここで幸せに生きられていることでした。
最近はメンバーのみんなといると自然にエネルギーが湧いてきて笑顔になれてしまいます。
表情が乏しいので思ったより伝わったない気はしますが笑
いい雰囲気をつくりたい。
最近、特にこう思います。
いい雰囲気は、人にエネルギーをもたらし、心に自由が生まれ、活力を与えてくれます。
人を幸せにするという行動は、そんなあたたかいエネルギーの連鎖から生まれる自然なものなんじゃないかと思います。
わたしは事業を通じて、人や組織の活動の本質はなにかをずっと探求し続けてきましたが、13年の経営生活を通じて今感じることは「いい関係をつくること」なのではないかと思います。
人と組織の間にある関係性が、いいものであれば人はしあわせに感じるのではないかと。
ティール組織とかソース原理とか、セムコスタイルとか、いろいろな理論や知識を一生懸命学び、実践するたびに“なんか違う“と苦しい思いをしてきました。
でも、巡り巡ってすごくシンプルなところに行き着いた感じがしています。
エイトシークエンスはいい関係性をつくる会社です。
組織が“いい関係の場“へと向かうための組織開発“らしさDialogue“
個人が“いい関係を自分でつくれるようにする“ための“らしさMeets“
そして個人と組織がいい関係になれる結びつきをつくる“らしさTsunagu“
どれも素晴らしい誇りをもてる事業です。
わたしたちの役割は、いい関係を生みだす場をつくることです。
人間関係づくりが特段上手でもなければ、人付き合いが好きというわけでもないわたしですが、だからこそ行きついた結論なのだと自信を持って言えます。
そして、わたし自身の役割は、いい関係を生み出すために、関わる皆様と対話し、いい汗を流すことなのだと思います。
そしていい関係を生み出すために、みんなを信頼し、お客様を信頼する。
そのための環境を考え、つくり続けることが私のミッションだと思っています。