中学受験・高校受験生の親御さんはまず今の「大学受験」について理解するのが大事!
まずはじめに、もう、これだけは、とても、伝えたいんです。これからお子さんが中学・高校受験に挑む、もしくは中学受験を(するかどうかの検討も含めて)考えている、という保護者のみなさんに。
中学校、高等学校は、そこで過ごす数年間の学業や諸活動の質が、そこに通う学生の皆さんの将来に大きく影響するのは事実です。ただ、将来的にキャリアを形成する際に問われる可能性のある「学歴」としては、ほとんどの場合加味されないと思います。例えば、大学生以降の就職・転職面接の際に、出身高校について聞かれたことはありますか?おそらくないんじゃないかと思います。一方、出身大学(場合によっては学部も)については、社会人になったあとでもいろいろなところで聞かれたり、明示的かどうかはさておき何らかの判断基準の一部として使ったり使われたり…というご経験もあるかもしれません。(それが良いことなのか否かの議論はここではしませんが)やはり今後も、多くの方にとっての最終学歴となる大学・学部の選択には大きな意味が付与されると考えた方がいいでしょう。
(非常にレアケースとして、転職面接時に大学名だけじゃなく高校名もチェックして地頭の良さを推測している、ということを仰る方を存じ上げていますが、私が今まで人生の中でお会いした方々の中でお一人だけです)
良い大学、子どもが行きたいと思う大学にゆくゆくは入れるだけの学力をつけさせてあげたい、そのためには上位の大学に多数の合格者を輩出していて偏差値も高いトップ中学校、トップ高校に入れるよう勉強を頑張らせたい。そのお気持ちはとても良くわかります。そして正しいとも思います。
ただ、ここでぜひ調べてほしいことがあります。現在の大学入試制度について、です。おそらく、今の親御さん(私を含む)が自ら経験した頃の大学受験とは、様相が全く変わっているということがわかるでしょう。
私たちの時代の大学入試というのは、ほとんどの人が一般入試(当日の筆記テストの出来で合否が決まる)を使い、残りの一部の成績優秀な(内申点が高い)学生が学校推薦(指定校推薦)で決め、さらに少ないごく一部の学生で、圧倒的に秀でた「特技」を持っている人がそれをアピールすることでAO入試を突破する…こんな感じだったのではないでしょうか。
現在でも、もちろんその全ての入試方式が残っています。ただ、その比率がとても大きく変わってしまったのです。
特に私立大学においては、全入学生のうち「一般入試」で入学する人は全体の約4割。残りの学生の多くは、ほとんどの大学でAO入試から名前を変えた「総合型選抜」と呼ばれる入試方法で受験にチャレンジし、合格を得て進学しているのです。「学校推薦制度」も引き続き残っていますが、昔のように「内申点の高い一部の優秀な生徒が学校長の推薦を得ることでほぼ確実に大学に合格する代わりに他の大学・学部は受験できない」という指定校推薦に加えて、学校からの推薦は必要だが特に人数制限はなく(つまり内申点の基準がそれほど高くない)、また推薦を受けた後に志望理由書・面接等の試験があり、総合的に合格が決まる(逆に言うと推薦を受けても不合格もありうるため、併願が可能)というタイプの公募制学校推薦制度が加わりました。これらの総合型選抜・学校推薦型選抜で私立に入学する人が、残りの約6割、つまり過半数!なのです、今は。
早稲田大学・慶應大学・上智大学をはじめとして、ほとんどの私立大学が総合型・公募制学校推薦型の入試制度を大きく導入しています。国公立も例外ではありません。なんと東京大学でも、公募制(高校毎に人数制限はありますが)の学校推薦型入試を取り入れ、毎年100名程度の新入生の募集をしています。
令和に入ってからこの傾向が顕著になったこともあり(特に2021年度以降)、まだ総合型や公募制学校推薦での入試についてはどこの高校(中高一貫校含む)もまだノウハウ・知見が少ないものと思います。
今まで高偏差値を誇り、一流大学に多くの卒業生を輩出しているトップクラスの進学校である高校においては、一般入試(筆記試験)の得点を高めるためのノウハウにはとても長けているはずですが、総合型選抜や公募制学校推薦型の入試への対応に関してはおそらく各校対応がまちまちでしょう。こういった進学校の中では、「総合型選抜を受けたいと言うと先生に嫌がられる」といったような話も聞いたことがあります。
総合型選抜(昔のAO入試を想像するとわかりやすいと思います)では、各教科の所謂受験勉強とは別に、様々な課外活動に意欲的に取り組んだということをアピールすることが重要になります。教科の詰め込み型学習に多くの時間を注ぎ込んでいると、なかなかそういった活動を手がけることも難しいのかもしれません。一方、私立の中高一貫校では、一般的な教科学習以外に特色のある活動(短期留学やボランティア活動、探究学習など)に力を入れているところも多いです。そういった経験を経て志望する大学や学部を固め、総合型選抜を受験する…という受験戦略は、所謂地域トップの進学校より、(受験偏差値だけで言えば)その次のランクとして扱われる中高一貫校のほうが向いているのかもしれません。
たぶん、まだピンとこない方も多いと思います。今後何回か関連した投稿を続けますので、併せてご覧いただけると嬉しいです。
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引き続きお読みいただきありがとうございます!
大学入試の新たな潮流、総合型選抜(や公募制学校推薦型…は今となっては総合型と一緒に扱われることが多いです)についてもっと詳しくお知りになりたい場合は、やはり大学受験に関連した塾による解説がわかりやすいと思います。たとえば…
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