ケンブリッジの最後の日
いよいよケンブリッジ、最終日。何だか寂しいです。ちょうど昨年10月初頭に来たので、約11ヶ月。普段は東京で慌ただしい生活をしていたので、ケンブリッジの田舎で、特に義務もなく、単身で生活するというのも、四半世紀前の大学院生時代を思い出します。
おそらくは私の研究者人生で、定年退職するまでで、これだけゆっくりと時間を使えるのは今回が最後ではないかということで、悲壮で切実な思いで、停滞していた外交史研究を何とか進めなければならないという気持ちで昨年10月にやってきました。
ところが、2月にはウクライナで戦争が勃発し、また3月以降はイギリス政府をはじめ欧州諸国はコロナの規制をほぼ撤廃しましたので、その後はアイルランド、北アイルランド、ワシントンDC、ポーランド、スペイン、チェコと慌ただしい出張と国際会議や講演に参加する日々が到来しました。多くが、一度前から行ってみたいと思っていた国でしたので、自らの足で歩いて、目で見て、耳で聞いて、ヨーロッパ国際政治を理解する上でのジグゾーパズルの欠けていたピースが埋まった気持ちです。
とはいえ、これではまずいということで、ようやく8月になってから、残り1ヶ月となりながら、本当は行きたかったいくつかの旅行も我慢して、もっぱらケンブリッジにこもって、来訪者がいらっしゃったときにお食事をする以外は、部屋で文献、史料、パソコンに向き合って、肩が凝る毎日。三日ぐらい、一歩も外に出ない日も。院生の時以来かもしれません、これだけ外交史研究に没頭できたのも。ということで、9割ぐらい完成した『国連の成立』の単著は、年度内の刊行に向けて最後の仕上げを済ませております。
自らの研究に没頭したために、メールの返信もままならず、いくつかの事務作業や原稿も停滞し、相変わらず多くの方にご迷惑をおかけしております。これから少しずつ、それらに対応をさせていただきます。
ということで、ロンドンのホテルで、今回の一年弱の在外研究の最後の夜を迎え、いよいよ帰国。一日引っ越し作業で、身体はくたくたですが、とりあえず目標は一部しか達成できませんでしたが、精一杯努力はしたかな、という1年間でした。また帰国後に皆さんにお会いできますことも、楽しみにしています!