鶏帰属(虚空に向かって答えるインタビュー)
「市原さんはもう劇団とか事務所入らないんですか?」
こないだのバンド練習の後、みんなでご飯食べに行って料理が出てくるのを待ってる時に隣に座ったふっきょんがふと尋ねてきた。いや、別にふっきょんに限らず、他の人たちからも何度か訊かれたことのある質問なのだけど。
まず事務所は20代中頃に入ってて、エキストラみたいなの何度か行っても全然お金くれなくて、1年経った頃に「これから本契約です。契約金いただきます、その代わりこれからは行った仕事のギャラも支払います」みたいなこと言われて、そんなん最初に言ってなかったじゃん!ってなって辞めた。舞台に出る報告やなんかしても良い顔されず、そこの劇団が持ってるゴミみたいにつまらない劇団に出させられそうになったし。
事務所は入りたいですよ。ちゃんとこちらの良いところを分かってくれて、尊重してくれるところがあれば。またそういう人と出会えれば。積極的には動いてないですね。大人とか業界に対する不信感も多少あるので。
劇団とかユニット所属は円想者(部活だけど)、アニマル王子、しめじと経験してきました。その時にふっきょんにも言ったけど、メンバーは良いけど作風が合わないとか、作品は好きだけどメンバーになるのとは違う、みたいなことを実際にお声がけ下さったところに感じたことがありました。
自分の性格上、「劇団とは、集団とはかくあるべし!」みたいなのがあって、それがちょっと全体主義みたいな思想面で古いところがあるんですよ。で、集団となるとそれを人に押し付けてしまいそうでイヤなんです。自分自身がそういうの押し付けられるのが一番イヤなくせに。あとはそんな風にこだわりがあるから妙な責任感を感じて自分の重荷になってしまいそうだなぁとも思います。
「そんなん気にせず、帰れる場所があるのっていいもんですよ(だから入りましょうよ)」と言ってくれた年若い友人もいます。が、その辺の自分の腰の重さは…昔からのものって気もしますし、年齢によってさらに重みを増したもののようにも感じます。他者から侵食されるのがイヤってのもありますけど、あとは劇団に入ることによって「そこの人」っていう色がついちゃうじゃないですか。それにも抵抗がちょっとあります。
帰属意識は…どうなんでしょう。自分のことを一匹狼だと思ったことはありませんが、そもそも家族に対する帰属意識が低いので、もしかしたら他も低いのかもしれません。人には優しくしたいし愛も注ぎたい。
一人でやることのメリット、デメリットはもちろんあります。孤独と自由は抱き合わせですから。それを投げ売ってでも参加したいグループは今のところ…ないかな。身近なところでは。まぁ、これまで追っかけたところからは見向きもされないことが多い人生だったので、その時が来たらどこかに入るかもしれませんね。わざわざ群れなくても一人でやっていける人たちがそれでも集まってモノづくりをしているようなカッコいいグループに。