守らないで、守ることの力
2001年の12月11日、僕はフランスのグルノーブルという都市でTanin No Kao "le visage de l`autre" というダンスを観た。友人と900円のチケットを持って、風はなく、ジーンと冷たいアルプス山脈の麓にあるグルノーブルの夜道を劇場に向かって歩いた。
ダンスは不思議だった。そこには劣等感も、優越感も、自意識とかも・・・、働かなかった。いや、「そこから出たら」というような言葉をぶつけられて、飛び出してダンスと交わった、そんな感じだった。
ダンスが終わり拍手してたらハチキレそうだった(後に、千晴さん本人にそう表現された)。体が元気でしょうがなくなった。
日本に帰ってきて、yahoo! Franceで、彼らKubilai Khan Investigationsのホームページを見つけた。そこにはこうあった。
他性の表明、空間の違いなしの出会いはないでしょう。ダンス、それは空間と時間がひとつの発明であることへの願い
僕は彼らにメールを書いた。そうしたら、
watashi ha kotoshi 9 gatsu ni nihon ni kaeru node ( a, watashi ha chinami ni sapporo jin desu. ) atte hanashi nado dekitara tanoshisouja naidesuka??
と、踊っていた千晴さんから返事が来た。
千晴さんと初めて会ったのは吉祥寺だった。彼女はフランスの時よりも少し痩せていて、気持ち良く日焼けしていた。この前までブラジルで踊っていたとのことだった。
喫茶店に行って、僕は学生証を見せたり、インタビューの目的を話したりした。録音して良いですか? と聞くと、
うわー、そんなことされたら話し方改まっちゃう、今日はお話だけにしない?
と言われ、またなぜか先に買ったカセットテープのビニールを剥がせなかったこともあり、その日はお話をしたり、互いの薦める本を買いに行ったり、お酒を飲んだりといった一日になった。
初めて会う僕に、
え、じゃあ、インタビューやってみる? フランキーも呼ぶから。
と千晴さんは普通に言ってくれた。
そうやって話したり、一緒に歩いたりしたのは不思議で、嬉しく、少し調子に乗った。
どうして自分がハチキレタのか知ろうと思った。
そして2人にトンチンカンに突っ込んだ。
もくじ
守らないで守ることの力
チカラ1 コンタジオン(積極的な感染) : Frank Michelettiさん
チカラ2 私はつまらない人間でいいです : 間宮千晴さん