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IT'S A WONDERFUL WORLD

Mr.Childrenのデビュー10周年にリリースされた10枚目のアルバム『IT'S A WONDERFUL WORLD』。もう20年も前のアルバムとは思えないくらい未だに瑞々しい聴きざわりのアルバムです。

96年の『深海』以降、1年間の活動休止期間を経てもなおミスチルの楽曲に漂うどこか陰鬱な空気は拭いきれないものがあると当時感じていました。鬱期、なんて言われたりもしますが、曲がヘヴィ気味だったりキャッチー一歩手前に感じられたりで、中高生だった自分には今ひとつ良さが分かりませんでした。確かに良いんだけど、95年くらいまでのポップで抜けのいい曲展開を期待していた んでしょうね。だから『Q』なんかは発売日に買ったものの、即CD棚行きでした笑
(今ではその良さが分かって大好きなアルバムです)

そんな中で発売されたシングル『優しい歌』。決して派手な曲ではないものの、シンプルなアレンジと暗闇から抜けたような歌詞。あ、ミスチル起きたか、と思いました。そしてしばらく封印していた過去の楽曲を惜しげもなく披露するライブ『POP SAURUS』の開催。明らかにミスチルがもう一度ポップのど真ん中に歩み寄ろうとしているのを感じました。

キャッチーで疾走感のある『youthful days』や甘い『君が好き』といったシングルを経て遂に発表されたのがこのアルバム。タイトルが、ド直球。色々あったけど世界を肯定したぞこの人たち。そしてこの素晴らしいジャケット。白地に緑とピンクは最高の組み合わせです。ちなみにこの紙ジャケ、再生紙を使用しています。

小林武史によるストリングスのovertureから始まり、いきなりのハイライト、本作のリード曲にして以降のライブ定番曲、蘇生。もうこれで勝ちでしょ。特に好きなのはone two three、渇いたkiss、LOVE はじめました、UFO、Drawing、It's a wonderful world。以前だったらヘヴィな精神状態がそのまんま曲になってたようなところがあったんだけど、それがちゃんとポップスに昇華されてる。自分のための曲じゃなくて、みんなのための曲、みたいな感じ。個人的にはシングルにもなった君が好きの間奏がものすごく好きです。
ミスチルはこの後、アルバムを補完するようなシングル『Any』を発売していざアルバムツアー!というタイミングで桜井和寿が病に倒れ、年末の一夜限りのライブまで再度の活動休止に入ることになります。

このアルバム以前と以降という言い方ができるくらい、このアルバムからミスチルは変わった気がしています。

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